『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
「おわら風の盆」で知られる越中八尾。猫もふいに姿を見せる坂道を夫婦でのんびり散策
越中八尾の銘菓「玉天」。玉子焼きのようなマシュマロのような、ふんわり独特の味わい
富山のご当地ラーメン「富山ブラック」。醤油の黒さといい、ぜひ味わってみてほしい
金沢、富山と新潟を長岡経由で結ぶ特急「北越」。金沢寄り先頭車にグリーン席がある
北陸地方ではお馴染みのお菓子「あんころ」。日本海を眺めながらグリーン席でいただく
200系新幹線のグリーン車もゆったりとした乗り心地。グリーン車の旅は疲れ知らずの旅
徳島、富山をめぐる旅の3日目。午前中は「おわら風の盆」で知られる越中八尾を散策。胡弓の調べに合わせて静かに踊る「おわら風の盆」は多くの観光客を魅了してやまないが、祭りの時ではない普段着の八尾に漂う静けさも旅人を魅了する。
坂の町、八尾。日本に坂の町は数あれど、坂の長さといい角度といい、道幅といい町並みの素晴らしさといい、八尾ほど美しい坂道はあまりないと思う。
特急列車で富山に戻り、お昼は待ちに待った「富山ブラック」。話に聞いていたものの目の前の黒いスープにびっくり。恐る恐る飲んでみれば、ん、おいしい。エビの白さやラーメンの黒さ、これも富山の郷土色。
北陸地方の名物菓子「あんころ」を買い求め、特急「北越」に乗車。長岡経由で一度、東京(自宅)へ帰る。そうすることで旅行の荷物を少なくでき、自宅の様子も確認でき、また、宿泊費も節約できる。フルムーンパスで北陸から上越新幹線に乗り継ぐ場合、北越急行線経由だと別途、乗車券や特急券等が必要となるが、特急「北越」なら全区間JR線のため追加料金は不要。「北越」はおトクな列車だ。
さて、長岡で乗り換えた上越新幹線「とき」も鳥にちなんでいる。0系新幹線を彷彿させる200系新幹線もいずれは引退するだろう。今のうちに乗車しておきたい。
3日目の夜は自宅で過ごす。いつもの慣れた寝具で熟睡し、4日目からはいよいよ「はやぶさ」夫婦旅が始まる。
3日目●乗車距離:495.6 km 運賃合計2人分(通常):4万3660円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
富山~越中八尾 : @320円(乗320円) 乗車距離17.1km
越中八尾~富山 : @2290円(乗320円 特グ1970円) 乗車距離17.1km
富山~長岡 : @8030円(乗3260円 特グ4770円) 乗車距離190.8km
長岡~東京 : @1万1190円(乗4620円 特グ6570円) 乗車距離270.6km
※ 通常期の場合 ※ 距離は運賃計算に用いるキロ数
※ 乗:乗車券 特グ:特急、グリーン料金
坂の町越中八尾を散策し、いったん東京へ | |||
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3日目 | 発着駅 | 時間 | メモ |
富山 発 | 9:30 | 普通列車 | |
越中八尾 着 | 9:54 | のんびり八尾へ 越中八尾、坂の町を散策 |
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越中八尾 発 | 12:10 | 特急【ワイドビューひだ3号】グリーン車 | |
富山 着 | 12:26 | 富山まで16分!やっぱり特急は速い! お昼は黒いスープのラーメン「富山ブラック」を |
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富山 発 | 14:16 | 特急【北越5号】グリーン車 | |
長岡 着 | 16:26 | 新幹線に乗り換え | |
長岡 発 | 16:39 | 上越新幹線【とき336号】グリーン車 | |
東京 着 | 18:20 | 今夜は自宅がホテル代わり |
観光の問合せ
■越中八尾観光協会 TEL 076-454-5138
青森の春というと、真っ先に思い浮かぶのが弘前城の桜だろう。かわいらしい天守を背にお堀端から眺める満開の桜の美しさ、あるいは散った花びらが花筏となるお堀の光景も人々の琴線に触れる。ただその桜、なかなか気まぐれで、毎年いつ咲くかよくわからない。早い年では4月14日に開花(ソメイヨシノ)したこともあれば、遅い年になると4月30日ということも。平均すると大体4月24日頃の開花といわれているが、昨年もそれより早めの予想に反し、実際の開花は4月27日だった。今年も100%正確な開花日の予想は難しいとみたほうがいい。
フルムーンパスの場合、4月27日~5月6日等は利用できない期間のため注意が必要だが、この期間以外でお花見のチャンスがあれば、ぜひ出かけてみたい。
青森の春を象徴する風景の一つ、弘前城の桜。今年はどんな花を見せてくれるのだろう
東京駅を出発する東北新幹線E5系「はやぶさ」。東京-新青森間を最短3時間10分で結ぶ
フルムーンパスではエレガントな「はやぶさ」のグリーン車も追加料金なしで利用できる
青森発祥の味「味噌カレー牛乳ラーメン」は黄色いスープ。コクと刺激がよく調和している
