『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
博多発新大阪行き「ひかりレールスター」。フルムーンパスで利用できる4人用個室が魅力
「ひかりレールスター」4人用個室。テーブルも広く、人目を気にせずに駅弁も食べられる
新幹線グリーン車で味わう駅弁「かしわめし」。かしわ(鶏肉)料理は北部九州ならでは
新大阪駅で出発を待つ700系東海道新幹線。居心地のいいグリーン車でゆったり東京へ
東北新幹線E2系「はやて」のグリーン車も乗り心地がいい。旅の疲れが消えていくようだ
かつて青函連絡船が発着した青森駅。余韻漂うホームから夜行急行「はまなす」が発車する
旅の3日目もゆっくり起床。今夜は寝台車での車中泊、朝、シャワーを浴びて出発しよう。博多駅10時37分発「ひかり552号」レールスターに乗車。「さくら」のグリーン車もさることながら、レールスターの普通車4人用個室もいい。フルムーンパスなら夫婦で広々と使え、座面スライドにより足も伸ばせて、これまた楽ちんな旅ができる。「さくら」のグリーン車も、レールスターの個室も、フルムーンパスならお好みしだい。
新大阪で東海道新幹線に乗り換え、東京着。東京駅にはエキナカ「グランスタ」があり、夕食を買い求め、東北新幹線ホームへ行こう。
もし東京駅からそう遠くないところにお住まいなら、乗り継ぎ時間を活用して一時帰宅というアレンジも。自宅との往復時間を計算し、その分だけ早く博多を出発すればよい。たとえば博多8時41分発「ひかり546号」なら、新大阪で「ひかり470号」に乗り継ぎ東京14時40分着。東北新幹線「はやて177号」の出発時刻(17時28分)まで3時間弱も時間が作れる。一時帰宅できれば自宅の様子が確認でき、旅の荷物だって減らせる。東京駅よりも大宮駅が近ければ、「はやて177号」には大宮駅(17時54分発)で乗車を。
E2系「はやて」グリーン車に身をゆだね新青森へ。在来線で一駅移動し、青森からは札幌行き急行「はまなす」B寝台車に乗る。個室ではないものの寝台で眠りにつけば、翌朝には北海道だ。列島を走り抜けた2000km、心配したほど身体は疲れなかったと思う。
3日目●乗車距離:2371.6km 運賃合計2人分:139,120円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
博多~新大阪:@14,590円(乗9,350円 特指5,240円) 乗車距離622.3km
新大阪~東京:@18,390円(乗8,510円 特グ9,880円) 乗車距離552.6km
東京~新青森:@20,860円(乗9,870円 特グ10,990円) 乗車距離713.7km
新青森~青森:@180円(乗180円) 乗車距離3.9km
青森~札幌:@15,540円(乗7,980円 急寝7,560円) 乗車距離479.1km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
東京発5日間・後編 【旅の3日目】 九州から北海道へ、列島縦断大旅行 |
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3日目 | 発着駅 | 時間 | メモ |
新大阪、東京、青森を経て札幌へ (車中泊) | |||
博多 発 | 10:37 | 山陽新幹線【ひかり552号レールスター】普通車4人用個室など | |
新大阪 着 | 13:21 | 個室で夫婦水入らずの山陽路 | |
新大阪 発 | 13:40 | 東海道新幹線【ひかり474号】グリーン車 | |
東京 着 | 16:40 | エキナカ(グランスタなど)でお弁当類を買い求め、東北新幹線へ | |
東京 発 | 17:28 | 東北新幹線【はやて177号】グリーン車 | |
新青森 着 | 21:28 | 在来線に乗り換え | |
新青森 発 | 21:38 | 普通列車 | |
青森 着 | 21:44 | 飲みもの、夜食を買って、B寝台車へ | |
青森 発 | 22:42 | 急行【はまなす】B寝台、寝ながら翌朝、札幌へ | |
札幌 着 | 6:07 | Good morning北海道! |
九州を代表するターミナル、博多駅。九州新幹線鹿児島ルート全線開業にあわせ、新幹線コンコースもきれいになり、駅全体の印象もかなり変わった。
新幹線改札口付近の「博多デイトス」には、「博多めん街道」(写真)や「博多ほろよい通り」があり、フルムーン旅行の際、つい博多ラーメンが食べたくなって吸い込まれてしまったが、九州最大級の駅ビル「JR博多シティ」も開業。ここは、デパートに大手雑貨店、それに専門店街「アミュプラザ博多」、さらには大きな書店やシネマコンプレックスも有し、充実の内容だ。旅行者の目線で見ても、駅であれこれできるのは本当に好都合。博多には天神、中洲といった繁華街もあり、博多駅地区ともども、これまで以上に盛りあがっていくと思う。
九州を代表するターミナル駅、博多。九州新幹線全線開業にあわせ駅も大きく変貌している
札幌から「スーパー宗谷1号」に乗って稚内へ。グリーン車は1号車にあり最高時速は130km!
