『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

フルムーン夫婦グリーンパスで行く新幹線の旅カレー大好き!! “華麗なフルムーン”~全国をめぐり、おいしいカレーを味わう旅~

  • 1日目 レトロな門司港名物焼きカレー
  • 2日目 高松から大阪へカレーはしご旅
  • 3日目 寝台特急に乗車食堂車のカレー
  • 4日目 北海道、札幌でスープカレーを
  • 5日目 室蘭から函館へカレーなる鉄旅

3日目トワイライトエクスプレスに乗車食堂車で堪能するランチのカレー寝台特急「トワイライトエクスプレス」[大阪⇒札幌]

  • 大阪駅で発車を待つ「トワイライトエクスプレス」。不定期の列車であり運転日のご確認を

  • 下りの「トワイライトエクスプレス」でしか味わうことのできないランチタイムのカレー

  • 「トワイライトエクスプレス」のサロンカー「サロンデュノール」。列車の旅はいいなあ!

  • 「トワイライトエクスプレス」のサロンカーにあるスタンプ。ぜひ押して旅の記念にしよう

  • 「トワイライトエクスプレス」B寝台(Bコンパートメント)。出入りが楽な下段がおすすめ

  • 食堂車で飲むビールは最高にうまい。「トワイライトエクスプレス」にもパブタイムがある

 旅の後半は北へ、北海道のカレーめぐり。寝台特急「トワイライトエクスプレス」に乗って行こう。

 豪華列車として名高い「トワイライトエクスプレス」、フルムーンパスではB寝台(Bコンパートメント、1ブース定員4人)が利用可能。この寝台は上段と下段があり、上段へは窓辺の収納式ハシゴを広げて昇降する。フルムーン世代としてはやはり昇降がいらない下段を予約するのが楽。また、B個室寝台2人用(ツイン)等の個室を希望の場合、フルムーンパスは乗車券部分のみが有効で、別途必要な料金券を購入すればよい。

 大阪と札幌を結ぶ「トワイライトエクスプレス」。この列車には食堂車があり、とりわけ大阪発の下り列車はランチタイムも営業。かつて特急列車の食堂車でランチが普通に食べられた時代もあったが、現在は下りの「トワイライトエクスプレス」だけ。いわば貴重な食堂車でのランチタイム、評判のカレーライスをじっくりといただこう。

 イギリスから日本へ明治初期頃に伝わったというカレー。鉄道発祥の国、イギリスは新橋~横浜間で開業した日本初の鉄道にも関わっている。その縁もあってか鉄道とカレーの歴史は深い。官営鉄道(国鉄)では明治34年(1901)12月15日より東海道線急行列車にて食堂車の営業を開始、当時の食堂車のレシートを見れば、そこにはもう「カレー」の文字があった。

 かれこれ100年にもなる食堂車とカレーの間柄。「トワイライトエクスプレス」の上品な欧風カレーには、鉄道の良き時代が薫る。

3日目●乗車距離:1495.7km 運賃合計2人分:51,240円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
大阪~札幌:@25,620円(乗16,170円 特寝9,450円) 乗車距離1495.7km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

「華麗なフルムーン」3日目
トワイライトエクスプレスで札幌へ[車中泊]
寝台特急に乗車 食堂車のカレー
3

発着駅 時間 メモ
トワイライトエクスプレスで札幌へ
(車中泊)
大阪 発 11:50 寝台特急【トワイライトエクスプレス】B寝台(Bコンパートメント) ※運転日不定期。運転日はJR時刻表で確認を
札幌 着 9:52 小樽や札幌の観光へ

