『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
小樽駅にて停車中の函館本線普通列車。長万部方面へ“山線”と呼ばれるルートを走る。 車両はキハ150形、高出力機関搭載のディーゼルカー(気動車)だ。四角い顔に4つの四角いヘッドライトで几帳面な表情
函館本線と室蘭本線が接続する長万部駅。駅付近には長万部温泉がある。天然ガス試掘中に湧出したという長万部温泉は強食塩泉、8軒の温泉旅館があり、日帰り入浴も受け付けて いる。旅の途中に一風呂浴びたい
函館の冬のイベント「はこだてクリスマスファンタジー」。大きなクリスマスツリーがイルミネーションに輝き、ベイエリアを幻想的に照らす。元町の教会群とあわせて散策してみたい。期間は12月1日~25日
函館地方の冬を代表する味覚「ゴッコ汁」。ゴッコとは、腹部に吸盤をもったホテイウオで、その身や卵を醤油仕立てで煮込んだ汁もの。ぶつ切りの身と熱々の汁をすすれば、冷えた身体もポカポカ温まる
これが“ラッピ”ことラッキーピエロの「チャイニーズチキンカレー」。ライスの上には名物のチャイニーズチキン(いわば“甘辛から揚げ”)が並び、ボリューム満点のおいしさ。これも函館ならではの味
こちらも函館らしい“ハセスト”ことハセガワストアの名物「やきとり弁当」(写真はSサイズ)。“やきとり”という名前なのにオリジナルはなぜか豚肉というのも面白い。函館の人はみなさんよくご存知のお弁当
冬、寒さ厳しい北海道。だからこそ温泉の有難さがよくわかる。折しもクリスマスのシーズン、降りだした雪が一段と異国情緒を輝かせる函館はロマンチックの一言。日本で最もクリスマスが似合う街ではないだろうか。
湯の川温泉をはじめ、市内に温泉も多い函館。のんびりと普通列車に揺られ、途中の風景や立ち寄り湯を楽しみながら行く冬の旅。1泊2日でぜひ出発を。
往路は小樽を経て山線に入り、長万部(おしゃまんべ)に11時13分到着。接続の普通列車は出発が13時28分と、ここで2時間15分もの“小休止”。もし「北海道らしい地名ランキング」があれば上位入賞間違いなしの長万部、時間的にランチを食べるのもよし、また、駅付近(徒歩5分ほど)で湧く長万部温泉に出かけ、日帰り入浴するのも旅のよき想い出に。
冬の旅人を乗せた列車は函館本線を南下。終着駅、函館には16時11分に到着する。日の短い季節、街はそろそろトワイライトタイムにさしかかり、灯り始める明かりが旅情を誘う。函館では恒例のイベント「2012 はこだてクリスマスファンタジー」を開催(12月1日~25日)。ライトアップされたベイエリアや元町界隈をふらりと歩いてみよう。
宿は駅前から路面電車で30分と近い湯の川温泉に。さまざまなタイプの宿が揃い、一人でも貸切できる貸切風呂などもあってのんびりと過ごせる。
2日目は、観光とともに函館ならではの味を堪能してみたい。冬場といえば、まずは「ゴッコ汁」。ゴッコ(ホテイウオ)を醤油仕立てで煮込んだもので、身体がポカポカに。また、地元で“ラッピ”と呼ばれるハンバーガー店も人気で、「チャイニーズチキンカレー」(甘辛から揚げをのせたカレー)がボリューム満点で温まる。そして、同じく地元で“ハセスト”と呼ばれ親しまれているハセガワストアの「やきとり弁当」。こちらは豚肉を使用しているのもユニークで、函館人で知らない人はいないほど。
帰路、もし海線を満喫するのなら海線満喫プランに変更を。【函館】10:45発~普通列車~12:06着【森】13:29発~同~14:47着【長万部】14:56発~同~16:51着【東室蘭】16:54発~同~18:06着【苫小牧】18:20発~同~19:38着【札幌】。これなら明るい時間に海線を走り、噴火湾の車窓も存分に眺められる。
海線満喫プランで、途中、温泉に立ち寄るのなら、虎杖浜(こじょうはま)がおすすめ(17時17分着)。駅から徒歩圏にアヨロ温泉(日帰り専門・源泉かけ流し)がある。入浴後、同駅20時2分発の苫小牧行きの列車がもともと本プランで利用予定の列車だ。
連続した日程の使用も、間をあけた使い方もできる「青春18きっぷ」。見どころいっぱいの函館で2泊し、3日目に海線満喫プランで帰るのもいいだろう。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
---|---|---|---|
1 日 目 |
札幌 発 | 7:15 | 函館本線普通列車 |
小樽 着 | 8:03 | 乗り換え | |
小樽 発 | 8:07 | 函館本線普通列車 ※山線経由の旅 | |
長万部 着 | 11:13 | 乗り換え ランチに温泉入浴も | |
長万部 発 | 13:28 | 函館本線普通列車 | |
函館 着 | 16:11 | 函館・湯の川温泉などにのんびり滞在 | |
2 日 目 |
函館 発 | 14:26 | 函館本線普通列車 |
長万部 着 | 17:28 | 乗り換え | |
長万部 発 | 17:37 | 室蘭本線普通列車 ※海線経由の旅 | |
東室蘭 着 | 19:12 | 乗り換え | |
東室蘭 発 | 19:38 | 室蘭本線普通列車 | |
苫小牧 着 | 20:41 | 乗り換え | |
苫小牧 発 | 20:50 | 千歳線普通列車 | |
南千歳 着 | 21:10 | 乗り換え | |
南千歳 発 | 21:20 | 快速「エアポート213号」 | |
札幌 着 | 21:55 | 旅の終わり |
ラーメン処ひしめく北海道。函館は塩ラーメンで知られている。なかでも、知る人ぞ知る函館名物「バスラーメン」を夜食に味わってみたい。「バスラーメン」とは夜、湯の川温泉に現れる“自走式バス型ラーメン店”。車内にて食べる塩ラーメンで身体もぽかぽかに。
塩ラーメンで知られる函館。数あるラーメン店のなかで、最もユニークなのがこの「バスラーメン」だろう。冬の夜、湯の川温泉で見かけ、塩ラーメンを味わってみれば、澄んだスープにほっこり温まる
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは平成24年11月15日現在のものです。