特急「スーパー宗谷1号」のグリーン車。革張りのシートが上質な旅の時間を演出する
「スーパー宗谷1号」車窓に望む利尻富士。利尻はまさに「山が海に浮かんだような島」だ
ここが日本最北端の地、宗谷岬。稚内駅前ターミナルから路線バスで50分ほどのところ
宗谷地方はホタテも名産。新鮮なホタテを目の前で焼いて味わう。ビールがすすむこと
稚内の宿で食べたタラバガニ。身がしっかりと詰まっていてカニ独特の甘さがたまらない
札幌駅到着の急行「はまなす」を下車して始まる旅の4日目。まだ朝6時を過ぎたあたり、稚内行き特急「スーパー宗谷1号」の出発時刻(7時48分)までは時間がある。札幌駅周辺で早朝より営業している店に立ち寄ったり、赤レンガの北海道庁旧本庁舎や有名な時計台、大通公園まで散策してみるのも一案だ。天気に恵まれれば、朝の散策でなおのこと気分爽快になるだろう。
キハ261系気動車の特急「スーパー宗谷」は最高時速130km、札幌-稚内を約5時間で結んでいる。グリーン車は革張りの落ち着いたシートで雰囲気もよく、二度寝するうち稚内に近づく。晴天の日、進行方向左手に気になる山影が…。そう、山が海に浮かんでいると形容される利尻島(利尻富士)が車窓を飾ってくれる。
日本最北端の駅、稚内。有人駅であり、現在、駅周辺が再開発の真っ最中。駅もこの春、新しくなった。「日本のてっぺん」と言われる稚内、なるほど日本地図を眺めると一番上にある。荷物を宿に預け、さらに北、日本最北端の地、宗谷岬に出かけよう。駅前のターミナルから路線バスで50分ほど、宗谷海峡を前にして立てば、はるばるJR日本最南端の有人駅、山川駅からやってきた旅程を思い、胸がいっぱいに!
稚内・宗谷地方ではホタテも名物。ホタテ焼き、ホタテラーメンなどを食べてみたい。九州の味覚は九州で、北海道の味覚は北海道で。フルムーンパスの旅らしい至福の時間が流れていく。
4日目●乗車距離:396.2km 運賃合計2人分:27,320円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
札幌~稚内:@13,660円(乗7,140円 特グ6,520円) 乗車距離396.2km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
※路線バス分は含みません
東京発5日間・後編 【旅の4日目】 札幌から稚内へ、宗谷岬は日本最北 |
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4日目 | 発着駅 | 時間 | メモ |
日本最北端の稚内へ(稚内泊) | |||
札幌 発 | 7:48 | 特急【スーパー宗谷1号】グリーン車 | |
稚内 着 | 12:47 | 利尻富士を車窓に眺めつつ、日本最北端の駅、稚内へ | |
宿に荷物を預け、路線バスで、宗谷岬へ | |||
稚内駅前 発 | 13:45 | 稚内駅前ターミナルから宗谷バスに乗車 | |
宗谷岬 着 | 14:31 | 宗谷岬まで運賃@1350円 | |
ここが日本最北端の地、宗谷岬 | |||
宗谷岬 発 | 15:08 | 駅に帰るバスは宗谷岬17:33発もあります | |
稚内駅前 着 | 16:00 | 稚内駅前ターミナル着、運賃@1350円 | |
ノシャップ岬で夕陽を眺め、宿へ、 |
観光の問合せ
■稚内:稚内観光協会 TEL.0162-24-1216
九州の博多駅も変貌をとげたが、北海道の札幌駅もすごい。生まれて初めて札幌駅に行った時はまだホームは地面にあったが、現在では高架になり、2003年には「JRタワー」が完成。38階建てのタワーには展望室やホテルもあり、札幌の街を一望できる。そして、駅ビルは、博多駅と同じく、ショッピング・エリアや食事処も充実、シネマコンプレックスもある。
札幌駅は市営地下鉄とも接続しているが、JRの駅は「札幌駅」で地下鉄側は「さっぽろ駅」というのも面白い。ここで大きなニュースを一つ。札幌駅と大通公園が地下道で結ばれて、ぐっと便利に。冬寒い北海道、何度も雪道で滑って転んだが、地下道があると雪に慣れない旅行者も足元の心配が減って助かる。地下の活用が上手な札幌では、道内一のターミナル「札幌駅」からも目が離せない。
北海道最大のターミナル駅、札幌駅。駅ビル内には食事処も充実し、北の幸を堪能できる
札幌行き特急「スーパー宗谷2号」で食べた最北、稚内駅の駅弁、その名も「最北駅弁」
札幌と稚内を最短4時間56分で結ぶ特急「スーパー宗谷」はキハ261系気動車を使用している
北海道らしい筋子の握り寿司。札幌の人気店では自家製筋子醤油漬けが安価で食べられる
札幌のシンボル、時計台。駅から歩いて10分ほどのところにあり、今も時を刻んでいる
函館から乗車する上り寝台特急「北斗星」。この時間、食堂車ではパブタイムの営業中
上野駅到着の寝台特急「北斗星」。新幹線を活用した「ぐるり日本6,000km」の旅が終わる
稚内で朝を迎えた最終日。寝台特急「北斗星」2人用B寝台個室「デュエット」で東京、上野へ帰る。
稚内から札幌へ行く特急は朝、昼、夕の3本あるが、朝の特急「スーパー宗谷2号」に乗らなければ「北斗星」に乗り継ぎができない。稚内7時10分発と早い分、旅のアレンジがいろいろでき、旭川で下車し話題の旭山動物園に出かけてみたり、小樽や札幌の観光をしてみたり。これらの場合、始発駅札幌で「北斗星」に乗車を。また、このプランのように札幌でランチにお寿司を食べ、函館に行くのもおすすめだ。
