『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
東京からまずは新青森へ。東北新幹線「はやぶさ」は石川啄木ゆかりの盛岡にも停車する
東北新幹線と新青森駅で接続する函館行きの特急「スーパー白鳥」。もえぎ色が印象的だ
函館、大森浜にある啄木像。彼の代表作『一握の砂』で冒頭の歌は大森浜が舞台だという
日暮れが近い冬の函館。元町の教会群といい雪といい、ほのかに青い風景はエキゾチック
函館、湯の川温泉には露天風呂を持つ宿も多い。冬とはいえ露天風呂の爽快感はまた格別
函館市内の宿で供された夕食のお造り。函館近海のウニ(ムラサキウニ)は冬に旬となる
寒い季節、南国へ避寒に行く旅もあれば、寒い季節だからこそ北国、北海道へ出かけ、粉雪舞う冬景色を見つめ、旬の味覚や温泉を楽しむ旅もある。フルムーンパスで新幹線や在来線特急列車のグリーン車に乗り、広大な大地が続く北海道を夫婦で旅しよう。
魅力あふれる冬の北海道。訪れる旅人も多く、宿泊プランによっては何カ月も前から予約でいっぱいになる宿も。できれば早いうちから旅の計画を立てて予約したい。
明治時代後期、鉄道の敷設に合わせるかのように北海道を漂泊した歌人、石川啄木。彼は冬にかけて、函館から札幌、小樽、釧路へと列車で転々と旅をした。冬の鉄旅の先駆けともいえる啄木、その詩歌や面影を旅の友に北へ向かおう。
東京発の東北新幹線「はやぶさ5号」は途中、盛岡にも停車する。盛岡は啄木が新婚生活を送った街。進行方向右側、駅近くを流れる北上川を渡ったあたりに一家は暮らしていた。
新青森で特急「スーパー白鳥5号」に乗り換えて函館へ。幕末の頃から海外の文化を受け入れ、今もハイカラでエキゾチックな風情が感じられる。旅人を魅了してやまない函館を啄木も愛し、代表作『一握の砂』冒頭の歌、「東海の小島の磯の白砂にわれ泣きぬれて蟹とたはむる」は、函館の大森浜をイメージしたものだといわれている。市内に温泉も湧く函館。湯の川温泉は駅から路面電車で約30分と近く、旅の初日、観光スポットを訪ねた後は温泉でゆっくりしよう。
1日目●乗車距離:878km 運賃・料金合計2人分:59,380円
【個別区間(列車)ごとの運賃と乗車距離】
東京~新青森:@21,970円(乗10,150円 特グ11,820円)乗車距離713.7km
※「はやぶさ」の運賃・料金
新青森~函館:@7,720円(乗3,240円 特グ4,480円)乗車距離164.3km
※通常期の場合 ※距離は運賃計算に用いるキロ数
冬の北海道フルムーン 1日目 | |||
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1 日 目 |
発着駅 | 時間 | メモ |
冬の函館へ(函館泊) |
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東京 発 | 8:20 | 東北新幹線【はやぶさ5号】グリーン車(E5系) | |
新青森 着 | 11:19 | 乗り換え | |
新青森 発 | 11:30 | 特急【スーパー白鳥5号】グリーン車 | |
函館 着 | 13:42 | 函館を観光し、この日は函館泊 |
観光の問合せ
■函館:函館市観光案内所(函館駅構内)
TEL. 0138-23-5440
日本で最も北にある都道府県、北海道。札幌の11月の平均気温は4.9度で12月は-0.9度。一方、東京は11月が13.3度で12月は8.7度。ざっと見たところ冬場の札幌は東京よりも9度前後平均気温は低い。また、北海道というとどこも雪が多いイメージだが、実は日本海側に比べ、釧路など太平洋側では意外と雪は少ない。
冬場の旅で一番の気がかりは服装のこと。最近ではハイテク素材を用いた薄手の防寒用肌着があり、これの上下を着用すると本当に暖かい。そして、ネックとなるのがまさに首のあたりで、ここをネックウォーマーで冷気から守るのも効果的。さらにダウンジャケットもあればまずOKと思う。
ところで、特に気を付けたいのは足元。雪道に慣れた北国の人のようになかなか上手に歩けない。転倒に注意し、滑りにくい靴を履くのも大切だ。
札幌、大通公園の啄木像も冬は雪に埋もれていた。彼は札幌に半月ほど滞在し小樽へ移った
キハ183系特急「北斗」のグリーン車はハイデッカータイプ。座席も新型に更新され快適だ
