『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
上野駅からまず最初に乗車するのは東北本線(愛称・宇都宮線)の電車。現在は軽快な走りのE231系近郊タイプが主体になっている。普通車の一部には4人掛けのボックスシートがあり、大きな窓から風景も楽しめる。
奥羽本線・高畠駅は、明治33年(1900)、糠ノ目(ぬかのめ)駅として開業し、平成3年(1991)に改称。モダンな駅舎には温泉施設「太陽館」があり、ちょっと途中下車して湯浴みができる。利用料金は大人300円。
山形名物の「冷やしラーメン」。一見すると普通の温かいラーメンのようだが、実は氷が浮かぶスープの冷たいラーメン。山形の夏祭り「花笠まつり」の花笠にも似た盛り付けに思え、涼味満点、暑い夏こそ食べたい味。
山形新幹線「つばさ」をはじめ、奥羽本線(山形線)、仙山線、左沢(あてらざわ)線が発着する山形駅。観光案内所やホテル、ショッピング施設もあり、霞城公園(山形城跡)にも近い。駅を拠点に市内散策をはじめよう。
仙台が発祥という「冷やし中華」もぜひ味わってみたいもの。麺や具材のスタイルは店によって異なるものの、どれも盛り付けは仙台の夏祭り「仙台七夕まつり」(8月6日~8日)の飾り付けのようだ。
旅の2日目は仙台で過ごす時間もたっぷり。観光派の方は午前中、日本三景の一つ・松島へ出かけてみるのもいいだろう。涼を求め、クルーズ気分で船から眺める松島も最高に美しい。潮風が心地よかった。
熱帯夜にうなされ、夢にまで食べたくなってくる冷やし麺。日本の夏、涼やかな冷やし麺に恋い焦がれる“麺食い”の人も多いのではないだろうか。
全国津々浦々、様々な冷やし麺がひしめく中、とっておきなのが山形の「冷やしラーメン」。そして、仙台発祥という「冷やし中華」も発祥の地で味わえばおいしさひとしお、特に普通列車や快速列車を乗り継ぐ「青春18きっぷ」の旅ならば、かけた時間の分だけ、なおさらおいしく感じられると思う。
上野駅7時58分発の快速「ラビット」で宇都宮へ向かい、さらに列車を乗り継ぎ米沢には13時40分着。ここで乗り継ぐ山形行きの電車でまっすぐ山形へ行ってもいいが、2駅先の高畠で途中下車。高畠駅には温泉があり、ちょっと湯に浸かり汗を流して山形へ向かおう。
山形では当地発祥の「冷やしラーメン」を食べてみたい。これは「冷やし中華」とは違い、一見、普通の温かい醤油ラーメンのよう。ただ、なみなみと注がれたスープは冷たく、氷まで浮かんでいる。初めて食べた時の“衝撃”は今も忘れず、それだけインパクトの強い冷やし麺と言えるだろう。しかし、冷たいスープは味わい深く、暑気払いにうってつけ。まさに最強の冷やし麺といったところ。
食後、仙山線に乗って仙台に移動し、宿をとる。旅の初日は仙台名物の牛たん焼きで締めくくろう。
今やいたるところで食べられる「冷やし中華」。実は杜の都・仙台が発祥といわれている。
旅の2日目は仙台でたっぷりと時間を取り、グルメ派の方は味めぐり、歴史派の方は伊達政宗公の足跡めぐり、観光派の方は仙台のみならず日本三景・松島へ、それぞれ思い思いの時間を過ごそう。
そして、忘れてはならないのが、当地の「冷やし中華」。店によって独自の味やスタイルがあるのだろうが、麺と具材の盛り付けは、仙台の夏祭り「七夕まつり」の飾り付けにも似ている。仙台の「七夕まつり」は昭和2年(1927)頃から盛んになったそうだが、「冷やし中華」の盛り付けはこれをヒントに考案されたのかもしれない。
とがった酸味よりもマイルドな甘みが感じられる「冷やし中華」の味わい。これはまさに“青春の味”といったところ。そういえば、1日目に食べた「冷やしラーメン」の盛り付けも、山形の夏祭り「花笠まつり」の花笠飾りに似ている。
東北の夏、冷やし麺とともに欠かせない「祭り」が目白押し。仙台七夕まつり(8月6日~8日)、青森ねぶた祭(8月2日~7日)、秋田竿燈まつり(8月3日~6日)、山形花笠まつり(8月5日~7日)の4者を東北四大祭りと呼ぶそうだが、「青春18きっぷ」での旅を考える時、冷やし麺と一緒に夏祭りも組み込めば、鬼に金棒、パーフェクトな旅ができると思う。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
---|---|---|---|
1 日 目 |
上野発 | 7:58 | 東北本線、宇都宮行き快速「ラビット」 |
宇都宮着 | 9:27 | 乗り換え | |
宇都宮発 | 9:34 | 黒磯行き普通列車 | |
黒磯着 | 10:25 | 乗り換え | |
黒磯発 | 10:33 | 郡山行き普通列車 | |
郡山着 | 11:37 | 乗り換え | |
郡山発 | 11:56 | 福島行き普通列車 | |
福島着 | 12:43 | 乗り換え | |
福島発 | 12:54 | 奥羽本線、米沢行き普通列車 | |
米沢着 | 13:40 | 乗り換え | |
米沢発 | 13:48 | 山形行き普通列車 | |
高畠着 | 13:57 | 途中下車して、駅にある温泉でのんびり | |
高畠発 | 14:58 | 山形行き普通列車 | |
山形着 | 15:37 | 山形名物「冷やしラーメン」を堪能 | |
山形発 | 17:38 | 仙山線、仙台行き快速 | |
仙台着 | 18:59 | 今宵の宿へ | |
2 日 目 |
仙台発 | 15:02 | 東北本線、福島行き普通列車 |
福島着 | 16:23 | 乗り換え | |
福島発 | 16:28 | 黒磯行き普通列車 | |
黒磯着 | 18:33 | 乗り換え | |
黒磯発 | 18:38 | 宇都宮行き普通列車 | |
宇都宮着 | 19:27 | 乗り換え | |
宇都宮発 | 19:39 | 上野行き通勤快速(土曜日・休日は、上野行き快速「ラビット」19:40発) | |
上野着 | 21:13 | 旅の終わり(土曜日・休日も左記時刻着) |
昭和57年4月の時刻表で本プラン2日目の行程を再現すると、ほぼ同時刻に出発の場合、仙台15:26発→(直通列車)→黒磯21:28着。黒磯21:38発→宇都宮22:30着。なんとこの先、上野方面への普通列車はなかった。ちなみに仙台12:35発の列車なら当日中に上野(23:36着)に帰れる。普通運賃は4,200円だった。
かつては東北・奥羽本線とも機関車牽引の普通列車が多かった。現在は電車となり速度も向上。ちなみに福島~米沢間は75分ほど要した(昭和57年)が、現在は約45分。写真はED78 901牽引の奥羽本線普通列車。赤岩駅にて。
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは平成24年6月22日現在のものです。