夜景が美しい街、函館は市内に温泉が豊富。駅から市電で約20分の市営・谷地頭温泉は入浴料も420円と安く、旅行者にも人気、露天風呂もある。温泉でさっぱりして「北斗星」に乗ろう。函館、湯の川温泉には温泉家族風呂もある。札幌を一つ前の特急「北斗14号」(13時17分発)で函館(16時49分着)に移動し、湯の川温泉の家族風呂でゆっくりするのもいい。
寝台特急「北斗星」の個室に揺られ、長いようで短かった旅を振り返るうちに眠ってしまい、列車は翌朝、終着駅、上野に到着する。
夫婦の合計年齢が88歳以上で利用できるフルムーンパス。40代の若い夫婦もいれば50代、60代以上の夫婦もいる。どんなプランであれ、体調を優先し無理は禁物。
南にも北にも行くこのプランなら、いつ出発しても季節の移ろいが感じられるだろう。急に寒くなっても大丈夫なよう、体温調節のしやすい服装をお忘れなく。
5日目●乗車距離:1611.1km 運賃合計2人分:100,780円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
稚内~札幌:@13,660円(乗7,140円 特グ6,520円) 乗車距離396.2km
札幌~函館:@12,080円(乗5,560円 特グ6,520円) 乗車距離318.7km
函館~上野:@24,650円(乗15,410円 特寝9,240円) 乗車距離896.2km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
※青い森鉄道(距離121.9km、運賃等@3,770円)、IGRいわて銀河鉄道(距離82km、運賃等@2,790円)分を含む
東京発5日間・後編 【旅の5日目】 札幌、函館を経由、「北斗星」で帰京 |
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5日目 | 発着駅 | 時間 | メモ |
札幌を経由して「北斗星」で上野へ (車中泊) | |||
稚内 発 | 7:10 | 特急【スーパー宗谷2号】グリーン車 | |
札幌 着 | 12:06 | 稚内の駅弁を朝ごはんに食べ札幌着 | |
札幌で北海道の海の幸いっぱいのお寿司ランチを | |||
札幌 発 | 14:52 | 特急【スーパー北斗16号】グリーン車 | |
函館 着 | 18:09 | 噴火湾や大沼を眺めつつ函館着 | |
市営「谷地頭温泉」などで一風呂浴びて寝台列車へ | |||
函館 発 | 21:48 | 寝台特急【北斗星】2人用B寝台個室「デュエット」 | |
上野 着 | 9:38 | ぐるっと日本6000kmの旅が終わる |
観光の問合せ
■札幌:札幌観光協会 TEL.011-211-3341
■函館:函館市観光案内所 TEL.0138-23-5440
青函トンネルで本州と北海道が結ばれる以前、青函連絡船が函館と青森の間を行き来していた。その時代、函館駅が北海道の玄関となり、札幌、釧路、網走など道内各地へ向かう特急や急行列車が発着、早朝から深夜まで活気に満ちていた。現在の特急「スーパー宗谷」も当時は急行「宗谷」として、函館?稚内間をおよそ11時間かけて力走。函館駅の長くカーブしたホームには今もその余韻が感じられる。
一方、駅舎は2003年に新しくなり、ツインクルプラザ(旅行センター)や函館市観光案内所など、駅の機能がわかりやすくまとめられ、モダンで使い勝手がよくなった。
函館は「100万ドルの夜景」といわれるほど夜が美しい。函館駅も明かりがともる夕暮れ時、港町の風情とあいまってとてもロマンチックな佇まいを見せる。
青函連絡船の時代とは様変わりして新しくなった函館駅。今も独特の雰囲気に満ちている
<東京発5日間の運賃総額、JR総乗車距離>
JR運賃総額:384,420円 (2名分合計 通常期で算出)
※運賃総額-第3セクター分(2名分合計13,120円)
※JR総乗車距離6027.7km
※総乗車距離-第3セクター分(203.9km)
乗車倍率:4.77倍 (JR運賃総額÷フルムーン5日間パス定価80,500円)
※運賃計算キロは、JR東日本「えきねっと 乗換・運賃案内」で表示のものです
写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で3巡している。これまでに80日以上「フルムーン旅行」をし、JR路線も約80,000キロ乗車。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。また、英語クロスワードパズルを新聞に17年に渡って連載。●ホームページ http://www.aizawa22.com
文・撮影:相澤秀仁&相澤京子
※掲載されているデータは平成23年9月11日現在のものです。
※JR時刻表9月号を使用。到着時刻等、一部時刻未掲載のものは、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示の時刻を使用。
※運賃は通常期の平成23年9月11日をモデルに算出しました。