『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
岡山と高松を結ぶ快速「マリンライナー」。「青春18きっぷ」の場合、自由席はもちろん追加料金不要で乗車できる。途中、瀬戸大橋線は眺めが抜群で、坂出までのひと時、海を眼下にした旅を満喫したい
四国へ向かう快速「マリンライナー」からの眺めは心にしみる風景。進行方向右側には、塩飽(しわく)諸島の島々が穏やかな瀬戸の海に点々と浮かぶ。戦国時代、水軍が活躍した島々だ
端正で堂々とした木造駅舎の善通寺駅。国の登録有形文化財に登録されている。開業は明治22年(1889)で、四ツ谷駅(東京)や弘前駅、広島駅などより5年も古く、丑(うし)年に生まれた駅だった
弘法大師ゆかりの善通寺。お遍路さんをはじめ、たくさんの人が参拝に訪れる。ずっと昔から人々が願いを寄せてきた名刹は駅から徒歩20分の距離。新年になっての旅であれば初詣にお出かけを
善通寺のお店をハシゴして食べた讃岐うどん。こちらは温かい「かけうどん」で、つゆはイリコ(煮干し)のダシがきいて風味抜群。身体も温まる
大阪への帰路、善通寺から坂出までは快速「サンポート」に乗車。坂出で岡山行き快速「マリンライナー」に乗り継ぎ、再び瀬戸大橋を渡る。夜の瀬戸内海、船の明かりが昼とは違った旅情をかきたてる
瀬戸内海を島伝いに結ぶ瀬戸大橋。ここを走る瀬戸大橋線も「青春18きっぷ」で乗ってみたい路線の一つ。橋の向こう、「うどん県」として名を馳せる香川県は見どころもいっぱい、大阪からであれば便利な新快速もあって、絶好の日帰りぶらり旅のコースになる。
大阪を出発して香川県へ行く際、山陽本線の相生(あいおい)~岡山間には少々ご注意を。「青春18きっぷ」のシーズン中、列車によってはこの区間で混み合うことがあり、もし着席しての旅を希望する場合、通常の接続列車よりも1本早い時間の列車で相生へ行き、岡山方面行きの列車を待つのがよさそうだ。
岡山からは快速「マリンライナー」の旅。児島駅を発車後、トンネルをくぐると目の前に海が開け、多島海の美しい風景に心が躍る。瀬戸大橋線の車窓風景はいかにも日本的で、現代を代表する鉄道の絶景だ。
島々を眺めるうちに「マリンライナー」は四国に入り、坂出駅に停車。このプランでは空海(弘法大師)生誕の地、善通寺へ向かうため、ここで下車を。琴平行きの普通列車に乗り換えて善通寺には12時38分の到着。「青春18きっぷ」誕生の頃、当時はまだ宇高連絡船の時代で、普通列車利用の場合、大阪を6時46分に出発しても善通寺到着は14時47分、今では橋のおかげで日帰りぶらり旅も楽々できる。
お遍路さんが祈りの旅をする四国。善通寺も四国八十八ヶ所霊場の札所(第75番)であり、おごそかにお参りを。例年、たくさんの人が初詣に訪れる善通寺。新年のぶらり旅であれば、ぜひ初詣を。家内安全、学業成就、厄除けなどのご利益があるといわれている。
さぁ、参拝の後は「うどん県」の象徴、讃岐うどんを心行くまで食べよう。善通寺周辺にも讃岐うどんの名店がずらり。シンプルな生醤油うどんに、ぶっかけうどん、ざるうどん、かけうどんとお好みをいただこう。コシが強く、のど越しつるつるの讃岐うどんは、ぜひお店をハシゴして味わいたい。
「うどん県」では、年末、大みそかに年越しそばを食べ、年明け早々には“年明けうどん”を食べるのだとか。新年になってからであれば、縁起良さそうな“年明けうどん”もお忘れなく。また、ご旅行の際は、お目当てのうどん店の休業日等も確認しておこう。
来る2014年は、午(うま)年。コラムでは午年に開業した主なJRの駅をまとめてみたが、あの駅この駅といろいろある。「青春18きっぷ」の旅にしても、“ウマ”が合う人と一緒なら、なおさら面白そう。来年は、午年生まれの駅をめぐるぶらり旅もされてみてはいかが。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
---|---|---|---|
1日目 | 大阪 発 | 7:56 | 東海道・山陽本線、新快速(土休日は8:00発) |
姫路 着 | 9:03 | 乗り換え | |
姫路 発 | 9:10 | 山陽本線、普通列車 | |
相生 着 | 9:29 | 乗り換え | |
相生 発 | 9:33 | 山陽本線、普通列車 | |
岡山 着 | 10:39 | 乗り換え | |
岡山 発 | 11:13 | 宇野線・瀬戸大橋線、快速「マリンライナー25号」(自由席) | |
坂出 着 | 11:52 | 乗り換え | |
坂出 発 | 11:59 | 予讃線・土讃線、普通列車 | |
善通寺 着 | 12:38 | 善通寺を参拝し、讃岐うどんを味わう | |
善通寺 発 | 17:32 | 土讃線・予讃線、快速「サンポート」 | |
坂出 着 | 17:58 | 乗り換え | |
坂出 発 | 18:24 | 瀬戸大橋線・宇野線、快速「マリンライナー54号」(自由席) | |
岡山 着 | 19:03 | 乗り換え | |
岡山 発 | 19:16 | 山陽本線、普通列車 | |
姫路 着 | 20:40 | 乗り換え(土休日は20:41着) | |
姫路 発 | 20:42 | 山陽・東海道本線、新快速(土休日は20:57発) | |
大阪 着 | 21:43 | 旅の終わり(土休日は21:58着) |
JR四国では、大正7年(1918)に伊予大洲駅(予讃線)や伊予長浜駅(同)が開業し、昭和5年(1930)に伊予市駅(同)が、また、昭和17年(1942)に牟岐(むぎ)駅(牟岐線)が開業。
JR九州では、明治27年(1894)に川尻駅(鹿児島本線)が開業、大正7年には阿蘇駅(豊肥本線)が、そして、昭和5年には霧島神宮駅(日豊本線)や肥前鹿島駅(長崎本線)、鍋島駅(同)が開業している。
佐賀県にある長崎本線肥前鹿島駅も午年生まれの駅。開業は昭和5年11月30日。日本三大稲荷に数えられる祐徳稲荷神社が付近(バスで約10分)にあって、新年ともなれば毎年、多くの初詣客が訪れる
写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で4巡し、「青春18きっぷ」歴は19年目に。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。
●夫婦旅ブログ http://fullmoon.aizawa22.com
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは2013年12月2日現在のものです。