『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
かつては鹿児島本線と日豊本線の分岐駅として賑わった吉松駅。駅前には蒸気機関車が展示されているほか、鉄道資料館や湧水町内の特産品、鉄道アイテムなどを売る観光SL会館など気になるスポットがいっぱい。
3~10月にかけ、大潮や中潮の干潮時に知林ヶ島まで続く砂州が現れる。渡れる時間は2~4時間ほど。どの時間帯に渡れるかは日によって違うので要問合せ。TEL.0993-22-3252(指宿市観光協会)
昨年11月、幸せの色「黄色」をまとった、かわいらしいポストが西大山駅前に登場。駅前観光案内所で販売の絵はがきに専用スタンプを押して投函すれば、より大きな旅情を送り先へ伝えられるはず!
曽於さくら牛しぐれ碗2500円(左)は、黒薩摩焼きの器に黒毛和牛「曽於さくら牛」のしぐれ煮を盛り付け! 鹿児島よくばり弁当1100円(右)は鹿児島黒豚のタレ焼きと曽於さくら牛のしぐれ煮を相がけ。鹿児島中央・出水駅などで販売。TEL.0996-62-0617(松栄軒)
九州新幹線全線開業で、グンと行きやすくなった南九州。青春18きっぷでのんびり訪ねるのもまた楽しいもので、特に肥薩線は球磨川(くまがわ)に添って行く川線、矢岳(やたけ)第一トンネル、ループ線などを行く山線など変化に富む車窓風景が旅情をかきたてる。
その肥薩線で、まず降り立ったのは人吉駅。人吉はかつて人吉藩の城下町として栄え、熊本県では唯一現存する国宝・青井阿蘇神社や城下町の町並みなど歴史散策にもってこい。3月31日までは、専徳寺をはじめとした計4会場に加え、温泉施設など街の各地で雛人形を展示する「人吉球磨は、ひなまつり」が行なわれ、街全体が春色に!
再び肥薩線に乗り、大畑(おこば)のループ線を過ぎ、鹿児島県に入って最初の駅・吉松で下車。鹿児島本線と日豊本線の分岐点だった鉄道のまち・吉松には、周辺にSL展示や鉄道資料館、宮下製菓の「汽笛まんじゅう」など鉄道スポットがいっぱいなのだ。
吉松からはずーっと南下し、九州新幹線全線開業に伴ったイベントで盛り上がる指宿(いぶすき)へ。最大のお目当てはモン・サン=ミシェル!…に次ぐ、世界2位のトンボロ現象(普段は海によって隔てられている陸地と島が、干潮時に干上がった海底で繋がる現象)が起こる知林ヶ島(ちりんがしま)の砂州だ。3~10月にかけ、大潮や中潮の干潮時には、なんと約800mの砂のかけ橋が出現。島へ渡り、島内一周できる遊歩道や展望台を歩こう。夜は指宿温泉に泊まり、各宿が指宿の竜宮伝説にちなんで趣向を凝らした「たまて箱料理」を味わいたい(同料理を味わえる宿は指宿市観光協会に要問合せ)。
2日目の午前は指宿で砂むし温泉や、昨年登場の温泉たまごを使った新B級グルメ「温たまらん丼」を堪能し、西大山駅へ移動。ホームに立つ「JR日本最南端の駅」という標柱に、はるばる遠くまでやってきたことを実感する(これぞ鉄道旅行の醍醐味!)。駅前で電動サイクル(2時間500円~)を借り、浦島太郎伝説が残る竜宮神社を目指す。暖かな春風を感じつつ、駅から南へしばらくこぐと、神社が鎮座する岬・長崎鼻に到着。境内からは、長崎鼻や青い海、西側に開聞岳の美しい山容を一望できるのだ。
駅に戻ったら、駅前の黄色いポストで大切な人へ手紙を送ろう。黄色は指宿市の花・菜の花の色、そして幸せの色! このポストから恋文を送ったら、恋が成就するかも!?
帰り道で通る鹿児島中央駅にも、鉄道旅の楽しみが残っている。九州新幹線全線開業記念駅弁として、今年1月に登場した2つの駅弁だ。鹿児島県産の曽於(そお)さくら牛のしぐれ煮や味付け玉子が豪快に盛り付けられた「曽於さくら牛しぐれ碗」も、さくら牛と県産の黒豚を両方味わえる「鹿児島よくばり弁当」も、とにかく大ボリューム!
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
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1日目 | 熊本発 | 6:57 | 八代で乗り換え |
人吉着 | 9:10 | 待ち時間を利用し、駅から5分の国宝・青井阿蘇神社へお参り。「人吉球磨は、ひなまつり」も見逃せない | |
人吉発 | 10:06 | 「いさぶろう1号」に乗車。2月中旬~3月上旬なら、大畑駅で下車して「人吉梅園」の梅を見に行こう | |
吉松着 | 11:19 | ちょっとした待ち時間を使って、「鉄道資料館」を覗いたり、「汽笛まんじゅう」を買ったり | |
吉松発 | 12:00 | 隼人、鹿児島中央で乗り換え。運が良ければ鹿児島中央14時ごろ発の観光特急列車「指宿のたまて箱」を、撮影できるかも! | |
指宿着 | 15:16 | 世界第2位のトンボロ現象が起こる、知林ヶ島の砂州を見にいく。夜は指宿温泉に宿泊。「たまて箱料理」を楽しみたい | |
2日目 | 指宿発 | 11:17 | 朝、砂むし温泉を楽しんだら、早めの昼食にご当地グルメの新顔・温たまらん丼を。山川で乗り換えて西大山へ |
西大山着 | 11:54 | レンタルの電動サイクルで、浦島太郎伝説ゆかりの地・竜宮神社へ。駅前にある黄色いポストで、大切な人へ手紙を送ろう | |
西大山発 | 14:18 | 指宿で乗り換え | |
鹿児島中央着 | 15:35 | 九州新幹線全線開業に伴い新たに登場の駅弁「曽於さくら牛しぐれ碗」や「鹿児島よくばり弁当」などを購入 | |
鹿児島中央発 | 15:46 | 隼人、吉松、人吉、八代で乗り換え。肥薩線の山あいの車窓を楽しむ | |
熊本着 | 22:25 |
例年、2月中旬~3月上旬にかけて梅の花が開花する同園。丘陵8haに植えられた約4600本の白梅、紅梅が咲き誇ると、辺りは艶やかな香気に包まれる。2月19日~3月6日にかけて人吉梅まつりも開催! また、3月末~4月上旬は桜も見頃に。JR大畑駅から徒歩10分。TEL.0966-22-2111(人吉市観光振興課)。入園自由、無料
文:鈴木健太
写真協力:裏辺研究所、指宿市観光協会、松栄軒、人吉市観光振興課
※掲載されているデータは平成23年3月現在のものです。