旅のメモ

観光の問合せ
■移動日のため特になし

“カレー”なコラム 3 カレーの想い出

 フルムーン世代が子供だった頃、それはテレビが活気に満ちていた時代。テレビが一家団らんの中心にあって、番組もCMも面白かった。CMソングにも“名曲”が多く、カレーのCMソングもまだ歌えたりする。そんな時代だったから、どこの家でもカレーのルウを買ったのだろう。ただ、家々によって好みのメーカーが異なり、さらに入れる具材などで出来上がったカレーは千差万別に。自分の家のカレーがカレーだと思っていたから、他所の家のカレーを食べた時、味の違いにびっくりしたもの。子供の頃、カレーは社会の広さを知る一つの“窓”になっていた。
 小学校の給食では、東京だったがパン食がメイン。たまにソフト麺(うどん)にカレーがかかったものが出た時はクラス全員が喜んだ。フルムーン世代は、カレーとともに成長したと言っても間違ってはいないと思う。

日本最南端の有人島、沖縄、波照間島で食べた南国風カレー。本当にカレーは日本中にある

4日目広大な北海道らしい大ぶりの具材札幌で「スープカレー」を味わう函館本線[札幌⇔小樽]

  • 北海道の中心地、札幌。JR札幌駅を起点に道内各方面への列車が発着し、いつも活気がある

  • 大通公園の秋。広大な北海道にふさわしい憩いのスポットを、夫婦でのんびり歩いてみたい

  • かつてニシン漁で賑わいをみせた小樽。小樽で食べた海鮮丼には当地らしくニシンの甘露煮も

  • さらさらでスパイシーなスープに大ぶりの具がいっぱい。札幌の「スープカレー」に大満足!

  • 札幌はスイーツもいろいろ。目が合った愛嬌たっぷりのヨーグルトムースで癒しのひと時

  • スープカレーを食べて食欲に目覚めた私たち。ラーメン横丁に出かけ、夜食は味噌ラーメン

 旅の4日目は「トワイライトエクスプレス」を下車した札幌からスタート。時刻は午前10時前、これからどこへ出かけるのにもいい時間だ。時計台や大通公園など見どころ多い札幌市内をゆったり観光したり、旭川へ行って動物園、また、帯広へ行って名物の「豚丼」を食べたりと、JR全線乗り放題のフルムーンパスだから旅は自由自在。このプランのように小樽へ出かけ、北海道の海の幸を昼食にするのもいい。そして、夕方には札幌に戻り、お目当ての「スープカレー」を味わってみよう。

 明治から昭和の初めにかけてニシン漁で賑わいをみせた港町、小樽。市内には今も鰊(ニシン)御殿が残され、北海道指定有形文化財になっている。周辺の食事処を訪ねるとニシンを交えた海鮮丼がメニューに並び、食べてみれば生ホタテやイクラもさることながら、甘露煮のニシンがいかにも小樽らしい風味だった。

 夕食の「スープカレー」はこの名で呼ばれてまだ20年ほどという札幌発祥のもの。さらさらとしたスープはエスニック調でスパイシー、チキンや野菜等の具はどれも大きくて食べごたえも満点、広大な北海道にふさわしいカレーといえる。しかも、スプーンにごはんをのせ、スープに浸して食べるスタイルも楽しかった。札幌の夜は始まったばかり。デザートにスイーツを食べ、ラーメン横丁に繰り出して夜食といこう。

 宿泊するホテルはマッサージチェア付きの部屋がおすすめ。心地よい刺激が旅の疲れをほぐし、ぐっすりと休める。

 

4日目●乗車距離:67.6km 運賃合計2人分:3,680円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
札幌~小樽:@920円(乗620円 指300円) 乗車距離33.8km
小樽~札幌:@920円(乗620円 指300円) 乗車距離33.8km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数 数

モデルコース

「華麗なフルムーン」4日目
札幌や小樽を華麗に観光[札幌泊]

北海道、札幌で スープカレーを
4

発着駅 時間 メモ
札幌や小樽を華麗に観光
(札幌泊)
札幌 発 10:14 快速【エアポート95号】指定席(uシート)
小樽 着 10:46 小樽では海の幸をいただきます
小樽 発 15:04 快速【エアポート154号】指定席(uシート)
札幌 着 15:36 「スープカレー」を食べ、この日は札幌泊

