『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
E531系の常磐線普通列車が上野駅で発車を待つ。常磐線中距離電車の主役となった交直流電車で、セミクロスシートとロングシートの車両があり、基本編成中2両グリーン車(2階建て)も組み込まれている
高浜駅の手前で渡る恋瀬川とバックの筑波山。「ガマの油」で知られる筑波山、筑波嶺(つくばね)とも呼ばれ、男体山より女体山のほうが標高は6mほど高い。霞ヶ浦につながる恋瀬川は釣りの名所になっている
一見、冷たい麺に冷たいあんがかかっていそうな「スタミナ冷やし」。ところが、ピリ辛のあんは熱々で、よくからめながら食べる。栄養満点のレバーとも合い、これならレバーが苦手な方もきっと大丈夫!
那珂湊に伝わる猫伝説、その舞台となった華蔵院。真言宗智山派のお寺で、開基は応永年間(1394~1427)という古刹。華蔵院では鮮やかな色彩の仁王門(写真)がひときわ目を引く。猫好きの方はぜひ訪ねてみては
那珂湊駅から徒歩10分、漁港に隣接する「おさかな市場」周辺の名物「でかネタ回転寿司」。アジ(写真)といいマグロといい、寿司ネタの大きさに思わずびっくり。こちらも“食べ鉄”としてはぜひ味わってみたい。
夕暮れの勝田駅に停車するE531系電車。基本編成には2両グリーン車(2階建て)があり、特に2階席からの眺めが気持ちいい。勝田が始発の上野行き普通列車も多く、始発駅ゆえお好みの席をゲットできる
ご当地グルメ花盛りの今、鉄道で各地へ出かけ、それを味わう“食べ鉄”が楽しそう。電車に乗ってのんびり景色を眺めれば、すぐに心ウキウキ旅気分。鉄道で食べに行くご当地グルメは、他の交通機関で行くより、何倍もおいしく感じられる。
納豆の国、茨城。ここに夏のスタミナアップにも食べたいご当地グルメ「スタミナ冷やし」がある。知る人ぞ知る味を求め、上野駅から常磐線普通列車に乗車。土浦を過ぎ、高浜駅あたりの車窓がいい。駅手前で渡る恋瀬川は恋を歌った演歌のタイトルになり、筑波山が進行方向左側の車窓を美しく飾る。筑波山は西側の男体山と東側の女体山からなる山。高浜で筑波山に向かって念じれば、ひょっとして恋がかなうかもしれない。
勝田行きの電車を水戸でプチ途中下車。やはり、水戸といえば黄門様ご一行にご挨拶を。水戸駅北口を出てすぐのところ、助さん格さんを従えた黄門様の銅像へ赴き、挨拶かたがた記念写真(自分撮り)を忘れずに。
さてさてお目当ての「スタミナ冷やし」。これはさっと冷やした太めの麺に、レバーや野菜をメインとした中華あんをかけたもの。とろりピリ辛のあんがからむ麺は後を引くおいしさ、レバーでスタミナがもりもりっとするようなパワフルな味だ。他県ではまず見かけない「スタミナ冷やし」、水戸市内や勝田エリアでも食べることができる。
食後、ひたちなか海浜鉄道で港町、那珂湊へ行ってみよう。近頃、よく話題になるのが猫のいる駅。那珂湊駅もそうで、黒猫の「おさむ」が乗客の人気に。ところで、那珂湊にも猫伝説が残っている。駅から徒歩10分の華蔵院(けぞういん)がその舞台。昔々、お寺で飼われていた猫が住職の袈裟(けさ)をこっそり拝借し、夜、近所の猫たちと踊っていたという。
漁港に「おさかな市場」などもある那珂湊。周辺では、でかネタの回転寿司がとみに知られ、散策ついでに味わってみたい。夏休み期間中(9月1日まで)、ひたちなか海浜鉄道では通常、土日祝のみ発売の「湊線1日フリー切符」(大人800円)を毎日販売。乗り鉄の方はこの切符で全駅乗下車などのアレンジを。また、那珂川の対岸、大洗に足を延ばせば水族館もあり、那珂湊駅前から路線バスが出ている。
今回の旅はJR線の通常運賃(個別乗車区間の合計)4,600円のところ、青春18きっぷなら1日分2,300円と、ちょうど2,300円もおトクに。おトクになった金額で上野までの普通列車用グリーン券(事前料金でホリデー750円、平日950円)がまかなえる。別途このグリーン券を購入すれば乗車OKの青春18きっぷ、帰路は2階建てのグリーン車でゆったりくつろぐのもおすすめだ。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
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1 日 目 |
上野 発 | 8:42 | 常磐線 普通列車(土休日は8:40発) (上野~水戸 通常運賃2,210円 乗車距離117.5km) |
水戸 着 | 10:57 | ちょっと下車して駅前さんぽ | |
水戸 発 | 11:23 | 常磐線 普通列車 (水戸~勝田 通常運賃180円 乗車距離5.8km) |
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勝田 着 | 11:29 | ランチに「スタミナ冷やし」を | |
勝田 発 | 13:15 | ひたちなか海浜鉄道線 ※別途運賃350円 | |
那珂湊 着 | 13:30 | 港町をぶらり散策 | |
那珂湊 発 | 18:01 | ひたちなか海浜鉄道線 ※別途運賃350円 | |
勝田 着 | 18:15 | 乗り換え | |
勝田 発 | 18:34 | 常磐線 普通列車 (勝田~上野 通常運賃2,210円 乗車距離123.3km) |
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上野 着 | 20:44 | 旅の終わり |
近郊形電車では直流の車両がほとんどの東京にあって、交直流電車もやってくる常磐線はかつてから異彩を放っていた。特に401系交直両用近郊形電車は常磐線電化のシンボル、湘南色の近郊形電車がひしめく上野駅でも、ローズピンクにクリーム色の車体は一際目立っていた。
茨城県にある「気象庁地磁気観測所」を考慮し、取手~藤代間に直流と交流とを切り替えるセクションがある常磐線。そこを走る401系電車は交直両用近郊形電車のパイオニアだった。1977年(昭和52年)7月撮影。
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは2013年7月28日現在のものです。