『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
300系が引退し、現在はより乗り心地がいい700系が「ひかり」のメインに。グリーン車も快適だ
岡山と松山を結ぶ特急「しおかぜ9号」は、人気のアンパンマン列車(ドキンちゃん号)だった
かつて夏目漱石や正岡子規が暮らした松山。洋館「萬翠荘(ばんすいそう)」を遠望すれば桜も咲いていた
三色の餡も愛らしい松山名物「坊っちゃん団子」は、いわば団子界の“マドンナ”だろう
和風のたたずまいも堂々の道後温泉本館。松山に赴任した夏目漱石も頻繁に通ったという
道後温泉の宿で味わう瀬戸の幸。ダシ汁にさっとくぐらす「鯛しゃぶ」の味は上品そのもの
待ちに待った春の訪れ。桜咲く日本の美しさ。人々の琴線に触れる花は、何度見ても飽きることがない。今年もフルムーンパスで桜めぐりの旅に出かけてみては。新幹線をはじめ、快適なグリーン車に何度でも乗車できるフルムーンパスなら、弾丸旅行さえも楽々、西へ東へ南へ北へ、日本全国二人旅、満開の桜のように夫婦の想い出もたくさん咲かせよう。
厳しい冬を乗り越えた桜。今年はいつもの年よりも開花が遅れそう。それでも3月21日には高知市でソメイヨシノが開花し、桜前線もスタート。各地の開花状況にあわせ、出発日を決めてほしい。
東京駅から乗車する東海道新幹線「ひかり」。300系が引退し、現在走る700系とN700系はスピードに加えて乗り心地も良く、グリーン車の旅は快適この上ない。車窓を流れる沿線の桜と富士山、春はフルムーンパスの旅が最も楽しめる季節だ。
岡山で特急「しおかぜ9号」に乗り継ぎ、瀬戸大橋を渡って一路、松山へ。松山といえば夏目漱石の小説『坊っちゃん』の舞台としても知られている。和風のたたずまいも堂々の道後温泉本館、実際に漱石も頻繁に通ったという湯にひたり、同じく漱石にちなむ「坊っちゃん団子」を頬張ろう。三色の餡をまとった団子は、いわば団子界の“マドンナ”。道後公園や石手寺の桜も見事ながら、愛らしい団子の甘さが旅のひと時を癒してくれる。
道後温泉の宿では、瀬戸内らしく鯛料理を味わってみたい。フルムーンパスの旅だから、おトクになった金額で花も団子も両方満喫できる。
1日目●乗車距離:947.3km 運賃合計2人分:64,540円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
東京~岡山:@ 22,150円(乗10,190円 特グ11,960円) 乗車距離732.9km
岡山~松山:@ 10,120円(乗3,810円 特グ6,310円) 乗車距離214.4km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
<東京発5日間・前編 【旅の1日目】> |
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1日目 | 発着駅 | 時間 | メモ |
松山、道後温泉へ(道後温泉泊) ~ 700系に乗車 ~ |
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東京 発 | 7:03 | 東海道・山陽新幹線【ひかり461号】グリーン車(700系) | |
岡山 着 | 11:22 | 在来線に乗り継ぎ | |
岡山 発 | 11:34 | 特急【しおかぜ9号】グリーン車 | |
松山 着 | 14:12 | 道後温泉でのんびり |
観光の問合せ
■松山:松山観光コンベンション協会 TEL. 089-935-7511
団子にも多用される餡子、最も一般的なのは小豆餡だが、小豆の国内最大の産地が北海道だ。全国の70%以上を生産していると聞く。この北海道にも名物団子がある。その筆頭は写真の「大沼だんご」だろう。明治38年(1905)の創業以来、変わらぬ味。一口サイズの俵型の団子が並ぶ様子は、小島がいくつも浮かぶ道南の名勝、大沼と小沼にちなむという。函館本線を走る特急「スーパー北斗」「北斗」の車内販売でも購入可能で、伝統の甘味をぜひ味わってみたい。
また、港町・小樽にも名物団子「花園だんご」がある。こちらも餡の付け方が独特で、抹茶餡や胡麻など5種類の味が楽しめる。花園銀座商店街にあるお店は観光名所、小樽運河と小樽駅の間に位置し、散策の途中、気軽に立ち寄っていける。
北海道の名物団子「大沼だんご」。大沼や小沼に浮かぶ島に見立てた小さな団子は食べやすい
