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車で行くには狭い村道を通らなければならないので、たどり着くのが困難な秘境駅・中井侍。駅の下にはお茶畑が広がる。飯田線には、ほかにも小和田駅や金野駅などの秘境駅が存在!
中井侍本集落の茶畑。長野県最南端に位置し、川霧と西向きの地形が良質な「赤石銘茶」を生む。集落の上の方から見下ろす茶畑と天竜川は、これぞ美しき山里といった風景
「飯田市 川本喜八郎人形美術館」では常設展のほか、川本氏が1970年代に上演した人形劇とアニメの合同企画『パペットアニメーショウ』の舞台で使った人形も11月末まで展示。TEL. 0265-23-3594。9:30~18:30、水曜・年末年始休。400円
くるみダレで焼き上げた大きな五平餅や、南信州産と北海道幌加内産のそばの実を自社の石臼で粗挽きした田舎風そばなどがセットになった「おにひら」の五平餅定食1000円。TEL. 0265-52-6377。10:00~14:00、年末年始休
長く、そして山間をうねるように走る路線図を眺めて思う。「だからこそ、飯田線はローカル線ならではの車窓風景が味わえるし、鉄道好きを虜にする秘境駅が存在するのだろう」と。
ローカル線・飯田線の秘境駅を訪ねる旅は、早朝に名古屋駅を出発する。豊橋で飯田線に乗り換える時に買っておきたいのが、駅弁「飯田線秘境駅オリジナル弁当」(11月31日まで販売。無くなり次第終了)。豊橋が生産量全国一というウズラ卵のフライのほか、こちらも全国一の大葉を入れたはんぺん、地産ポークの南蛮漬けなどが四角い弁当箱に詰め込まれており、旅路の楽しみが膨らむ。
豊橋からは、ついに秘境線へ! 間もなくすると南アルプスの秀峰が遠くの空に見え始める。寒狭川(かんさがわ)や鳳来峡(ほうらいきょう)を過ぎ、さらに進めば列車は天竜川の渓谷を縫うように走り出し、秘境の雰囲気はいよいよ色濃くなる。いくつかのトンネルをくぐると伊那谷に出、目的の中井侍(なかいさむらい)駅に着いた。
長野県最南端の同駅は、幅員3mほどの狭い村道を通らなければならないため、車で辿り着くのが困難な「秘境駅」。ここから中井侍の本集落へ向け坂道を20分ほど上がると、眼下に急斜面を濃緑で染める茶畑と天竜川を一望できる。日本の山里らしい美景を眺めつつ、先ほど買った秘境駅弁をつまめば、もう最高の幸せだ。
再び飯田線に乗り込み、遠山川に架かる橋や絶壁の駅・田本を越え、車窓風景を満喫したころ、信州の小京都・飯田に到着。城下町の面影を残し、また起伏に富む地形から「丘のまち」と呼ばれる飯田は、レンタサイクルで景色を楽しむのがおすすめ。
リンゴ並木や飯田城の赤門を訪ねた後は、「飯田市 川本喜八郎人形美術館」へ移動しよう。人形美術家の第一人者・川本喜八郎氏が手掛けた人形を展示する同館では、NHKで放送された人形劇『三国志』『平家物語』の人形約80体や、映像ホールで放映される川本氏の人形アニメを観賞可能。甲冑や表情などの精巧な作りは、つい足を止めてじっくり見入ってしまう。
最後は、南信州のご当地グルメ・五平餅定食を。多少粒が残るようご飯を潰して形を整え、クルミやゴマ、山椒の芽を加えた味噌や醤油ダレを塗って焼く五平餅は、香ばしさが堪らない。川本喜八郎人形美術館周辺には「そば処 高田屋本店」「食事処 満津田」など五平餅定食を供する店が数軒あるのでぜひ立ち寄りたい。中井侍駅で下車せず昼ごろ飯田に着いた場合は、1合近くのお米を使った大きな五平餅が自慢の「そば処 おにひら 飯田店」もおすすめだ。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
---|---|---|---|
1日目 | 名古屋発 | 6:59 | 東海道本線新快速でラクラク移動 |
豊橋着 | 7:56 | 乗り換え時間を利用して駅弁「飯田線秘境駅オリジナル弁当」を購入 | |
豊橋発 | 8:12 | 秘境の飯田線に突入。水窪辺りからは天竜川沿いを縫って走り、素晴らしい車窓風景。秘境駅で名高い小和田駅にも停車 | |
中井侍着 | 11:25 | 長野県南端の秘境駅で下車。坂道を上り、眼下にお茶畑と天竜川を見下ろす | |
中井侍発 | 13:25 | 田本や金野などの秘境駅を経て、飯田へ(天竜峡駅で乗換え) | |
飯田着 | 14:41 | 人形の町・飯田に来たら「飯田市 川本喜八郎人形美術館」は必見。夕食には五平餅定食を堪能 | |
飯田発 | 18:16 | 天竜峡で乗り換え | |
豊橋着 | 21:54 | ||
豊橋発 | 21:57 | ||
名古屋着 | 23:00 |
◆「飯田線鼎(かなえ)駅記念きっぷ」発売中!
JR東海では、縁起が良いと人気の飯田線「鼎」駅の記念きっぷを好評発売中! 昔懐かしい鼎駅の硬券入場券と、鼎駅から金野駅、千代駅、伊那福岡駅への硬券乗車券4枚を記念台紙にセットになった記念きっぷです。1セット1340円。
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文:鈴木健太
写真協力:JR東海、天龍村振興課商工観光係、飯田市 川本喜八郎人形美術館、智里東農事組合
※掲載されているデータは平成22年7月現在のものです。