『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
大阪のシンボル、大阪城。金城や錦城とも呼ばれ、端正な天守はお城らしい姿をしている
「粉もん」で知られる大阪。まずは定番の「たこ焼き」。熱々をはふはふと食べるのがいい
大阪では「串揚げ」(串かつ)も食べよう。揚げたてにソースの風味、ビールがすすみます
新大阪駅を出発する700系新幹線。16両編成の新幹線は堂々たる眺めで、グリーン車は3両ある
東京駅で発車を待つ寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」。高松行きと出雲市行きの“合体編成”
「サンライズ瀬戸・出雲」のノビノビ座席(上段の様子)。カーペット敷きで身体が伸ばせる
旅の3日目は関西エリアを観光し、一旦、東京に戻り、さらにとんぼ返りで再び西へ行くサプライズ・プラン。
“走るホテル”にたとえられる「トワイライトエクスプレス」が終着駅、大阪に到着するのは12時53分。新大阪18時13分発の「ひかり532号」までは時間もたっぷり。大阪のシンボル、大阪城をまずは見学し、「大阪グルメ」を“はしご”したい。
たこ焼き、お好み焼き、串揚げ(串かつ)等々、「食いだおれ」といわれる大阪はおいしい食べものがずらり。本場のたこ焼きを頬張り、本場の串揚げでビールをお代わり。全国各地の名物料理を味わうのもフルムーン旅行の大きな楽しみだ。
モデルコースは大阪観光としたが、京都や神戸もいい。京都なら「トワイライトエクスプレス」が12時15分の到着。東京へ戻る「ひかり532号」(京都18時29分発)まで6時間以上時間ができる。そして、駅前の京都タワーには地下に大浴場があり、一風呂浴びるのも一興と思う。
「明星」、「あかつき」、「彗星」といった九州への寝台特急が姿を消した大阪。今、夜汽車利用で九州へ行こうとすると、一旦、東京へ出て、高松・出雲市行きの寝台特急「サンライズ瀬戸・出雲」に乗って岡山へ。そこで新幹線に乗り換えて行くルートが浮上。フルムーンパスの場合、「サンライズ瀬戸・出雲」はカーペット敷きで2階式のノビノビ座席(普通車指定席)が追加料金不要、もちろん別途料金を追加すれば個室の寝台にも乗車できる。今回はこうして九州を目指そう。
3日目●乗車距離:1285.5km 運賃合計2人分:64,480円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
新大阪~東京:@18,390円(乗8,510円 特グ9,880円) 乗車距離552.6km
東京~岡山:@13,850円(乗10,190円 特指3,660円) 乗車距離732.9km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
東京発5日間・後編【旅の3日目】 旅情満喫! 夜行列車フルムーン 3日目 |
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3 日 目 |
発着駅 | 時間 | メモ |
関西エリアを観光し、東京に戻って 「サンライズ瀬戸・出雲」に乗車 ~ 700系に乗車 ~ |
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新大阪発 | 18:13 | 東海道新幹線【ひかり532号】グリーン車(700系) | |
東京 着 | 21:10 | 乗り換え | |
東京 発 | 22:00 | 寝台特急【サンライズ瀬戸・出雲】ノビノビ座席 | |
岡山 着 | 6:27 | 車中泊で岡山着、新幹線に乗り換え |
観光の問合せ
■大阪:大阪市ビジターズインフォメーションセンター・梅田(JR大阪駅・1F中央コンコース北側) TEL.06-6345-2189
東京~高松を結ぶ「サンライズ瀬戸」と東京~出雲市を結ぶ「サンライズ出雲」。両列車は東京~岡山間を一体化編成で走るため、「サンライズ瀬戸・出雲」とよく表記される。