青森駅近くの古川市場では、どんぶりご飯に好みの具材をのせた「のっけ丼」が楽しめる
温泉にも恵まれた青森県。部屋に付いた半露天かけ流しのお風呂でのんびりとくつろぐ
ひと風呂浴びてビールを飲んで、部屋食でいただく夕食は夫婦水入らずのハッピータイム
旅の4日目からは1泊2日で青森へ。3月5日デビュー、最高時速300kmで駆け抜けるE5系「はやぶさ」に乗って出かけよう。フルムーンパスなら「はやぶさ」のエレガントなグリーン車は追加料金なしで利用できる。また、さらに豪華なグランクラスは、フルムーンパスでは運賃部分のみが有効に。JR全線をかなりおトクに旅できるフルムーンパス、おトクになったお金を活用し、いつかはグランクラスの旅も(編集部注:グランクラスは、フルムーンパスのみではご乗車になれません)。
かつて在来線特急「はつかり」で上野-青森間は9時間近くかかっていた。当時、「はつかり」で上野から青森まで乗車したことがあるが、途中でお尻がどうにも痛くなったのを今も覚えている。「はやぶさ」なら東京-新青森が最短3時間10分。信じられないくらい速くなり、青森はさらに行きやすくなった。
ここ青森にも最近話題のラーメン「味噌カレー牛乳ラーメン」がある。従来の青森ラーメンのイメージは魚介系のダシがこれでもかときいた醤油スープ、しかし、「味噌カレー牛乳ラーメン」は魚っぽさがないのも新鮮で、味噌のコクとカレーの刺激を牛乳がマイルドに調和させていて、黄色いスープは未体験の味わいだった。
旅の最後の夜。せっかくのフルムーン旅行だから、温泉のいい風呂が付いた部屋に泊まり、夕食も部屋でゆったりと味わいたい。良質な温泉に恵まれた青森県、新幹線の沿線にもそういった客室を備えた穴場の宿ができてきており、夫婦それぞれ、好みに合った宿を見つけてほしい。
4日目●乗車距離:803.3km 運賃合計2人分(通常):5万1920円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
東京~新青森 : @2万1360円(乗9,870円 特グ1万1490円) 乗車距離713.7km
新青森~青森 : @180円(乗180円) 乗車距離3.9km
青森~新青森 : @180円(乗180円) 乗車距離3.9km
新青森~八戸 : @4240円(乗1450円 特グ2790円) 乗車距離81.8km
※ 通常期の場合 ※ 距離は運賃計算に用いるキロ数
※ 乗:乗車券 特グ:特急、グリーン料金
「はやぶさ」乗車と温泉ステイ | |||
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4日目 | 発着駅 | 時間 | メモ |
東京 発 | 8:12 | 東北新幹線E5系【はやぶさ1号】グリーン車 | |
新青森 着 | 11:22 | 在来線に乗り換え | |
新青森 発 | 11:35 | 特急【スーパー白鳥15号】普通車自由席 | |
青森 着 | 11:42 | 1駅ですが予約すればグリーン車も乗車OK 青森では話題の「味噌カレー牛乳ラーメン」を |
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青森 発 | 14:10 | 特急【スーパー白鳥30号】普通車自由席 | |
新青森 着 | 14:15 | 新幹線に乗り換え | |
新青森 発 | 14:28 | 東北新幹線【はやて30号】グリーン車 | |
八戸 着 | 14:56 | 30分足らずでもう八戸着 旅の最後の夜は温泉でのんびり |
観光の問合せ
■青森観光コンベンション協会 TEL 017-723-7211
盛岡から北へ東北新幹線のルートに沿って地図を眺めれば、一戸、二戸、三戸、五戸、六戸、七戸、八戸、九戸…。「へ」と読む「戸」の字と数字がついた地名が目につく。「へ」とはどんな意味なのだろう。現・八戸駅は、かつて尻内(しりうち)駅だったから、「へ」は尻と関係がありそう? などと想像したくなる。
この「戸」(へ)の意味だが、「牧場」を示し、順に数字を割り振ったという説や、九つの地区に割り振った時の「地区」をさすという説もある。五戸あたりでは馬肉料理が名物であり、また、牧場から湯が出た「まきば温泉」もある。私見では「牧場」説といきたい。ところで、地図上に四戸が見当たらない。昔はあったらしいが、現在は消えた四戸。四戸をとりまくベールに迫るミステリー・ツアーはいかがでしょう。
八戸駅新幹線ホームにて。次は東京方が二戸、青森方が七戸十和田。「戸」の字が目立つ
八戸の台所「八食センター」はいわば屋内型の市場街。八戸駅からは100円バスで行ける
「八食センター」で目にとまる豊富な海の幸。ここは食事処も充実のおすすめスポットだ
本マグロの産地、青森県大間。八戸で食べた大間産生本マグロ赤身もそれは絶品だった
八戸駅新幹線待合室からホームを眺めると、東京まで続く線路がまっすぐに伸びていた
東京への帰途、盛岡に立ち寄り、弾力のある麺が特徴の「盛岡冷麺」を味わってみては
寿司や麺類もいいけれど旅の最後の晩餐は“肉食系夫婦”になって盛岡で焼肉でもいかが?
