『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
長野の城下町、松代。そのシンボルの一つが松代城(海津城)跡。戦国時代、武田信玄による築城といわれ、現在では太鼓門や堀などが修理復元されている。国の史跡であり、「日本100名城」にも選定
暑い夏こそ爽快に食べたいスタミナ食「つけとろそば」。松代産の長芋(とろろ芋)をすりおろし、つゆを入れて味わう信州そばの美味なこと。松代エリアをはじめ、長野市内中心部などでも食べられる
松代の象山(ぞうざん)神社入口にある佐久間象山の像。松代藩士の佐久間象山は幕末維新の先覚者として知られ、今も人々に敬愛されている。歴男・歴女の方であれば、象山神社もぜひ訪ねてみたい
良質の温泉が湧く松代。泉質は源泉によるが、含鉄-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉で、湯は茶色っぽい。温泉を備えた宿もあり、日帰り入浴もできる。せっかく松代に来たのだから温泉を存分に楽しもう
信州の郷土食「おやき」。具は丸ナスが最もポピュラーだが、野沢菜や切り干し大根、かぼちゃ、ニラ、きのこ、山菜など最近はバリエーションも豊富。そして、つぶあんの「おやき」も意外とファンが多い
特急用車両を使用した普通列車「妙高3号」。青春18きっぷでもちろん利用(指定席を利用の際は別途指定席券が必要)できる。長野からは特急用の快適な電車に乗って日本海に臨む直江津へ行こう
鉄道でご当地グルメを食べに出かける“食べ鉄”の旅。不思議なもので、隣町の食べものよりも、ずっと遠くの町の食べもののほうがおいしそうに思えてくる。
大阪から東海道本線、中央本線、篠ノ井線と経由して、長野の城下町、そして長芋(とろろ芋)の産地として知られる松代へ1泊2日で行ってみよう。
大阪から最初に乗車する列車は毎度おなじみの新快速。途中、米原、大垣で列車を乗り換え、名古屋でちょっと一休み。ここでは名物の「きしめん」で腹ごしらえを。
中央本線の列車を乗り継ぎ、塩尻へ向かう車窓左側、上松(あげまつ)駅の手前でさしかかる「寝覚(ねざめ)の床(とこ)」は忘れずに見ておこう。また、塩尻から長野への列車では、今度は篠ノ井線姨捨(おばすて)駅あたりで車窓右側にご注目。善光寺平が広がる風景は「日本三大車窓」の一つになっている。
目指す長野の到着は15時41分。驚くことに青春18きっぷ発売開始頃の時刻表を眺めれば、普通列車を利用して大阪をほぼ同時刻に出発した場合、同ルートでの長野到着は19時19分だった。現在では列車の接続の改善などで、なんと3時間半も早い到着に!
松代へは長野駅から路線バスで約30分、まだまだ観光できる時間だ。松代城(海津城)跡や、幕末の先覚者で松代藩士の佐久間象山(ぞうざん)を祀る象山神社、武家屋敷の道等々、歴男・歴女の気分で歩いてみたい。
温泉もある松代。今宵は当地に宿をとり、ゆったりと温泉に浸って身体を休めよう。
旅の2日目、朝から再び歴男・歴女気分で松代を堪能。そして、名産の長芋(とろろ芋)を信州そばとともに味わってみたい。とろとろと粘る長芋もスタミナ食、信州そばがつるつると爽快にお腹に入っていく。とろろ芋のそばは松代エリアだけでなく、長野駅周辺でももちろん味わえる。お好みの店でぜひどうぞ。
信州では郷土食の「おやき」も食べたい。「おやき」は小麦粉(地粉)でこしらえた皮に具を包み込み、焼くなどした伝統食。特に信州味噌で炒めた丸ナスが絶品で、他に野沢菜もおいしい。手頃な大きさで食べやすく、旅の携行食にもぴったりだ。ごはんにもおやつにもなるヘルシーな「おやき」を買って長野駅へ。
日本海に面した直江津へ向かう普通列車は特急用車両を使用した「妙高3号」。そして、直江津からはいよいよ日本海ルート。富山、金沢、敦賀、長浜と列車を乗り継ぎ、大阪には23時38分の到着。もしもっと早く帰阪されたい方は、長野11時24分発の普通列車に変更すれば、直江津、金沢、敦賀、山科で列車を乗り継ぎ、大阪には21時43分の到着(土休日は21時58分着)となる。一方、さらに長野を楽しみたい方は同駅15時4分発の普通列車に変更を。1日目の逆コース、篠ノ井線、中央本線、東海道本線経由で、大阪には元々のプランと同じく23時38分に到着する。
今回の“食べ鉄”旅行、2日間の通常運賃合計(個別乗車区間の合計)16,330円のところ、青春18きっぷなら2日分の4,600円だけ。なんと11,730円もおトクになった!