旅のメモ

観光の問合せ
■札幌:札幌観光協会 TEL. 011-211-3341
■小樽:小樽観光協会 TEL. 0134-33-2510

“カレー”なコラム 4 カレーと福神漬け 

 カレーライスに添えられる福神漬け。カレー用に作られた漬物かと思ったが、実は違う。福神漬けは明治初期、東京は上野で誕生。カレーが日本に伝わった時期と同時代だが、それはたまたまのこと。
 当初は高級な西洋料理だったカレーが大衆化、日本食化していく際、ごはんにつきものの和風な漬物に対するニーズも生まれたと推測。福神漬けは、大正時代、客船の食堂でそれまでのピクルスにかわってカレーに添えられたのが始まりのようだが、辛いカレーには甘味のある福神漬けがマッチし普及したのだろう。
 一方、らっきょうの甘酢漬けもよくカレーに添えられる。こちらは和風ピクルスとも言え、洋食由来のカレーとは相性がいい。
 北海道、函館ではカレーに紅ショウガも一般的。これは塩ラーメンがご当地ラーメンの函館ゆえ、塩酢漬けの紅ショウガが好まれるのかもしれない。

函館のカレー店に置かれた漬物セット。函館では福神漬けも紅ショウガもごく普通に食べる

5日目室蘭で「カレーラーメン」を食べ函館では華麗なディナーの最終日函館本線・千歳線・室蘭本線[札幌⇒室蘭]/室蘭本線・函館本線[室蘭⇒函館]/寝台特急「北斗星」[函館⇒上野]

  • モダンな室蘭駅。ここから北海道第4のラーメンという「カレーラーメン」を食べに行こう

  • 見るからにパワフルな室蘭の「カレーラーメン」。次々に来るお客さんも皆、注文していた

  • 特急「北斗」、リニューアルされたグリーン車の座席。乗り心地が良くコンセントもある

  • 函館駅の行き止まり式ホームに到着した特急「北斗」。長いホームには駅特有の旅情がある

  • 函館の老舗洋食店で食べた伝統のカレー。大好物のカレーなので、ごはんはいつも大盛りに

  • 寝台特急「北斗星」2人用B寝台個室「デュエット」はホテルのツインのように寝台が2台並ぶ

 札幌をゆっくり出発する最終日、途中、室蘭と函館に立ち寄り、締めくくりのカレーを食べ、寝台特急「北斗星」で東京、上野へ帰ろう。

 小耳にはさんだ情報では、北の大地、北海道で「第4のラーメン」があるという。札幌の味噌、函館の塩、旭川の醤油に続くもの、それこそが室蘭で盛り上がる「カレーラーメン」。どちらも国民食のカレーとラーメンの組み合わせ、果たしてどのような味なのか、興味津々、室蘭へ。

 目の前に現れた「カレーラーメン」、スープは一見、熱々(あつあつ)には見えないが、一口すすれば超熱々、どろり濃厚なカレーだった。室蘭は鉄の街だが、まさに溶鉱炉の鉄の如し。特徴的な縮れ麺にカレースープがこってりとからみ、第4どころか、これまで北海道で食べたラーメンのなかで一番パワフルなラーメンと思った。

 印象覚めやらぬまま特急「北斗14号」で函館へ。幕末に開港し、以後、港や鉄道とともに歩んできた函館。青函連絡船の時代も、来たる新幹線の時代も、北海道の玄関としてハイカラでロマンチックな情緒は変わらない。

 ここ函館にも明治時代に創業し、大正時代から供される老舗のカレーがある。全国のカレーを食べ歩く華麗なフルムーンの締めくくりに、ディナーは函館伝統の「イギリス風カレー」としよう。

