『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。

フルムーン夫婦グリーンパスで行く新幹線の旅|春のうららかフルムーン~新幹線「さくら」に乗って行く西日本、2600kmの旅~

  • 1日目|東京から福山へ 船で行く真鍋島
  • 2日目|大分県の名湯へ 湯平温泉に滞在
  • 3日目|由布院を散策し 人気列車で博多
  • 4日目|太宰府に出かけ 新幹線で大阪へ
  • 5日目|関西各地を訪ね 観光そして帰京

3日目|九州のリゾート地、由布院を散策 ランチを食べて人気列車で博多へ|久大本線・鹿児島本線[湯平⇒由布院⇒博多]

  • 久留米と大分を結ぶ久大本線。普通列車にはキハ125形気動車も使用されている。湯平駅にて

  • 豊後富士とも呼ばれる由布岳をバックに続く湯の坪街道。由布院らしいおしゃれなスポット

  • 温泉も湧き出す金鱗湖は水温が高く、外気との温度差によっては幻想的な霧が立ち上ることも

  • 由布院でのランチにぴったりな名物の親子丼。親子丼は夫婦で食べても親子丼。美味でした

  • 丸みを帯びたグリーンの車体が特徴的な人気の特急「ゆふいんの森」に乗車して博多へ行こう

  • 高い位置に座席があるハイデッカー型の特急「ゆふいんの森」。前方(後方)展望もばっちり

 旅の3日目も朝湯にのんびり浸かって出発はゆっくり。せっかくのフルムーン旅行、せっかくの温泉だから、あまりせかせかしない「ゆとり旅」でいこう。

 この日は湯平駅から2駅先、由布院を散策し、ランチを味わって博多へ向かう小旅行。宿の送迎車で湯平駅へ行き、普通列車に乗ってすぐ、由布院駅に到着する。

 湯平と由布院はかつては別の自治体だったが、今はともに由布市に。普通列車で10分少々と距離的には近いものの、ひそやかな湯平とは対照的に、由布院は九州きってのおしゃれな高原リゾートとして女性客を中心にいつも大賑わい。駅を一歩出れば、もうリゾート気分が満ちてくる。

 徒歩での散策にほどよい感じの由布院。早速、土産物店やケーキ店に寄り道をしつつ、1番のスポット、湯の坪街道やその奥にたたずむ金鱗湖(きんりんこ)へ。夕日に輝く魚のウロコから名が付いた金鱗湖は底から温泉も湧いていて水温も高く、テラピアやグッピー等の魚も棲息。ちょっと変わった魚影に驚くかも。

 由布院では名物の親子丼をはじめ、ランチはお好みで。また、食後は足湯や共同浴場めぐりに出かけてみるのも面白そう。

 たっぷりと由布院で時を過ごし、人気の特急列車「ゆふいんの森」に乗車。この列車はグリーン車こそないものの、ハイデッカータイプで眺めがよく、「慈恩の滝」など沿線の車窓ハイライトをお見逃しなく。この日は博多に宿泊。夫婦で中洲や天神に繰り出して福岡の味覚に舌鼓を打ちたい。

3日目●乗車距離:145.3km 運賃合計2人分:9,660円
【個別区間(列車)ごとの運賃と乗車距離】
湯平~由布院:@280円(乗280円) 乗車距離10.5km
由布院~博多:@4,550円(乗2,810円 特指1,740円) 乗車距離134.8km
※運賃例は2014年4月1日消費税改定後の通常期で算出 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

東京発「春のうららか」フルムーン3日目
3

発着駅 時間 メモ
由布院でランチを食べ、博多へ(博多泊)
湯平 発 10:40 久大本線、普通列車
由布院 着 10:53 ランチ&散策を
由布院 発 15:50 特急【ゆふいんの森4号】普通車指定席
博多 着 18:08 この日は博多泊