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
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1 日 目 |
大阪 発 | 7:03 | 新快速(土休日は7:15発) (大阪~米原 通常運賃1,890円 乗車距離110.5km) |
米原 着 | 8:30 | 乗り換え(土休日は8:41着) | |
米原 発 | 8:33 | 普通列車(土休日は8:46発) (米原~大垣 通常運賃650円 乗車距離35.9km) |
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大垣 着 | 9:05 | 乗り換え(土休日は9:19着) | |
大垣 発 | 9:11 | 新快速(土休日は9:26発、特別快速) (大垣~名古屋 通常運賃740円 乗車距離44.0km) |
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名古屋 着 | 9:43 | 乗り換え (土休日は10:00着) | |
名古屋 発 | 10:24 | 中央本線 快速 (名古屋~中津川 通常運賃1,280円 乗車距離79.9km) |
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中津川 着 | 11:39 | 乗り換え | |
中津川 発 | 12:00 | 普通列車 (中津川~塩尻 通常運賃1,620円 乗車距離94.9km) |
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塩尻 着 | 13:47 | 乗り換え | |
塩尻 発 | 14:08 | 普通列車 (塩尻~長野 通常運賃1,280円 乗車距離76.0km) |
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長野 着 | 15:41 | 松代を散策し、この日は松代泊 | |
2 日 目 |
長野 発 | 12:45 | 普通列車「妙高3号」 (長野~直江津 通常運賃1,280円 乗車距離75.0km) |
直江津 着 | 14:17 | 乗り換え | |
直江津 発 | 14:51 | 普通列車 (直江津~富山 通常運賃1,890円 乗車距離117.8km) |
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富山 着 | 16:54 | 乗り換え | |
富山 発 | 17:14 | 普通列車 (富山~金沢 通常運賃950円 乗車距離59.4km) |
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金沢 着 | 18:12 | 乗り換え | |
金沢 発 | 18:23 | 普通列車 (金沢~敦賀 通常運賃2,210円 乗車距離130.7km) |
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敦賀 着 | 21:00 | 乗り換え | |
敦賀 発 | 21:10 | 普通列車 (敦賀~長浜 通常運賃650円 乗車距離38.2km) |
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長浜 着 | 21:50 | 乗り換え | |
長浜 発 | 21:58 | 新快速 (長浜~大阪 通常運賃1,890円 乗車距離118.2km) |
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大阪 着 | 23:38 | 旅の終わり |
近郊形直流電車で2000両近くも製造された115系電車。かつては115系電車による夜行の普通列車も走っていた。その一つ、新宿から中央本線、篠ノ井線経由で長野へ行く441Mは登山客でも賑わう名物列車。1979年(昭和54年)の時刻表では、新宿発23時55分、長野着は翌朝9時49分だった。
山岳列車としても愛された115系近郊形電車による夜行の普通列車441M。写真は、1977年(昭和52年)7月に篠ノ井線で撮影したもの。新宿から夜を徹して走る441M、これも夏になると思い出す懐かしい一コマ。
写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で4巡し、「青春18きっぷ」歴は19年目に。
著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。
ホームページ http://www.aizawa22.com
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは2013年7月28日現在のものです。