『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
東北本線の夏旅、まず最初は愛称「宇都宮線」のE231系に乗車。ロングシートやクロスシート(写真)の車両、そしてグリーン車自由席も連結
夏草が茂る利根川を渡って電車は北へ進む。利根川は「坂東太郎」の異名を持ち、日本を代表する河川のひとつ。東北本線の旅、この川を渡ったあたりから急に旅気分が増してくる
今では仙台地区の交流電車はE721系が主力の時代に。丸っこい顔立ちのE721系には、兄弟分ともいえる仙台空港鉄道SAT721系も仙台駅に乗り入れる。車体の青色が夏空のよう
夏こそぜひ食べたいのが仙台名物「牛たん」。炭火で焼いた厚切りの「牛たん」はほどよい歯ごたえがあり、ジューシーでスタミナ満点の味
細切りのネギがたっぷり入ったテールスープ。コクがあるのにすっきりとした味わいで、もうやみつきになるおいしさ。スープの中のお肉までどうぞ召し上がれ
上野への帰路も往路と同じ東北本線経由。写真の719系もまだまだ元気に活躍中。緑色のラインは、米どころ東北地方らしく、夏の日差しをいっぱいに浴びて育つ田んぼの稲を想わせる
上野と仙台の距離はおよそ350km。往復ならざっと700km。新幹線のような弾丸列車ならいざしらず、青春18きっぷで乗車できる普通・快速列車では、これはなかなかの長距離。しかし、東北新幹線の開業によって思わぬメリットも生まれた。
青春18きっぷの誕生は国鉄時代、昭和57年(1982)3月のこと。その頃の時刻表(昭和57年4月号)をめくれば、東北新幹線はまだできておらず、東北本線を走る485系特急「ひばり」でも上野~仙台間の所要時間は4時間15分。なんと東北本線経由の普通列車では日帰りが不可能だった。常磐線経由であればなんとか日帰りができたものの、仙台滞在時間はたったの30分だけ。
ところが、東北新幹線の開業によって、東北本線では特急がほぼ新幹線に移行し、普通・快速列車がスピードアップ。上野から仙台も楽々日帰りが可能になった。このモデルコースの往路でも、平日ならば乗り換え時間を含まない乗車時間は5時間24分。これは昭和57年当時の上野~仙台間の急行「まつしま1号」(乗車時間5時間19分)に匹敵する速さ。つまり、現代の普通・快速列車は昔の急行列車並みの速さと言うことができ、青春18きっぷの行動範囲がぐんと広がったとみることもできる。
さて、上野を出発し、途中、宇都宮、黒磯、郡山、福島で電車を乗り継ぎ仙台へ。東北本線は黒磯までが直流電化区間で、その先は交流電化区間。つまり、いろいろな形式の電車に乗れるのも旅の楽しみのひとつだ。愛称「宇都宮線」の区間では主力のE231系や205系、黒磯以北ではE721系や719系などが走っている。夏色の東北を車窓から眺めるうちに午後の仙台に到着。かつてと比較すると信じられないが、仙台ではなんと3時間近くも滞在できる。
東北一の大都会、そして、東北グルメの中心地、仙台。ここではなんといっても仙台名物の「牛たん」を味わってみたい。炭火で焼いた厚切りの「牛たん」はジューシーで食べごたえがあり、夏のスタミナ補給にもってこい。「牛たん」には欠かせないテールスープもネギがたっぷりと入れられ、滋味豊かな味わい。ごはんも麦飯でヘルシーですよ!
仙台では駅にも専門店が並ぶ「牛たん通り・すし通り」があり、ここで食べてさっと観光に出かけることもできる。また、仙台きっての繁華街、一番町や国分町の名店に出かけ、ゆったりと味わってくるのもOK。さあ、お腹もいっぱいになったら、駅でおみやげや“夜食”を買い求め、青春18弾丸旅行らしく一気に上野まで帰ろう。
帰路は乗り継ぎが往路より1回少なく、福島、黒磯、宇都宮の3回。宇都宮からの電車では、連結されているグリーン車自由席の乗車もおすすめだ。青春18きっぷでも自由席グリーン券を購入すれば利用できる。
仙台といえば夏の風物詩「仙台七夕まつり」が2014年8月6日(水)~8日(金)に開催される。七夕の笹飾りを眺め、星に願いをかける旅もいいだろう。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
---|---|---|---|
1 日 目 |
上野 発 | 7:57 | 東北本線快速「ラビット」(土休日は7:58発) |
宇都宮 着 | 9:27 | 乗り換え | |
宇都宮 発 | 9:32 | 東北本線普通列車 | |
黒磯 着 | 10:23 | 乗り換え | |
黒磯 発 | 10:27 | 東北本線普通列車 | |
郡山 着 | 11:30 | 乗り換え | |
郡山 発 | 11:56 | 東北本線普通列車 | |
福島 着 | 12:43 | 乗り換え | |
福島 発 | 13:00 | 東北本線快速「仙台シティラビット5号」 | |
仙台 着 | 14:13 | 仙台に到着! 仙台で「牛たん」を味わいスタミナを補給! | |
仙台 発 | 17:01 | 東北本線普通列車 | |
福島 着 | 18:22 | 乗り換え | |
福島 発 | 18:50 | 東北本線普通列車 | |
黒磯 着 | 20:45 | 乗り換え | |
黒磯 発 | 20:52 | 東北本線普通列車 | |
宇都宮 着 | 21:44 | 乗り換え | |
宇都宮 発 | 21:47 | 東北本線普通列車 | |
上野 着 | 23:38 | 旅の終わり |
「牛たん」だけではない仙台グルメ。マグロの水揚げで知られる塩釜がすぐ近くだけあって、仙台でもマグロがおいしく味わえる。
また、一説によると知る人ぞ知る「冷やし中華」発祥の地といわれる仙台。元祖の「冷やし中華」も夏には最適、そして、すりつぶした枝豆でお餅をくるんだ「ずんだ餅」をおみやげにぜひ!
仙台の寿司店で食べた「本マグロ三昧」。写真左から赤身、中とろ、大とろ。あっさり味もこってり味も、両方を楽しめる。名物「牛たん」もいいけれど、お寿司もたまりませんね!
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは2014年6月現在のものです。