旅のメモ

観光の問合せ
■由布院:
由布院温泉観光案内所(由布院駅構内)
TEL. 0977-84-2446

街歩きのポイント(3)由布院の歩き方

 九州きっての人気リゾート地の1つ、由布院。こちらはJR由布院駅が散策の基点としてちょうどよく、駅構内には観光案内所もあってとても便利。
 やはり由布院での散策コースでおすすめといえば、駅前から由布岳方向に歩き、湯の坪街道や金鱗湖方面をめぐるもの。標高450mほどという由布院は、九州の軽井沢とも呼ばれ、湯の坪街道をはじめとしておしゃれな店がいっぱいある。
 ここは、散策がてらお目当ての食べものなどショップめぐりも面白そう。なかでもロールケーキといったスイーツ系が充実、甘党の方にはたまらない街だ。由布院は温泉の良さが知られているので、湯めぐり派の方は駅近くの乙丸(おとまる)温泉館や、金鱗湖そばの下ん湯(したんゆ)へどうぞ。

由布院温泉の共同浴場「下ん湯」(混浴)は金鱗湖に隣接。藁葺き屋根で趣ある建物も印象的

4日目|博多から太宰府に出かけて参拝し 夜は大阪に宿泊、関西の味を堪能|鹿児島本線[博多⇔二日市]/山陽新幹線[博多⇒新大阪]

  • 特急「みどり」の783系グリーン車。「ハイパーサルーン」の愛称にふさわしく、車内はゆったり

  • 学問の神、菅原道真ゆかりの太宰府天満宮。パワースポットとしても知られ、参拝者が絶えない

  • 太宰府天満宮参拝の後に食べた焼き立ての梅ヶ枝餅。皮はパリッとして小豆餡はホッカホカ!

  • 夕刻の新大阪駅に到着したN700系「さくら」。食いだおれと呼ばれる大阪、夕食はお好みで

  • いかにも大阪らしい道頓堀の夜景。周辺には飲食店も集まり、大阪グルメのテーマパークみたい

  • 大阪で食べてみたい料理の一つ「串カツ」。ソースの「二度漬け禁止」がルールの店も多い

 博多の夜はお楽しみいただけただろうか。旅の4日目も夜更かしさんに優しいゆっくりのスタート。この日は気分一新、菅原道真ゆかりの太宰府を訪ね、パワースポットといわれる天満宮の参拝と、名物の梅ヶ枝餅を味わってみたい。

 博多から太宰府へJR線で行く場合、特急も数多く停車する二日市駅からバスやタクシーで向かうのが便利。二日市までは特急列車でほんの10分ほどだが、グリーン車に空席があればぜひご利用を。

 太宰府天満宮をモチーフにした二日市駅。土地土地のシンボルがモチーフとなった駅には特有の旅情が漂っている。さて、シンボルの太宰府天満宮では、学問の神として知られる菅原道真を祀り、学問のみならず厄除けのご利益も。夫婦で参拝し、天神様のパワーをいただこう。

 さあ続いては梅ヶ枝餅。これは小豆餡を生地で包み、梅の刻印がわかるよう焼き上げた菓子で、天満宮の門前では出来立てを頬張ることができる。この梅ヶ枝餅、焼き立ては皮がパリッとして香ばしく、ホカホカの餡と絶妙にマッチ。太宰府で食べる出来立ての梅ヶ枝餅、おいしいですよ!

 太宰府から博多へ戻り、本日宿をとる大阪へ山陽新幹線「さくら」に乗って移動。この日は梅に「さくら」にと、なんだか春爛漫の旅模様。そして、「食いだおれ」といわれる大阪ではさらなる美味も待っている。

 新大阪到着はちょうど夕食時、今宵は大阪名物のお好み焼きや串カツ、たこ焼きなどをお好みで召し上がれ。

4日目●乗車距離:650.7km 運賃合計2人分:48,360円
【個別区間(列車)ごとの運賃と乗車距離】
博多~二日市:@1,610円(乗280円 特グ1,330円) 乗車距離14.2km
二日市~博多:@1,610円(乗280円 特グ1,330円) 乗車距離14.2km
博多~新大阪:@20,960円(乗9,610円 特グ11,350円) 乗車距離622.3km
※運賃例は2014年4月1日消費税改定後の通常期で算出 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

