『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
この旅、最初の列車は東北新幹線E2系「やまびこ127号」。快適なグリーン車で宇都宮へ向かう
宝積寺駅も縁起良い駅として知られている。七福神が列車に乗った烏山線の案内は秀逸です
小判や稲穂も描かれた大金駅の駅舎。駅舎内には自動券売機があり記念に入場券も購入できる
駅舎に隣接の大金神社。ささやかな神社ながら大黒様が祀られており、ここで金運上昇を祈願
大金駅から宇都宮に戻り、ランチに名物の餃子はいかが。黄金色に並んだ餃子が小判のようだ
函館駅に着いた特急「スーパー白鳥」。宇都宮~函館は距離768.5km、所要時間は5時間ほど
人々の出会い織りなす駅。JR線にはなんと4600もの駅があるという。JR時刻表の地図を開けば全国津々浦々に駅があるのがわかり、なかには縁起が良さそうな名前の駅も。
フルムーン世代であれば、一大ブームを巻き起こした北海道、旧広尾線の幸福駅をご記憶と思う。かくいう私も蒸気機関車時代、現役の幸福駅を訪ねているが、この時、特徴的な名前の駅へ行く旅の面白さを知った。
日本全国のJR線に乗り放題できるフルムーンパス。縁起良い駅めぐりの旅もフルムーンパスだからこそ快適でおトクに楽しめる。こんな開運夫婦旅も一度はしてみたい。旅の初日は東京から栃木県の縁起良い駅、大金(おおがね)駅を訪ね、一路、北海道まで進む。
宇都宮駅で「やまびこ127号」を下車し烏山線に乗り換え。烏山線は途中の宝積寺(ほうしゃくじ)駅から分岐する路線だが、宝積寺の先には7駅あることから七福神にちなんだ路線として知られている。どの駅も車両も七福神がモチーフとなり、なかでもとりわけ大金駅(大黒天)が縁起の良い駅で名高い。駅の横には大黒様を祀るその名もずばり大金神社があり、ささやかな神社ながらも祈願すれば大金持ちになれそうな気がしてくる。大金駅では記念に入場券を購入しよう。
宇都宮に戻りランチは名物の餃子を。なんとなく並んだ餃子が大判小判のように見えるのも大金駅に出かけたからだろう。宇都宮13時30分発「やまびこ61号」で仙台に向かい、「はやて35号」「スーパー白鳥27号」と乗り継いで函館(18時53分着)へ。温泉派の方は市内、湯の川温泉でくつろぎ、夜景派の方はロープウェイで函館山にお出かけを。
1日目●乗車距離:926.8km 運賃合計2人分:79,240円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
東京~宇都宮:@6,290円(乗1,890円 特グ4,400円) 乗車距離109.5km
宇都宮~大金:@480円(乗480円) 乗車距離24.4km
大金~宇都宮:@480円(乗480円) 乗車距離24.4km
宇都宮~仙台:@10,680円(乗4,310円 特グ6,370円) 乗車距離242.3km
仙台~新青森:@14,190円(乗6,090円 特グ8,100円) 乗車距離361.9km
新青森~函館:@7,500円(乗3,150円 特グ4,350円) 乗車距離164.3km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
縁起良い駅めぐりの弾丸フルムーン 1日目 |
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1 日 目 |
発着駅 | 時間 | メモ |
東京から「大金駅」を訪ね、函館へ(函館泊)
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東京 発 | 8:08 | 東北新幹線【やまびこ127号】グリーン車(E2系) | |
宇都宮 着 | 9:01 | 乗り換え | |
宇都宮 発 | 9:18 | 普通列車 ※途中の「宝積寺(ほうしゃくじ)駅」も縁起良い駅として知られている |
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大金 着 | 9:53 | 大金持ちになれそうな縁起良い「大金(おおがね)駅」、駅横の大金神社を参拝 | |
大金 発 | 11:19 | 普通列車 | |
宇都宮 着 | 11:56 | ランチには宇都宮名物の餃子を | |
宇都宮 発 | 13:30 | 東北新幹線【やまびこ61号】グリーン車(E2系) | |
仙台 着 | 14:33 | 乗り換え | |
仙台 発 | 14:38 | 東北新幹線【はやて35号】グリーン車(E5系) | |
新青森 着 | 16:30 | 乗り換え | |
新青森 発 | 16:41 | 特急【スーパー白鳥27号】グリーン車 | |
函館 着 | 18:53 | この日は函館泊(温泉派の方は湯の川温泉へ) |
観光の問合せ
■宇都宮:宇都宮市観光案内所(JR宇都宮駅構内) TEL.028-636-2177
大金駅が開業したのは大正12年(1923)4月15日。今年は開業90周年の節目の年にあたる。
