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東京駅から東海道本線の電車で出発。途中、熱海駅でJR東日本からJR東海の電車(写真)に乗り継ぎ、一路、駿河湾の春の幸待つ由比(ゆい)駅へ。熱海から先、沼津を過ぎたあたりで富士山が車窓を飾る
桜エビが特産の由比。JR由比駅前を横切る旧東海道は現在「由比桜えび通り」と呼ばれ、この道を歩けば桜エビ漁の中心、由比漁港もほど近い。江戸時代の旅人は当地で桜エビを味わうことはできなかったようだ
ちょうど桜が開花する頃の由比漁港。背後には東海道本線が走っている。春の桜エビ漁は3月下旬に始まり、これからがまさに旬。漁港にも桜エビが味わえる食事処があり、漁船を眺めつつ頬張るのも気持ちがいい
春、由比漁港の食事処で味わった「桜エビのかき揚げ丼」。桜エビは小さなエビながらも風味が豊かで旨い。ましてや、産地で食べればなおさらだ。グルメ旅にも向く「青春18きっぷ」でぜひお出かけを!
旧東海道由比宿の本陣跡。本陣とは参勤交代の大名が宿泊したところで、一般庶民の宿泊は許されていなかった。由比の本陣跡は公園に整備され、浮世絵師・歌川広重の作品を展示する東海道広重美術館もある
富士山も見える三島駅は南口駅舎のなだらかな屋根のラインが印象的。1934年(昭和9年)開業の三島駅南口駅舎は開業当初からの歴史ある建物で、富士山の裾野や三嶋大社をイメージしたものといわれている
東海道五十三次の時代、人々は街道を宿場伝いに歩いて旅をした。2週間ほどかけて歩いたという東海道も鉄道が開通し、今では東京~京都間なら普通列車でも片道8時間とちょっと。十返舎一九(じっぺんしゃいっく)の滑稽本『東海道中膝栗毛』の弥次さん喜多さんがいたら、きっと腰を抜かしてしまうだろう。鉄道は文明開化を象徴するもののひとつ。現代の快適な列車にのんびり乗って、幾多の旅人が通り過ぎた宿場を訪ねてみよう。
数ある旧東海道の宿場のうち、春の旅なら由比(ゆい)がおすすめ。駿河湾に面した静岡県の由比は旧東海道16番目の宿場。標準的な旅程では江戸からここまで徒歩で約4日かかったという。さて、現代の東海道本線、東京から熱海を経て由比駅まで、普通列車でも乗り換え時間を含めて3時間とかからない。普段、何げなく乗っている電車も歴史的にみればとてつもない“早馬”だ。
一方、由比といえば、食いしん坊の方はよくご存じの桜エビ。1年に2回、春と秋に漁期がある。ただ、桜と名のつくエビだけに、春にこそ味わってみたいもの。例年、桜が開花する頃、3月下旬には新たな漁が始まり、新鮮な桜エビも味わえる。
駿河湾独特の幸、桜エビ。弥次さん喜多さんも味わったのかと思いきや、漁が可能になったのは1894年(明治27年)頃といわれ、東海道線が全通した1889年(明治22年)とほぼ同年代。残念ながら江戸時代の弥次さんたちは口にすることができなかったはず。ここは由比漁港に出かけて、彼らの分までおいしく味わってこよう。特に桜エビの風味が増す「かき揚げ」がサクサクとして食べやすく、イチオシ。
桜エビの後は由比宿を散策。参勤交代の大名が宿泊した「本陣」跡は由比本陣公園に整備され、東海道広重美術館もある。かつての東海道の旅人よろしく、由比から1つ江戸寄りの宿場、蒲原宿(かんばらじゅく)方面へと歩いてみるのもいいだろう。蒲原宿は、『東海道中膝栗毛』で弥次さん喜多さんがひと騒動巻き起こした宿場だ。
そろそろ桜が開花する季節。由比では由比川沿いにも桜が咲き、お花見かたがたの宿場散策で1日過ごしても飽きないが、同じく旧東海道11番目の宿場だった三島も桜が見事。開花状況によっては午後、三島にも立ち寄ってみよう。
歌川広重作、浮世絵『東海道五十三次』の三島宿。そこには三嶋大社の大鳥居が描かれていた。広重の時代も今も、三島といえばやはり三嶋大社なのだろう。ここはまたしだれ桜が美しいことでも知られている。東海道五十三次の頃に思いを馳せつつ、春らしく当地名物の草餅を味わってみたい。
青春18きっぷによる旧東海道の宿場さんぽ。東京から日帰りでも出かけやすく、何回かに分けて歴史ある宿場歩きを楽しんでみるのも面白そうだ。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
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1 日 目 |
東京 発 | 8:23 | 東海道本線、普通列車(土休日は8:15発) |
熱海 着 | 10:07 | 乗り換え | |
熱海 発 | 10:16 | 東海道本線、普通列車 | |
由比 着 | 11:08 | ランチ&宿場散策 | |
由比 発 | 14:34 | 東海道本線、普通列車(隣の蒲原駅は14:38発) | |
三島 着 | 15:19 | 三島を散策 | |
三島 発 | 17:45 | 東海道本線、普通列車 | |
熱海 着 | 18:00 | 乗り換え | |
熱海 発 | 18:10 | 東海道本線、普通列車 | |
東京 着 | 20:03 | 旅の終わり |
東海道新幹線「こだま」「ひかり(一部列車)」も停車する三島。
駅から徒歩約15分のところにある「伊豆 一の宮」こと三嶋大社の桜はそれはそれは見事。境内、神池の周りのしだれ桜が特に美しく、他に大島桜や三島桜、ソメイヨシノも咲き誇る。
例年、早咲きの桜が3月中旬頃には開花し、4月上旬頃まで各種の桜を楽しむことができる。
三嶋大社に咲くしだれ桜。早咲きの桜もあり、例年、春の「青春18きっぷ」シーズン中にもお花見が楽しめる。周辺にはいろいろな露店も出てまさに花盛り。開花状況に合わせ、日本の春らしいひと時をぜひどうぞ
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは2014年3月現在のものです。