旅の最終日、まずは青森みやげのショッピング。八戸には屋内型の大型食品市場「八食センター」があり、八戸駅から100円バスが出ている。ここは何より屋内型だから雨や寒さの心配もいらず、食事処も充実、八戸一番のおすすめスポットだ。場内を埋め尽くす青森の海の幸、山の幸、おいしそうなものばかりで目移りしてしまうが、ぜひじっくりと品定めしてほしい。そして、おみやげは自宅まで宅配すると楽ちんな旅が続けられる。食事処には旬の魚介が手頃な価格で食べられる回転寿司もあり、時期によっては絶品の大間産生本マグロもレーンに顔を出す。
午後、「はやて」に乗って石川啄木ゆかりの盛岡へ。彼が青春時代と新婚時代を過ごした盛岡、その面影をたどってデート気分で散策すると、自分たちまで青春時代さながらに若返ってくるかのよう。若返ったせい? かお腹が空く。帰りの「はやぶさ」まではまだ時間もたっぷり。盛岡といえば盛岡冷麺に焼肉。振り返ってみれば、この旅ではお肉をあまり食べていない。鳥のハヤブサも“肉食系”だし、ここは“肉食系夫婦”になって旅の最後の晩餐を楽しもう。
仲のいい夫婦を「おしどり夫婦」というが、実際のオシドリは案外そうではないらしい。つがいを解消する時期があると聞く。一方、ハヤブサは一度つがいになると死ぬまで一緒、ハヤブサの夫婦こそが「おしどり夫婦」なのだろう。東北新幹線を疾走するE5系「はやぶさ」は夫婦旅にもお似合いの列車だ。
5日目●乗車距離:631.9km 運賃合計2人分(通常):4万4480円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
八戸~盛岡 : @4410円(乗1620円 特グ2790円) 乗車距離96.6km
盛岡~東京 : @1万7830円(乗8190円 特グ9640円) 乗車距離535.3km
※ 通常期の場合 ※ 距離は運賃計算に用いるキロ数
※ 乗:乗車券 特グ:特急、グリーン料金
八戸、盛岡と遊んで、帰路へ 八戸の台所「八食センター」でお買い物 |
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5日目 | 発着駅 | 時間 | メモ |
八戸 発 | 14:06 | 東北新幹線【はやて28号】グリーン車 | |
盛岡 着 | 14:35 | 30分足らずでもう盛岡着 石川啄木ゆかりの盛岡を散策し、焼肉や冷麺を味わう |
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盛岡 発 | 19:04 | 東北新幹線E5系【はやぶさ6号】グリーン車 | |
東京 着 | 21:24 |
観光の問合せ
■ 八戸観光コンベンション協会 TEL 0178-41-1661
■ 盛岡観光コンベンション協会 TEL 019-621-8800
リンゴにホタテ、大間のマグロに八戸のせんべい汁…。青森県も海の幸、山の幸に恵まれている。特産品もいろいろの青森だが、ここで忘れてはならないものが一つある。それはニンニクだ。青森のニンニクは品質の高さが評価されているものの、東京で購入しようとするとかなり高い。ちょっとしたものでも1玉200円はする。そこで青森への旅では、いつも決まってニンニクを買って帰るようにしている。八戸の「八食センター」といった大型の食品市場なら、時期にもよるが品数は豊富。値段も東京に比べればはるかに安く買うことができる。1ネットに10玉ほど入ったもので1000円そこそこから。自宅用ならこれで十分、おトクな感じがする。青森のニンニクで作るパスタなどの料理には、ひと際強く旅の思い出が香る。
大間のマグロにホタテやリンゴ。そして、青森のニンニクもお忘れなく。おみやげにぜひ!
<東京発5日間全体の金額と距離>
JR運賃総額:24万2000円 (交通手段は全てJRを利用)
総乗車距離:3459.8 km
おトクになった金額:16万1500円 (JR運賃総額-フルムーン5日間パス定価8万500円)
乗車倍率:3.006倍 (JR運賃総額÷フルムーン5日間パス定価8万500円)
※運賃は2名分 ※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
※運賃・距離は、JR東日本「えきねっと 乗換・運賃案内」で表示されるものです
写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で3巡している。これまでに80日以上「フルムーン旅行」をし、JR路線も約8万キロ乗車。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。また、英語クロスワードパズルを新聞に17年に渡って連載。 ●ホームページ http://www.aizawa22.com
新青森駅新幹線ホームにて“夫婦撮り”
文・撮影:相澤秀仁&相澤京子
※ 掲載されているデータは平成23年2月25日現在のものです。
※ 「JR時刻表3月号」および「えきねっと 乗換・運賃案内」で表示の時刻を使用。