札幌から小樽へは新千歳空港発の快速「エアポート」が便利。指定席の「uシート」もある
冬の函館本線、快速「エアポート」から眺めた日本海が間近に迫ってくる張碓付近の風景
小樽では野口雨情らとともに新聞社に勤めた石川啄木。市内には彼の面影が今も残っている
冬の小樽、夕暮れ時の小樽運河をお見逃しなく。ガス灯がともり、とてもロマンチックだ
北海道の美味がよりどりみどりの札幌では、夕食にカニ料理を豪快に味わってみたいもの
旅の2日目はほどよい時間に函館を出発し、札幌、小樽へ。石川啄木も函館から札幌へ向かったが、彼が旅した時代は、いわゆる海線(長万部から室蘭本線を経由するルート)はまだ全通しておらず、函館本線をぐるり倶知安経由で回る、いわゆる山線しかなかった。
今では海線がメインルートとなり、特急「北斗」もこちらを経由。ハイデッカータイプのグリーン車から道南の風景を眺めて行こう。長万部を過ぎてさしかかる礼文華(れぶんげ)の険しい海岸線、有珠山に社台付近の競走馬、そして樽前山と続く見どころが札幌までの車窓を飾る。
札幌~小樽間は列車の本数も充分にあり、札幌では小樽行きの列車を1つ後の快速「エアポート」とし、駅のコインロッカーに荷物を預けて身軽な装いで出かけよう。
北のウォール街と呼ばれる小樽。明治39年(1906)には日本銀行が小樽出張所を支店に昇格させ、いよいよ北海道経済の中心に。ちなみに啄木が小樽に来たのはその翌年、明治40年のことだった。発展著しい小樽、現在もなお石造りの重厚な建物が市内各所に見られ、大正12年(1923)に完成した小樽運河ともども観光のシンボルに。ここはぜひ夕暮れ時、小樽運河に沿ってガス灯がともるシーンを見ておきたい。
小樽と共に歩む小樽駅もまた歴史を感じさせる佇まい。実は初代駅長の山本千三郎は啄木の義兄にあたる人だった。啄木との縁も深い小樽を離れ、この日は札幌に宿泊。翌日は早い時間の出発のため、駅付近に宿をとろう。
2日目●乗車距離:386.3km 運賃合計2人分:28,640円
【個別区間(列車)ごとの運賃と乗車距離】
函館~札幌:@12,420円(乗5,720円 特グ6,700円)乗車距離318.7km
札幌~小樽:@950円(乗640円 指310円)乗車距離33.8km
小樽~札幌:@950円(乗640円 指310円)乗車距離33.8km
※通常期の場合
※距離は運賃計算に用いるキロ数
冬の北海道フルムーン 2日目 | |||
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2 日 目 |
発着駅 | 時間 | メモ |
函館から札幌、小樽へ(札幌泊) | |||
函館 発 | 10:36 | 特急【北斗5号】グリーン車 | |
札幌 着 | 14:17 | 荷物をコインロッカーに預け、乗り換え | |
札幌 発 | 14:44 | 快速【エアポート141号】普通車指定席 | |
小樽 着 | 15:18 | 冬の小樽を観光 | |
小樽 発 | 18:34 | 快速【エアポート190号】普通車指定席 | |
札幌 着 | 19:06 | 夕食は札幌でどうぞ。この日は札幌泊 |
観光の問合せ
■小樽:小樽駅観光案内所
TEL. 0134-29-1333
■札幌:北海道さっぽろ観光案内所(札幌駅西コンコース)
TEL. 011-213-5088
北国で暮らす人々にとって「もううんざり」という雪や寒さ。しかし、旅人にとってはこれも北国の魅力の一つとなり、北海道各地で冬ならではのイベントが繰り広げられる。
札幌では「さっぽろホワイトイルミネーション」が11月21日~2015年2月にかけて駅前通りや大通会場などで開かれ、最も有名な「さっぽろ雪まつり」は2015年2月5日~11日の開催。札幌のお隣、小樽では「小樽ゆき物語」が11月15日~2015年1月18日にあり、「小樽雪あかりの路」も2015年2月6日~15日に開催。
一方、函館では「はこだて冬フェスティバル・はこだてイルミネーション」を11月29日~2015年2月28日に開催。坂の町にイルミネーションが輝く。また、11月29日~12月25日には「はこだてクリスマスファンタジー」も開催される。冬の北海道を彩るさまざまなイベント、ぜひぜひお出かけを。
冬の北海道、最大のイベントといえば「さっぽろ雪まつり」。2015年は2月5日~11日に開催