栃木県の真ん中あたり、東北本線の宝積寺駅から分岐し、烏山駅までの20.4kmを結ぶ烏山線。宝積寺以遠には7つの駅があり、宝積寺や大金といった縁起の良い名前の駅もあって、各駅は七福神がイメージされている。大黒天の大金駅は、単線の烏山線で唯一、列車の交換ができる駅。そのため無人駅とはいえ運転扱いを行なう係員が配置されている。駅舎には乗車券の自動券売機もあり、記念となる入場券の購入も可。そして、特筆すべきは大黒様を祀る駅横の大金神社。ささやかな神社であれ祈願すればご利益もきっと待っている。
乗車しているだけで七福神めぐりができる烏山線。来年春頃には蓄電池で走る新型車両、EV-E301系の導入が予定されている。
栃木県那須烏山市大金にある大金駅の駅名標。その昔、金が採れたことが地名の由来とも
エキゾチックな教会群が印象的な函館の風景。旅の2日目、午前中は函館を観光して歩こう
古くからの開港都市、函館には洋食もお似合い。たまには夫婦でエレガントなランチでも
函館からは特急「北斗11号」で東室蘭へ。東室蘭で普通列車に乗り換えて目的の黄金駅へ
モダンな黄金駅の駅舎。駅舎からホームに出ると目の前は噴火湾。有珠山なども一望できる
特急「スーパー北斗13号」グリーン車で札幌へ。リニューアルされたシートは座り心地も抜群
札幌で食べた春ニシン。この時期、春告魚ともいわれるニシンをぜひ食べてみたい。絶品です
縁起良い駅をめぐる旅。2日目は午前中、函館市内を観光し、ランチを食べてゆっくり出発しよう。
エキゾチックな街、函館。教会群が建ち並ぶ元町では、数ある坂道ごとに心ときめく風景が見て取れ、港に浮かぶ旧青函連絡船(摩周丸)ともども何度見ても飽きることがない。元町の他にも五稜郭やトラピスチヌ修道院などなどのスポットがある函館。この街の空気は夫婦を恋人時代のように若返らせてくれる。あの頃みたいに手をつなぎデート気分で歩いてみたい。
さて次なる縁起良い駅、黄金(こがね)駅は室蘭本線にある。特急列車は停車しない駅なので最寄の特急停車駅、東室蘭で普通列車に乗り換えて向かう。本プランでは函館14時ちょうど発の特急「北斗11号」としたが、一つ前の特急で東室蘭へ行き、名物のカレーラーメンをすするのもあり。
噴火湾を目の前に、夕陽が美しい黄金駅。モダンな駅舎の無人駅であり、駅舎や駅名標をバックに記念写真を撮ろう。
黄金駅到着から7分後の16時35分、東室蘭へ行く普通列車がやってくる。短時間の黄金駅滞在だったが、噴火湾沿いの原野を見て思う。黄金や宝物はこういうところに人知れずあるのかもしれないと。
東室蘭で「スーパー北斗13号」に乗り、札幌18時35分着。北海道の美味があれもこれも食べられる札幌は食欲が大いに刺激される街。ジンギスカンやスープカレーなどの定番メニューもいいが、この時期、春告魚とも呼ばれるニシンがおいしく、生を寿司で味わってみるのもおすすめだ。
2日目●乗車距離:342.9km 運賃合計2人分:31,400円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
函館~東室蘭:@8,340円(乗3,570円 特グ4,770円) 乗車距離189.5km
東室蘭~黄金:@260円(乗260円) 乗車距離12.1km
黄金~東室蘭:@260円(乗260円) 乗車距離12.1km
東室蘭~札幌:@6,840円(乗2,420円 特グ4,420円) 乗車距離129.2km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
縁起良い駅めぐりの弾丸フルムーン 2日目 函館を観光し、縁起良い駅「黄金駅」を訪ね、札幌へ(札幌泊) |
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2 日 目 |
発着駅 | 時間 | メモ |
函館を観光し、縁起良い駅「黄金駅」を訪ね、札幌へ(札幌泊) | |||
函館 発 | 14:00 | 特急【北斗11号】グリーン車 | |
東室蘭 着 | 16:10 | 乗り換え | |
東室蘭 発 | 16:12 | 普通列車 | |
黄金 着 | 16:28 | 縁起良い駅「黄金(こがね)駅」訪問 | |
黄金 発 | 16:35 | 普通列車で再び東室蘭へ | |
東室蘭 着 | 16:51 | 乗り換え | |
東室蘭 発 | 17:17 | 特急【スーパー北斗13号】グリーン車 | |
札幌 着 | 18:35 | この日は札幌泊 |
観光の問合せ
■函館:函館市観光案内所(JR函館駅) TEL.0138-23-5440
北海道伊達市南黄金町にあるJR黄金駅。駅名も住所も黄金とは縁起が良い。
モダンな駅舎の黄金駅は室蘭本線の無人駅。室蘭本線といえば札幌~函館間の特急「スーパー北斗」や「北斗」が駆け抜ける幹線、上野や大阪を結ぶ寝台特急「北斗星」、「トワイライトエクスプレス」などもここを通る。ただ特急列車は通過するので訪問には普通列車を上手に利用したい。
黄金駅の開業も古く、大正14年(1925)8月20日。ホームからは噴火湾(内浦湾)を間近にのぞみ、天気に恵まれれば函館方面をかなり見渡せる。
海のみならず山も見渡せる黄金駅。伊達紋別駅方向(北西)に目を転じれば、標高737mの活火山、有珠山に昭和新山、その背後には蝦夷富士として知られる標高1898mの羊蹄山が端正な姿を見せる。黄金駅は気分爽快な絶景駅と言えるだろう。
北海道伊達市南黄金町にある黄金駅の駅名標。開業時の駅名は黄金蘂(おこんしべ)駅