フルムーンパスが発売になった頃は東京から西へ向かう寝台列車もいろいろとあったが、現在は「サンライズ瀬戸・出雲」のみ。九州方面への接続を含め、この列車を上手に活用したいもの。
1人用A寝台個室「シングルデラックス」やシャワー等、さまざまな設備を有する「サンライズ瀬戸・出雲」。フルムーンパスで追加料金なしでの場合は、ノビノビ座席(普通車指定席)の利用に。カーペット敷きで身体が伸ばせるユニークな“座席”で、1階席と2階席がある。階段を使わない分、1階席の方が出入りは楽だが、寝台ではないため、旅行用のエアクッションなどがあれば快適さが増す。
岡山駅で連結の高松発「サンライズ瀬戸」(写真右)と出雲市発「サンライズ出雲」(同左)
「ばら寿司」(ちらし寿司)で知られる岡山。駅弁「桃太郎の祭ずし」も華やかで郷土色満点
山陽・九州新幹線N700系「さくら」グリーン車。岡山から鹿児島中央まではおよそ3時間半の旅
鹿児島中央駅に到着するN700系新幹線。九州新幹線によって鹿児島は本当に行きやすくなった
指宿温泉の名物、砂むし。干潮時は波打ち際で、また、全天候型の砂むし場(写真)もある
指宿でランチに食べた「鰹丼」。醤油漬けの鰹がたっぷり盛られた丼で、とても美味でした
岡山駅に到着した東京行き「サンライズ出雲」。これから「サンライズ瀬戸」と連結される
若い頃、周遊券で日本中を旅されたフルムーン世代の方も大勢いると思う。あの頃の夜汽車はシーズンともなると相当に混み合っていた……。
下り急行「津軽」などでは自由席の4人掛けボックスが満席なのは言うに及ばす、デッキでほぼ立ったまま夜明かしをしたり、通路で新聞紙を広げて横になる人も多々見られた。本当に時代は変わるもので、「サンライズ瀬戸・出雲」のノビノビ座席みたいに身体が伸ばせる普通車指定席など想像ができなかった。
「サンライズ瀬戸・出雲」を岡山で下車し、山陽・九州新幹線「さくら」グリーン車に乗り継ぐ。「さくら」も以前はブルートレインを代表した列車名の一つだが、新幹線で復活したのは喜ばしい。鹿児島中央到着後、そのまま市内を観光したり、砂むしで知られる名湯、指宿温泉へ出かけてみるのもいい。
モデルコースでは夜、岡山に戻り、再び「サンライズ瀬戸・出雲」に乗って東京へ行くプランとしたが、既に3夜連続の車中泊となっている。フルムーン旅行成功のカギは無理をしないこと。この辺で夜行列車は一段落とし、宿をとってのんびりするのもおすすめ。指宿温泉にも露天風呂付き客室を備えた宿があり、南国の湯に心ゆくまで浸かることができる。
指宿に滞在の場合、翌5日目は薩摩富士の別名を持つ開聞岳(かいもんだけ)や池田湖を観光し、新幹線で一気に東京へ帰ろう。鹿児島中央16時11分発「さくら566号」に乗車すれば、新大阪で「ひかり538号」に乗り換えて、東京には23時26分の到着となる。
4日目●乗車距離:2286.1km 運賃合計2人分:143,660円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
岡山~鹿児島中央:@27,470円(乗10,610円 特グ16,860円) 乗車距離730.9km
鹿児島中央~指宿:@2,070円(乗970円 特指1,100円) 乗車距離45.7km
指宿~鹿児島中央:@970円(乗970円) 乗車距離45.7km
鹿児島中央~岡山:@27,470円(乗10,610円 特グ16,860円) 乗車距離730.9km
岡山~東京:@13,850円(乗10,190円 特指3,660円) 乗車距離732.9km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
東京発5日間・後編【旅の4日目】 旅情満喫! 夜行列車フルムーン 4日目 |
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4 日 目 |
発着駅 | 時間 | メモ |
鹿児島など九州を観光し、 再び「サンライズ」で東京へ ~ N700系に乗車 ~ |
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岡山 発 | 7:16 | 山陽・九州新幹線【さくら541号】グリーン車(N700系) | |
