『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
大阪からの青春18きっぷ旅では、毎度利用したい新快速。運転本数が多く、座席は2人掛けの転換クロスシートで便利だ。平日と土休日ではダイヤが異なる場合もあるのでご注意を
昭和から営業を続ける名古屋駅ホームで、名物の「きしめん」を。鰹節が香るつゆをすすり、平打ちの麺を味わえば、名古屋にいることを実感
「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」と唄われた大井川。東海道本線の電車で軽快に渡ると、関東が近づいた気分になってくる
JR宇都宮駅にも餃子が堪能できるスポット「宇都宮 餃子小町」があり、名店が集結。さながら餃子のテーマパークにやってきたような雰囲気で、改札口近くとは思えないほど!
宇都宮市内には数多くの餃子店があり、できればハシゴして味わいたい。店によって焼き餃子の具材やタレが異なる。しょう油・酢・ラー油の割合はお好みで
いつのまにかJR宇都宮駅前にできていた「餃子広場観音 絆」。旅の2日目は観音さまに見送られてスタート。帰路では浜松で途中下車し、2大餃子タウンの味の違いを楽しもう
冒険心が入道雲のように沸き立つ季節、夏。普通列車や快速列車に乗って、おトクに遠くまで行ってみたい。青春18きっぷなら冒険心を満たす遠距離旅行もお手のもの。暑い夏こそふさわしい熱き一皿を求め、日本で最も有名な餃子タウン、宇都宮を目指す旅に出てみよう。
大阪駅から便利な東海道本線新快速で出発し、一路、東へ。名古屋駅では最初の途中下車タイムを設け、各ホーム東京寄りにある立ち食い店で名物「きしめん」を食べ、腹ごしらえを。濃い目のつゆといい鰹節の香りといい、昭和30年代から続く「きしめん」の味は、「食べる鉄道遺産」と言いたくなるほどの名古屋伝統グルメだ。
「きしめん」でお腹も満たし、さらに電車に乗って浜松へ向かおう。宇都宮と並ぶ餃子タウンの浜松には、帰路に途中下車して、味比べといきたい。
浜松を出発し、しばらくすると大井川を渡る。東海道を徒歩で行き来した時代、架橋や渡し船も禁じられていた往時の大井川は水量が多かったため、民謡では「越すに越されぬ大井川」と唄われるほど、川渡りの最大の難所だった。今ではここも東海道本線の電車が軽快に越えていく。大井川を渡ると関東が近づいてきた気分が高まるが、これは昔の旅人もきっと同じだっただろう。
東海道本線の旅、次は熱海で小休止。現在(2014年7月末)はリニューアル工事中だが、再オープン後なら、駅前の温泉足湯「家康の湯」(無料)がおすすめ。旅の疲れをほぐしてくれる。
戸塚からは、湘南新宿ラインの快速に乗り、東京をスルーして一気に宇都宮へ。雷が多い土地柄から「雷都」とも呼ばれる宇都宮に滞在し、名物の「宇都宮餃子」を思う存分、味わってみたい。
宇都宮の餃子は本当にバリエーションが豊富。焼き餃子のみならず、水餃子や揚げ餃子も味わっていただけただろうか。2日目は大阪への帰路、ライバルともいえる「浜松餃子」を途中下車して食べてみよう。
宇都宮からの旅は湘南新宿ラインの電車で始まる。湘南新宿ラインは、東海道方面と宇都宮・高崎方面とを、ダイレクトに新宿経由で結ぶ便利な路線。東京都内での乗り換えもなく、楽ちんな旅ができる。また電車には、2階建ての普通列車グリーン車(全車自由席)が連結され、こちらは青春18きっぷでもグリーン券を買い足せば利用OK。
宇都宮~熱海間の普通列車グリーン車利用料金は、土・日・祝日に乗車前に購入する場合、ホリデー事前料金(※詳しくはこちら)となり、780円とおトク。途中の駅で同一方向へ行く後続列車に乗り換えても、乗り換えた列車内のグリーン車自由席へ移ることもできる。この首都圏エリアならではの2階建てグリーン車に乗って、新宿や渋谷の風景を眺めるのも、いい旅の気分だ。
熱海からは三島、興津を経由し、浜松に到着。宇都宮と並ぶ餃子タウンとして注目度ウナギのぼりの浜松で、「浜松餃子」を味わおう。ところ変われば餃子も変わるもの。こちらの餃子は焼き餃子が中心で、具材も野菜がメインだ。宇都宮とは異なるスタイルを楽しみたい。