東京発「春のうららか」フルムーン4日目
4

発着駅 時間 メモ
太宰府を散策し、大阪へ(大阪泊)
~ N700系に乗車 ~
博多 発 10:32 特急【みどり7号】グリーン車
二日市 着 10:44 路線バスまたはタクシーで太宰府へ、太宰府を散策
二日市 発 14:23 特急【みどり16号】グリーン車
博多 着 14:34 乗り換え
博多 発 15:09 山陽新幹線【さくら558号】グリーン車(N700系)
新大阪 着 17:44 この日は大阪泊

旅のメモ

観光の問合せ
■太宰府:
太宰府市観光案内所 TEL. 092-925-1880
■大阪:
大阪市ビジターズインフォメーションセンター・梅田(大阪駅・1F中央コンコース)
TEL. 06-6345-2189

街歩きのポイント(4)太宰府の歩き方

 7世紀後半、当地に設置された行政機関、大宰府。地名や天満宮は「太宰府」と表記するので少々ややこしいものの、当時の大宰府は九州とその周辺をカバーし、防衛や外交も担当する重要な機関だったという。また太宰府は、京都からやってきた菅原道真を祀る太宰府天満宮や、名物の梅ヶ枝餅でも知られている。
 ここ太宰府一帯では、学問の神、菅原道真にちなみ、天満宮をはじめとする悠久の歴史散歩をしてみよう。
 もし時間が許せば太宰府天満宮を基点に九州国立博物館、大宰府政庁跡、国分寺跡などをゆっくりと歩いてみたい。あまり時間がない時は、太宰府天満宮に絞って参拝を。「心」の字をかたどった心字池や、有名な飛梅、宝物殿など見どころもいろいろとある。

太宰府天満宮へと続く道。名物の梅ヶ枝餅を売る店が何店もあり、ぜひ焼き立てをどうぞ

5日目|大阪や京都など関西を自由に観光 N700系グリーン車でゆったり帰京|東海道新幹線[新大阪⇒京都⇒東京]

  • 大阪城の石垣には笠岡諸島の北木島の石も使われているという。春のお堀に桜が花を添える

  • 関東の「つゆ」に慣れた人はきっと驚く関西の「つゆ」。名物「きつねうどん」は美味でした

  • 新大阪駅に入線した東海道新幹線N700系「ひかり」。N700系の車両が増えてきた

  • 早咲きから遅咲きまで楽しめる京都の桜。例年、3月末頃から5月前まで各種の桜が古都を彩る

  • 京都では熱々の湯豆腐を夫婦でどうぞ。当地では湯豆腐は濃いめで甘めの「だし」でいただく

  • 旅のフィナーレを飾る東海道新幹線N700系グリーン車。快適な空間でくつろぎながら東京へ

 旅の最終日は終日フリープラン。モデルコースは京都としたが、大阪をはじめ奈良、神戸など関西エリアを自由に観光し、夜、東京へ。

 食べものにしても見どころにしても、興味わくわくの関西。夫婦それぞれに訪ねてみたいスポットをゆったりと訪ねてほしい。たとえば、旅の初日に眺めた北木島にちなみ、島の石も石垣に使われている大阪城をじっくりと見学してみたり、また、4日目に参拝した太宰府の菅原道真にちなみ、京都で彼の足跡を訪ねる旅をしてみるのもいい。

 季節は春。京都にしても大阪にしても、もし桜とタイミングが合えば、ぜひとも桜名所めぐりがおすすめ。桜には早咲きのものもあれば、八重桜など5月前まで見頃となる遅咲きのものも。この時期の旅であれば、どこかでちょうど見頃を迎えている桜もあるはず。東京の桜とは一味も二味も違う古都の桜、風雅な桜に心癒やされる一日を過ごすのもフルムーンパスの旅らしい。