モダンな雰囲気の道後温泉駅。ここから市内電車に乗ればJR松山駅まで約25分、運賃は150円
松山のソウルフードともいえるシンプルな「鍋焼きうどん」。ダシ汁の味わいはどこまでも優しい
岡山行きの特急「しおかぜ」。予讃線・瀬戸大橋線・宇野線を走り、新幹線に連絡する
ところどころ海が間近にせまる予讃線。瀬戸の穏やかな海は、春霞がかかったように見える
日本三名園の後楽園や岡山城など桜名所も多い岡山。静かな桜並木の道を歩けば春爛漫の風情
岡山で食べた瀬戸内海産小イワシの握り。新鮮でさっぱりとした小イワシも瀬戸内の美味だ
2012年4月1日から6月30日まで「瀬戸内・松山キャンペーン」が開催されている松山。旅の2日目は午前中、夏目漱石や正岡子規の面影をたどり、名物の鍋焼きうどんを食べる。彼らが起居した愚陀仏庵(ぐだぶつあん)跡に近い人気店は朝10時からの営業。売切れ次第終了のため、開店早々に訪ねたい。
同キャンペーンの各種イベントを楽しむのなら、松山での滞在時間を延ばし、岡山に寄らず東京へ。プランが自在に変更できるフルムーンパスの強みを活かし、夫婦それぞれの旅を組み立てよう。
かつて本州・四国間は宇高連絡船がメインルートだった。讃岐うどんのダシ汁が香る連絡船はなんとも懐かしいが、瀬戸大橋の時代、新幹線と接続する岡山が四国方面の玄関となり、四国各地を結ぶ列車が発着している。その岡山は、日本三名園の一つ後楽園をはじめ、岡山城など桜名所が多く、また松山と同様、駅前から市内電車も出ており、お花見にも便利だ。
瀬戸内の寿司処でもある岡山。郷土料理の「ばら寿司」(ちらし寿司)や、瀬戸内海で獲れた小イワシの握りも美味。そして、デザートには名物の吉備団子を。駅前に桃太郎一行の像が立つ岡山、エキナカでも各種の吉備団子が販売されており、素朴な味わいが郷愁を呼ぶ。
旅の2日目は一旦、東京へ。高速の新幹線だからこそ、東京にもまめに帰ってこられる。自宅をホテル代わりに使い、旅費も節約。なによりも5日間通しの旅に比べ、荷物が減らせて楽ちんだ。翌3日目からは新潟、東北方面の旅に出よう。
2日目●乗車距離:947.3km 運賃合計2人分:64,540円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
松山~岡山:@ 10,120円(乗3,810円 特グ6,310円) 乗車距離214.4km
岡山~東京:@ 22,150円(乗10,190円 特グ11,960円) 乗車距離732.9km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
<東京発5日間・前編 【旅の2日目】> 岡山に立ち寄り、新幹線で東京へ |
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2日目 | 発着駅 | 時間 | メモ |
岡山で花見を楽しみ、東京へ(自宅泊) ~ 700系に乗車 ~ |
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松山 発 | 11:24 | 特急【しおかぜ16号】グリーン車 | |
岡山 着 | 14:09 | 岡山でお花見タイム | |
岡山 発 | 17:26 | 東海道・山陽新幹線【ひかり480号】グリーン車(700系) | |
東京 着 | 21:40 | 自宅泊 |
観光の問合せ
■岡山:おかやま観光コンベンション協会 TEL. 086-227-0015
東北地方にも独特の団子がある。まずは「ごま摺り団子」。世界遺産の地、平泉で製造され、一ノ関駅をはじめ、盛岡駅など岩手県の主要駅でも購入できる。冷凍の状態で買い求め、常温で1~2時間解凍して食べるというスタイルもユニークで、もちもちの団子を頬張ると、中からトロリとゴマ蜜が広がるのがいい。同じく岩手では“空飛ぶだんご”とも呼ばれる厳美渓(げんびけい)の「郭公(かっこう)だんご」も有名だ。一方、福島県白河市の「南湖だんご」も200年の伝統を持つ。
関東地方で名物団子といえば、やはり東京、日暮里の「羽二重団子」を多くの人が思い浮かべるだろう。夏目漱石の『吾輩は猫である』、正岡子規の『道灌山(どうかんやま)』等にも描かれている「羽二重団子」。滑らかな餡の団子も、焼き団子も、出来立てをいただきたい。
岩手の名物「ごま摺り団子」。食べ頃を頬張ると、トロリとしたゴマの蜜が口の中に広がる