宇都宮、浜松と日本を代表する2大餃子タウンを訪ねた往復およそ1300kmの大旅行。電車は冷房を備え快適に過ごせるが、夏場の熱中症対策として、飲料水や携行食等を持参するのを、どうぞお忘れなく。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
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1 日 目 |
大阪 発 | 6:33 | 東海道・山陽本線新快速(土休日は快速5:55発) |
米原 着 | 8:00 | 乗り換え(土休日は7:41着) | |
米原 発 | 8:03 | 東海道本線普通(土休日は8:04発) | |
大垣 着 | 8:37 | 乗り換え(土休日は8:36着) | |
大垣 発 | 8:42 | 東海道本線新快速(土休日は特別快速) | |
名古屋 着 | 9:15 | ちょっと途中下車して、ホームで名物「きしめん」を堪能 | |
名古屋 発 | 9:47 | 東海道本線新快速(土休日は特別快速) | |
豊橋 着 | 10:37 | 乗り換え(土休日は10:39着) | |
豊橋 発 | 10:42 | 東海道本線普通 | |
浜松 着 | 11:16 | 乗り換え | |
浜松 発 | 11:29 | 東海道本線普通 | |
興津 着 | 12:59 | 乗り換え | |
興津 発 | 13:11 | 東海道本線普通 | |
沼津 着 | 13:55 | 乗り換え | |
沼津 発 | 14:00 | 東海道本線普通 | |
熱海 着 | 14:20 | 小休止&乗り換え | |
熱海 発 | 14:57 | 東海道本線快速「アクティー」 | |
戸塚 着 | 16:03 | 乗り換え | |
戸塚 発 | 16:20 | 湘南新宿ライン快速 | |
宇都宮 着 | 18:53 | 「宇都宮餃子」を食べて、宇都宮泊(土休日は18:44着) | |
2 日 目 |
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宇都宮 発 | 8:26 | 湘南新宿ライン普通列車(土休日は快速8:38発) | |
戸塚 着 | 11:00 | 乗り換え | |
戸塚 発 | 11:08 | 東海道本線快速「アクティー」 | |
熱海 着 | 12:07 | 乗り換え | |
熱海 発 | 12:11 | 東海道本線普通 | |
三島 着 | 12:24 | 乗り換え | |
三島 発 | 12:28 | 東海道本線普通 | |
興津 着 | 13:14 | 乗り換え | |
興津 発 | 13:23 | 東海道本線普通 | |
浜松 着 | 14:54 | ちょっと途中下車して「浜松餃子」を食べよう! | |
浜松 発 | 16:20 | 東海道本線普通 | |
豊橋 着 | 16:56 | 乗り換え | |
豊橋 発 | 17:01 | 東海道本線新快速(土休日は17:02発) | |
米原 着 | 19:10 | 乗り換え | |
米原 発 | 19:18 | 東海道・山陽本線新快速 | |
大阪 着 | 20:42 | 旅の終わり |
近年、餃子タウンとして頭角を現した浜松だが、戦前から餃子を出す店もあったと言われ、餃子タウンとしての歴史は意外と古い。
「浜松餃子」は、キャベツなど野菜中心のあっさりとした具材の焼き餃子が特徴だ。皿の中央にモヤシを置き、花びらのように餃子を円形盛りにする店もよく見かける。見た目の美しさも「浜松餃子」らしさのポイントに。
「浜松餃子」を一口食べてみた。中身の具材はキャベツなど野菜中心。宇都宮の焼き餃子と比較すると、浜松は野菜が多くすっきりとした味わい。いくつでも食べられそう
写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で4巡し、「青春18きっぷ」歴は19年目に。
著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。
夫婦旅ブログ http://fullmoon.aizawa22.com
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは2014年7月現在のものです。