鹿児島 中央 着 |
10:42 | 鹿児島を観光、指宿温泉もおすすめ | |
鹿児島 中央 発 |
11:54 | 特急【指宿のたまて箱3号】普通車指定席 | |
指宿 着 | 12:45 | ランチを食べて温泉でゆったり | |
指宿 発 | 16:43 | 快速【なのはな】 | |
鹿児島 中央 着 |
17:42 | 乗り換え | |
鹿児島 中央 発 |
18:29 | 九州・山陽新幹線【さくら574号】グリーン車(N700系) | |
岡山 着 | 22:00 | 乗り換え | |
岡山 発 | 22:33 | 寝台特急【サンライズ瀬戸・出雲】ノビノビ座席 | |
東京 着 | 7:08 | 車中泊で東京着 |
観光の問合せ
■鹿児島:鹿児島中央駅総合観光案内所 TEL.099-253-2500
■指宿:指宿市観光協会 TEL.0993-22-3252
フルムーンパス発売開始の頃も今も走り続ける寝台特急「あけぼの」。上野~青森間を結び、フルムーン世代には懐かしい20系客車(ブルートレインの“起源”となった車両)が最も遅くまで運用された寝台特急でもある。
現在は「北斗星」と同じく24系客車で運転の「あけぼの」。食堂車やシャワーはないものの、1人用A寝台個室「シングルデラックス」などの設備を有し、フルムーンパスでは一般的な開放B寝台(2段ベッドが向き合う4人用の区画)が追加料金なしで利用でき、おすすめ。
この「あけぼの」、上りは青森発が18時23分で上野到着が翌朝6時58分。新幹線時代の今、新青森19時36分発の「はやぶさ20号」なら23時4分には東京に着いてしまう。速さも魅力だが、寝台列車の旅にも魅力がある。列車はお二人のお好みに合わせてお選びを。
寝台特急「あけぼの」のヘッドマーク。この列車は特に上野~秋田間の夜間移動に重宝する
ヘッドレスト(枕)も快適な東北新幹線E5系グリーン車。ヘッドレスト横には読書灯もある
函館で食べた「生ウニ丼」。ウニも北海道へ行くと食べたくなる食材の一つ。絶品でした
旧青函連絡船「摩周丸」が浮かぶ函館。そのすぐ横は、カーブしたホームが特徴の函館駅
寝台特急「北斗星」は函館駅で進行方向がチェンジする。ED79形機関車を先頭に発車を待つ
寝台特急「北斗星」2人用B寝台個室「デュエット」下段。階段もなく出入りが楽なのがいい
食堂車が連結されている「北斗星」。パブタイムに食堂車へ出かけ、ハンバーグを味わう
東京7時8分着の「サンライズ瀬戸・出雲」。旅の最終日、もしお疲れならこのままご帰宅を。そして、日帰りのコースにするのも一案。最終日は体調によって旅程を変更したい。
もし日帰りにするのなら、たとえば長野へ出かけ善光寺参り&そば、新潟へ出かけ日本海の寿司を堪能等々、いずれも快適なグリーン車を備えた新幹線の利用が身体への負担の少ない旅の“決め手”となる。
この頃、とても元気なフルムーン世代。モデルコースのように函館へ行き、北の幸を味わい、旅の締めくくりに寝台特急「北斗星」に乗車するのはいかがだろう。
東北新幹線の新青森延伸で近くなった函館。13時44分には到着し、上り「北斗星」の発車(21時48分)まで時間もたっぷり8時間。市内各所を見て歩き、函館山からの夜景鑑賞もできる。お風呂好きの方なら、函館山の麓にある谷地頭(やちがしら)温泉がいい。
2人用B寝台個室「デュエット」に乗車できる「北斗星」は、フルムーンパスで最も利用価値の高い寝台列車だと思う。函館で乗車すれば食堂車はパブタイム(予約不要)の真っ最中。旅の完遂記念に祝杯をあげよう。
全日程が夜行列車で宿泊費のかからないフルムーン。寝ながら移動する旅ゆえ、総乗車距離も驚きの約8000kmとなった。宿泊費が浮いた分、行く先々の美味を食べ歩く、これも一つの旅のスタイル。もしかすると今しかできない旅なのかもしれない。ただ、くれぐれもお身体はお大事に。疲労の度合いにより、自宅泊や宿での宿泊を含め、臨機応変のアレンジを。
5日目●乗車距離:1774.2km 運賃合計2人分:106,020円