 わずか5日間の旅だったが、日本各地で愛されるカレーを満喫。寝台特急「北斗星」で眠りにつく頃、あらためて日本が好きになっている自分に気付くだろう。

5日目●乗車距離:1228.9km 運賃合計2人分:75,760円
※青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道分を含む
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
札幌~室蘭:@ 4,680円(乗2,420円 特指2,260円) 乗車距離136.2km
室蘭~東室蘭:@ 210円(乗210円) 乗車距離7.0km
東室蘭~函館:@ 8,340円(乗3,570円 特グ4,770円) 乗車距離189.5km
函館~上野:@ 24,650円(乗15,410円 特寝9,240円) 乗車距離896.2km ※1
※1 青い森鉄道(距離121.9km、運賃等@3,770円)、IGRいわて銀河鉄道(距離82km、運賃等@2,790円)分を含む
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

「華麗なフルムーン」5日目
室蘭、函館に立ち寄り、「北斗星」で帰京

室蘭から函館へ カレーなる鉄旅

5

発着駅 時間 メモ
室蘭、函館に立ち寄り、「北斗星」で帰京 
(車中泊)
札幌 発 11:13 特急【すずらん2号】指定席
室蘭 着 12:54 室蘭名物「カレーラーメン」をいただきます
室蘭 発 14:09 室蘭本線普通列車
東室蘭 着 14:22 乗り換え
東室蘭 発 14:36 特急【北斗14号】グリーン車
函館 着 16:49 締めくくりは老舗レストランの「カレー」でディナー
函館 発 21:48 寝台特急【北斗星】2人用B寝台個室「デュエット」
上野 着 9:38 華麗なフルムーンの終わり

旅のメモ

観光の問合せ
■室蘭:室蘭観光協会 TEL. 0143-23-0102
■函館:函館市観光案内所(JR函館駅内) TEL. 0138-23-5440

“カレー”なコラム 5 魅惑のカレーうどん 

 和風でとろみのあるカレーが麺にからみ、つるつると食べられるカレーうどん。この素晴らしいカレー料理はいつできたのだろう。
 諸説あるものの、明治37年(1904)、東京、早稲田の蕎麦店で誕生したようだ。福神漬けがカレーライスに添えられるようになったのは大正時代だが、明治初期、高級な西洋料理として日本に伝わったカレーが徐々に大衆化、日本食化していく様子がわかって興味深い。
 土地柄、早稲田の学生も普及に一役買ったであろうカレーうどん。今や都の西北のみならず全国で味わえ、土地土地の特徴あるご当地カレーうどんも楽しめる。
 たとえば京都。こちらでは刻んだ油揚げ入りのカレーうどんがおいしい。また愛知県豊橋では、ご飯、とろろ、カレーうどんの順に三層で器に盛る。また、伊勢地方には伊勢うどんのカレーうどんもある。

和風のカレーがつるつるの麺にからんでおいしいカレーうどん。写真は我が家のものです

<東京発 「華麗なフルムーン」 の運賃総額、JR総乗車距離>
JR運賃総額:246,060円(2名分合計 通常期で算出)※運賃総額-青い森鉄道、IGR岩手銀河鉄道分
JR総乗車距離:4416.7km ※運賃計算キロ ※総乗車距離-青い森鉄道、IGR岩手銀河鉄道分
お得になった金額:165,560円(JR運賃総額-フルムーン5日間パス定価80,500円)
乗車倍率:3.05倍(JR運賃総額÷フルムーン5日間パス定価80,500円)
※運賃計算キロは、JR東日本のサイト、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示のものです

● 旅人(著者)紹介 相澤秀仁&相澤京子

写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で3巡している。これまでに110日「フルムーン旅行」をし、JR路線も約10万キロ乗車。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。また、英語クロスワードパズルを新聞に17年に渡って連載。
ホームページhttp://www.aizawa22.com

 

文・撮影:相澤秀仁&相澤京子
※掲載されているデータは平成24年9月5日現在のものです。
※JR時刻表9月号を使用。到着時刻等、一部時刻未掲載のものは、えきねっと「乗換・運賃案内」等で表示の時刻を使用。
※時刻および運賃は通常期の「平成24年10月6日」をモデルに算出しました。

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