『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
関西エリアを走る新快速は運転本数も多く便利なので、青春18きっぷの旅でも活用したい。2人掛けの転換クロスシートが並ぶ車内は、ロングシートとは一味違う旅行気分が楽しめる
宮島へ向かう際、海が穏やかであれば展望デッキがおすすめ。進行方向右側に嚴島神社や大鳥居が見えてくる
シカが生息する宮島。「神様の使い」といわれ、なかには大鳥居の近くやフェリー乗り場付近までやってくるものも。観光客を気にするぞぶりも見せず、多くのカメラに収まっていた
広島で9月頃までの旬の味覚といえばこれ、瀬戸内海で獲れた地物の小イワシ。写真では大きく見えるが実物は小さいので、刺身や天ぷらが一般的。刺身でショウガを薬味にするのが旨い
広島市内を走る元京都市電の路面電車。この1900形は京都時代より車番は変わったものの、塗装はかつてとほぼ同じ。昭和32年生まれで京都育ちだが、今ではすっかり広島になじんでいる
広島市内めぐりには路面電車が便利。JR広島駅前から「原爆ドーム」へは、市内線(本線)で10個目の停留所「原爆ドーム前」へ。本数も多く、所要時間は約20分
発売初年度から30年を超える歴史ある青春18きっぷ。初期の頃は青森~函館間の青函(せいかん)連絡船や宇野~高松間の宇高(うこう)連絡船も、急行便等一部を除き、利用できた。
やがて前者にはトンネル、後者には橋が建設され、北海道も四国も本州とレールでつながり、これらの連絡船は姿を消した。もう青春18きっぷで船旅はできないと思いきや、まだまだ宮島口と宮島を結ぶ宮島連絡船(宮島航路)があるではないか!
現在はJR西日本宮島フェリーが運営する宮島航路。青函連絡船の所要時間3時間50分に比べれば、わずか10分のプチ船旅だが、穏やかな瀬戸の海風はとても心地よく、乗船してみたい。
関西圏で世界遺産といえば、古都の京都、奈良が真っ先に思い浮かぶ。しかし中国地方に目を向ければ、広島県にある2つの世界遺産も際立ってくる。大阪から広島までは距離にして337.8km、青春18きっぷなら運賃もおトクになり、関西圏発1泊2日の旅にちょうどよい。便利な新快速に乗って一路、広島を目指そう。
旅の初日、ハイライトは宮島にある世界遺産「嚴島神社」と、宮島航路の船旅。山陽本線の宮島口駅を出て、フェリーが発着するJR宮島口桟橋までは徒歩6分、国道2号線を地下道でくぐり、海へ向かえば乗り場はすぐだ。宮島航路では運航時刻によっては大鳥居に接近するコースをとるため、朱塗りの社殿が間近に見え、鮮やかな色彩が旅情を誘う。
平清盛により社殿が造営された嚴島神社。潮が満ちてくると海上に浮かぶようにも見え、一段と荘厳な雰囲気に。また、引き潮の時は大鳥居まで歩いて近づくこともできる。
宮島を堪能した後は宿泊地、広島へ。フェリーの便も電車の本数も多いので、帰りは時間はお好みでどうぞ。広島では旬の海の幸を食べてみよう。
当地でのイチオシは瀬戸の小イワシ。これは刺身で味わうのが一番。値段も手ごろで広島の人々に好まれている。また、大阪もお好み焼きの都だが、「広島焼き」とも呼ばれる広島風お好み焼きも食べてみたい。店で鉄板の前の席に座り、ヘラさばきも巧みに焼き上げていく様子は見ているだけで楽しく、とろりとしたソースの香りが食欲をそそる。
さて、広島市内をめぐり大阪へ帰る2日目、前夜、遅くまで繰り出した方は、のんびりとスタートしよう。町なかを走る路面電車も上手に利用したい。
今年、69回目の祈りの夏を迎えた広島。世界遺産「原爆ドーム」や平和記念公園を訪ねてみるのはとても意味がある。大阪と並ぶ水の都でもあるので、元安(もとやす)川沿いのオープンカフェでひと時の休憩をするのもいいだろう。
お好み焼きといい、水の都といい共通点も多い広島と大阪。そういえば、元大阪市電の車両が今も広島市内で活躍している。元京都市電だった車両なども含め、懐かしい電車が走る広島は、路面電車の博物館のよう。ファンならずとも楽しめる町だ。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
---|---|---|---|
1 日 目 |
大阪 発 | 6:51 | 東海道・山陽本線新快速(土休日は6:25発、快速) |
姫路 着 | 7:55 | 乗り換え | |
姫路 発 | 8:01 | 山陽本線普通 | |
岡山 着 | 9:28 | 乗り換え | |
岡山 発 | 9:47 | 山陽本線普通 | |
糸崎 着 | 11:16 | 乗り換え | |
糸崎 発 | 11:27 | 山陽本線普通 | |
宮島口 着 | 13:15 | 乗り換え | |
宮島口 発 | 13:25 | JR西日本宮島フェリー | |
宮島 着 | 13:35 | 名物の「アナゴめし」を食べ、宮島を観光 | |
宮島 発 | 16:40 | JR西日本宮島フェリー | |
宮島口 着 | 16:50 | 乗り換え | |
宮島口 発 | 17:00 | 山陽本線普通 | |
広島 着 | 17:28 | 広島グルメの夕食を。広島泊 | |
2 日 目 |
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広島 発 | 14:17 | 山陽本線普通 | |
糸崎 着 | 15:35 | 乗り換え | |
糸崎 発 | 15:38 | 山陽本線普通 | |
姫路 着 | 18:42 | 乗り換え | |
姫路 発 | 18:56 | 東海道・山陽本線新快速 | |
大阪 着 | 19:58 | 旅の終わり |
大正元年(1912)11月に開業した広島電鉄(当時は広島電気軌道)。市内線に続き、後に宮島線も開業。以来、実にさまざまな形式の車両が在籍してきたが、今もなお歴史的に価値のある車両が現役で活躍している。150形156号(被爆電車)や650形(同)はいうに及ばず、各地から転入してきた車両も。
たとえば元大阪市電の750形や900形、元京都市電の1900形など、かつて活躍した都市では見られない車両の姿も目にすることができる。
広島電鉄の900形電車は元大阪市電。大阪市交通局時代は2601形と呼ばれ、昭和44年3月31日の市電全廃に際し、広島電鉄が購入。昭和32年の製造で今なお9両が在籍
写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で4巡し、「青春18きっぷ」歴は19年目に。
著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。
夫婦旅ブログ http://fullmoon.aizawa22.com
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは2014年9月現在のものです。