 毎春、気になるJR東海の「そうだ 京都、行こう。」キャンペーン。今春のスポットは洛西の大原野(おおはらの)にある十輪寺(なりひらてら)だとか。京都ファンのご夫婦はこちらも要チェック。ただ、フルムーンパスにはこの時期、利用できない期間が一部あるのでご注意を。

 やっぱり“花より団子”のご夫婦は関西うまいものめぐりの1日をどうぞ。関東と関西では料理の味付けはかなり異なり、なかでも「だし」の違いが顕著。薄い色合いで風味豊かな上品な味、関西ならではのグルメに親しみ、「だし」の余韻とともに旅を終えよう。

5日目●乗車距離:552.6km 運賃合計2人分:43,900円
【個別区間(列車)ごとの運賃と乗車距離】
新大阪~京都:@3,570円(乗560円 特グ3,010円) 乗車距離39.0km
京都~東京:@18,380円(乗8,210円 特グ10,170円) 乗車距離513.6km
※運賃例は2014年4月1日消費税改定後の通常期で算出 ※距離は運賃計算に用いるキロ数

モデルコース

東京発「春のうららか」フルムーン5日目

5

発着駅 時間 メモ
大阪や京都を観光し、東京へ
~ N700系に乗車 ~
新大阪 発 10:16 東海道新幹線【ひかり516号】グリーン車(N700系)
京都 着 10:31 ランチも観光も!
京都 発 18:33 東海道新幹線【ひかり532号】グリーン車(N700系)
東京 着 21:10 旅の終わり

旅のメモ

観光の問合せ
■大阪:
大阪市ビジターズインフォメーションセンター・梅田(大阪駅・1F中央コンコース) TEL. 06-6345-2189
■京都:
京都総合観光案内所(京都駅ビル2階)
TEL. 075-343-0548

街歩きのポイント(5)大阪の歩き方

 西日本の中心地、大阪。大都市だけに歩き方もさまざま。ここでは旅行者目線からのおすすめ3つをご紹介。
 まずは大阪駅から御堂筋を南へ歩くコース。道幅が広くすっきりとした御堂筋を進めば、ほどなく大阪のオアシス、堂島川と土佐掘川にはさまれた中之島公園に。さらに行けば心斎橋や道頓堀となり、名物の動く広告や大阪グルメを満喫してみたい。
 続いては、大阪城をめぐるコースで、特に桜の季節におすすめ。そして、3つ目は大阪駅のお膝元、梅田の地下街歩き。梅田の地下街といえば、もしや日本一の“地下迷宮”。ここをさまようように歩くのもきっと大阪の楽しみ方の1つだろう。
 大阪ではエスカレーターの乗り方が東京とは異なるなど、大阪ならではの“ルール”にもご注意を!

大阪の街歩きで特に楽しい道頓堀界隈。大阪グルメの飲食店めぐりをぜひ

<東京発「春のうららか」フルムーンの運賃総額、総乗車距離>
JR運賃総額:203,260円 (2名分合計 通常期で算出) ※運賃例は消費税改定後の2014年4月1日付で算出
JR総乗車距離:2650.3km ※運賃計算キロ
お得になった金額:120,460円 (JR運賃総額-フルムーン夫婦グリーンパス料金 [5日間用])
乗車倍率:2.45倍 (JR運賃総額÷フルムーン夫婦グリーンパス料金 [5日間用]) )
※運賃計算キロは、JR東日本のサイト、えきねっと「乗換・運賃案内」で表示のものです。

● 旅人(著者)紹介 相澤秀仁&相澤京子

写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で4巡している。これまでに120日フルムーンパスでの旅をし、JR路線も約11万km乗車。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。また、英語クロスワードパズルを新聞に17年にわたって連載。
夫婦旅ブログ http://fullmoon.aizawa22.com

 

文・撮影:相澤秀仁&相澤京子
※掲載されているデータは2014年3月現在のものです。
※ダイヤ改正後の時刻(えきねっと「乗換・運賃案内」、JRおでかけネット「マイ・ダイヤ」で表示のもの)を使用。
※運賃は消費税改定後の2014年4月1日をモデルに算出しました。

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