『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
除雪車で表面が美しく仕上げられた「雪の回廊」は5月中旬まで観賞可能。スタンプラリーも開催しており、周辺の参加施設でスタンプを3つ集めれば抽選で特産品が当たる! TEL.0195-78-3500(八幡平市観光協会)
岩手山を背景とする小高い丘に咲く写真の為内(いない)の一本桜をはじめ、不動の滝桜松公園、上坊牧野(うわぼうぼくや)の一本桜など八幡平には桜の名所が多い。
盛岡の奥座敷・つなぎ温泉では、写真の「ホテル紫苑(しおん)」を含む全12軒の宿で硫黄泉を堪能できる。岩手山と奥羽山脈を仰ぐ御所湖畔の景色が最高。TEL.019-689-2109(つなぎ温泉観光協会)
4月~5月、岩手の内陸・八幡平周辺にも遅い春が訪れる。4月20日には雪に閉ざされていた八幡平アスピーテラインが開通。アスピーテライン除雪の際には数mの雪の壁ができ、「雪の回廊」と呼ばれる美しい道に変身をとげる。5月上旬~中旬には八幡平市さくら公園ほか各所で桜が咲き誇るのだ。
これらを車窓から楽しむなら、4月27日~6月30日に盛岡駅から八幡平山頂周辺を走るバス「八幡平桜と雪の回廊号」が便利。路線バスと上手く併用しよう。
八幡平樹海ラインの入口には松川温泉があるので併せて楽しみたい。3軒の各宿が源泉をもち、日帰り入浴もOK。きれいな乳白の硫黄泉は、神経痛・皮膚病などに効くと評判だ。
盛岡駅まで戻ったら、路線バス(無料シャトルバスがある宿も3軒あり)で約30分の、つなぎ温泉へ。クレンジング作用があると評判の美肌の湯で、肌年齢が若返るかも!?
2日目は、宮沢賢治も愛し、その作品『春と修羅』にも登場した小岩井農場へ。レンガサイロなど国の登録有形文化財が並ぶ上丸(かみまる)牛舎には、賢治の詩碑が立つ。
牧歌的な農場とそれを取り巻く岩手の大自然という景色は、賢治が作品で描いた「小岩井のきれいな野はらや牧場の標本が いかにも確かに継起(けいき)するといふことが どんなに新鮮な奇蹟だらう」という心象スケッチそのものだ。
また、同農場では非公開エリアをめぐるプランなど各種ツアーも用意。参加して、ガイドの解説とともに自然や農場の歴史に触れてみたい。
隣接の「まきば園」では、ひつじショーや低温殺菌牛乳でのバター作り体験など各種イベントも開催。一周130mの乗馬や羊飼いのゴルフなど魅力的なアトラクションも揃うので、どれに参加するかつい目移りしてしまいそう。
小岩井農場の上丸牛舎の先には、樹齢100年というエドヒガンザクラが岩手山を背景に凛々しく屹立(きつりつ)する。もともとは暑さが苦手な牛の日よけとして植えられた。例年5月上旬頃が見頃。
まきば園には5軒の飲食店も。山麓館農場レストランで味わえる、いわてDC(デスティネーションキャンペーン)限定メニュー(11月4日まで)の「まきばのステーキ丼」は、小岩井農場の牛肉を自家製バターなどで料理したジューシーな一品。1500円
小岩井農場の象徴でもある上丸牛舎。牛がのどかに草を食む。TEL.019-692-4321。9:00~17:30(施設・時期により変動)、4月第2木曜休。入園500円(11月5日~4月19日無料)
樹齢360年以上といわれるエドヒガンザクラが、花崗岩の割れ目から樹勢を広げる石割桜。盛岡駅から徒歩20分ほどだが、各所を回るなら盛岡都心循環バス「でんでんむし」1回乗車100円が便利。
ソメイヨシノやエドヒガンなど約200本の桜が咲き誇る盛岡城跡公園。盛岡市街の桜は4月下旬~5月上旬が見頃。例年6月中旬にはサツキ祭りも。TEL.019-604-3305(盛岡観光コンベンション協会)
岩手県産の和牛煮や和牛そぼろ、県産米・ひとめぼれなど、郷土の味が詰まった「岩手ふるさと弁当」。中尊寺や小岩井農場から眺めた岩手山をあしらった掛紙も、旅情を誘う。
田舎の空気にふれあった後は、一転、盛岡市街を散歩。盛岡中心部は県内一の繁華街ながら、桜の名所でもある。盛岡人がお国自慢をするとき「日本一の名桜」と謳うのが、盛岡地方裁判所前に咲く石割桜だ。花崗岩の狭い割れ目から直径約1.35m の幹を健気に伸ばすエドヒガンザクラを見ると、花の可憐さから想像しがたい生命力の強さに感銘を受ける。
盛岡城跡公園の桜も見逃せない。石垣を借景に春の主役を演じる桜の木々は、とても艶やか。すぐ側には南部藩総鎮守として信仰され、最近ではパワースポットとしても人気の桜山神社があるので、参拝しておこう。
帰りは盛岡駅から新幹線でラクラク。乗車前に「岩手ふるさと弁当」1000円や「岩手 絆 海鮮ちらし寿し」1100円といった、いわてDC記念駅弁の購入をお忘れなく。プラス地酒も買って駅弁の具を肴にすれば、帰りの道中まで岩手三昧なのだ。
創業から約半世紀、小岩井農場内の交通機関として走っていた馬車鉄道を再現。まきば園内で最も美しい長者館(ちょうじゃだて)という草原内にある一周450mのコースを、トロ馬車でゆっくり進めば、楽しくレトロ気分! 11月4日まで。TEL.019-692-4321。9:30~17:00(10月1日~11月20日は~16:30)、期間内無休。400円
文・構成=鈴木健太
写真協力=岩手県観光協会、つなぎ温泉観光協会、小岩井農場、日本レストランエンタプライズ
※掲載されているデータは平成24年4月現在のものです。
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岩手県観光協会 ● TEL.019-651-0626
八幡平市観光協会 ● TEL.0195-78-3500
つなぎ温泉観光協会 ● TEL.019-689-2109
しずくいし観光協会 ● TEL.019-692-5138
盛岡観光コンベンション協会 ● TEL.019-604-3305