【各区間ごとの運賃と乗車距離】
東京~新青森:@20,860円(乗9,870円 特グ10,990円) 乗車距離713.7km
新青森~函館:@7,500円(乗3,150円 特グ4,350円) 乗車距離164.3km
函館~上野:@24,650円(乗15,410円 特寝9,240円) 乗車距離896.2km ※1
※1 青い森鉄道(距離121.9km、運賃等@3770円)、IGRいわて銀河鉄道(距離82km、運賃等@2790円)分を含む
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
東京発5日間・後編【旅の5日目】 旅情満喫! 夜行列車フルムーン 5日目 |
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5 |
発着駅 | 時間 | メモ |
函館を観光し、「北斗星」の個室 「デュエット」で帰京 ~ E5系に乗車 ~ |
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東京 発 | 7:32 | 東北新幹線【はやて23号】グリーン車 | |
新青森 着 | 11:08 | 乗り換え | |
新青森 発 | 11:34 | 特急【スーパー白鳥15号】グリーン車 | |
函館 着 | 13:44 | 函館を観光、グルメも満喫 | |
函館 発 | 21:48 | 寝台特急【北斗星】2人用B寝台個室「デュエット」 | |
上野 着 | 9:38 | 夜行列車フルムーンの終わり |
観光の問合せ
■函館:函館市観光案内所(JR函館駅内) TEL.0138-23-5440
上野~札幌間を走る「北斗星」はフルムーンパスでの旅が最も楽しめる寝台特急だと思う。その理由は追加料金なしで利用できる2人用B寝台個室「デュエット」にある。
1人用A寝台個室「ロイヤル」や2人用A寝台個室「ツインデラックス」には及ばないものの、ホテルのツインルームのようにベッドが横に2台並んだ個室はスイートホームそのもの、夫婦の旅にちょうどよい。
上段と下段がある「デュエット」。カーブした窓から晴れていれば星空が見えるのが上段で、階段いらずで出入りが楽ちんなのが下段。シニア世代の方には楽な下段の方をおすすめしたい。
食堂車やシャワー設備もある「北斗星」。予約不要のパブタイムに食堂車へ出かけ、夫婦でグラスを傾けるのも列車の旅ならでは、ステキな語らいのひと時をぜひどうぞ。
いかにも夜行列車らしい寝台特急「北斗星」のヘッドマーク。これを見るとまた乗りたくなる
<東京発 「旅情満喫! 夜行列車フルムーン」 の運賃総額、JR総乗車距離>
運賃総額:448,540円(2名分合計 通常期で算出)※運賃総額-青い森鉄道、IGR岩手銀河鉄道分
JR総乗車距離:7960.1km ※運賃計算キロ ※総乗車距離-青い森鉄道、IGR岩手銀河鉄道分
お得になった金額:368,040円(JR運賃総額-フルムーン5日間パス定価80,500円)
乗車倍率:5.57倍(JR運賃総額÷フルムーン5日間パス定価80,500円)
※運賃計算キロは、JR東日本のサイト、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示のものです。
写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で4巡している。これまでに120日フルムーンパスでの旅をし、JR路線も約11万キロ乗車。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。また、英語クロスワードパズルを新聞に17年に渡って連載。
ホームページhttp://www.aizawa22.com
文・撮影:相澤秀仁&相澤京子
※掲載されているデータは平成25年(2013)5月11日現在のものです。
※JR時刻表4月号を使用。到着時刻等、一部時刻未掲載のものは、えきねっと「乗換・運賃案内」等で表示の時刻を使用。
※運賃は通常期(5月25日)をモデルに算出しました。