『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
以前の119系電車に代わり、飯田線でも主力として活躍中の313系電車。飯田線は愛知県の豊橋駅と長野県の辰野駅を結ぶ195.7kmの地方交通線で、駅の数が多いのも特徴に。豊橋と辰野を含めなんと94もの駅がある
商売繁盛のご利益で知られる豊川稲荷。飯田線の豊川駅から徒歩3分と近く、お正月ともなればたくさんの初詣客で大賑わい。豊川稲荷のお膝元だけあって、当地では名物の「豊川いなり寿司」を食べてみたい
愛知県、三河地方の名湯、湯谷温泉の半露天風呂。源泉かけ流しの心地よい湯は、地下1000mから湧出する塩化物泉。歴史も古く、開湯は1300年前とされ、鳳来寺の開祖、利修仙人による発見と伝わっている
イノシシ肉をまるでボタンの花のように大皿に盛るところからその名が付いた「ぼたん鍋」。三河地方では「しし鍋」とも呼ばれ、冬の名物料理にもなっている。湯谷の名湯に浸かり、心ゆくまで味わってみたい
宇連川(うれがわ)の渓流沿いにある湯谷温泉。宇連川は川底に石の板を敷いたように見えるところから板敷川の別名も。湯谷のあたりの渓谷は鳳来峡と呼ばれ、写真の大滝をはじめ美しい風景が続く
豊橋の新名物「豊橋カレーうどん」は、一見すると普通だが、二層式になっており、うどんを食べ進めば丼の底からとろろごはんが登場する。このユニークな新名物、アクセントは豊橋産のウズラの卵
普通列車や快速列車などでのんびりゆったりとした旅が楽しめる青春18きっぷ。なかでも大きな特徴の一つは年末年始にも利用できること。時は忘年会や新年会のシーズン、青春18きっぷなら、仲間と泊まりがけの忘年会旅行や、自分にご褒美の“一人忘年会旅行”もおトクにできる。
冬ともなれば恋しくなるのが温泉に鍋料理。さまざまな鍋料理が各地にあるものの、愛知県三河地方、湯谷温泉では知る人ぞ知るイノシシ肉の「ぼたん鍋」(しし鍋)が味わえる。地元猟師が仕留めたというイノシシ肉を堪能する旅、冬ならではのグルメ旅にいざ出発!
東京から東海道本線の電車を乗り継いで豊橋へ。「JR時刻表」をよく眺めれば、途中の乗り換え回数が2回という楽ちんパターンも見つかる。
小田原を過ぎ、車窓にはミカン山が迫り、沼津を過ぎれば愛鷹山(あしたかやま)の奥から世界遺産となった富士山も姿を見せる。お正月の縁起の良い初夢に「一富士二鷹三茄子」の言葉があるが、これは徳川家康にちなみ、一の富士山はともかく、二の鷹とは愛鷹山を示すという説もある。
豊橋で飯田線に乗り換えて、ランチかたがた豊川で途中下車。商売繁盛で知られる豊川稲荷に参拝し、名物のいなり寿司を食べてみよう。そして、再び飯田線に乗車。目指す湯谷温泉にはちょうどチェックインの頃、14時48分に到着する。宿では三河の名湯を存分に楽しもう。
さてお待ちかねの「ぼたん鍋」の夕食。遥か昔、縄文時代より人々が食べていたというイノシシ肉、その色鮮やかな肉をボタンの花のように皿に盛るところから「ぼたん鍋」の名がついた。
当地、三河地方では「しし鍋」とも呼ばれ、名産の八丁味噌を合わせた濃厚な出汁で煮込めば、肉は驚くほど柔らかくて臭みもなく、パワーがみなぎってくる味わいだ。鍋をつつくほどに身も心も温まり、三河の夜は更けていく。
旅の2日目もゆっくり行こう。湯谷温泉では飯田線の電車に合わせ、遅いチェックアウトも可能。宇連川(うれがわ)沿いに宿が並ぶ湯谷温泉。渓流を眺めながらの朝風呂も、この上ない贅沢。
湯谷温泉からの帰路、東海道本線との接続駅、豊橋で途中下車。こちらでは新名物の「豊橋カレーうどん」を味わってみたい。寒い冬にこそ味わい引き立つカレーうどん。豊橋のものは二層仕立てになっているのが特徴で、カレーうどんの底には、とろろをかけたごはんが潜んでいる。
このプランでは往復とも東海道本線経由としたが、もし乗り鉄派の方であれば、復路は飯田線を長野県側の終点、辰野駅まで乗り通し、中央本線経由で新宿へ向かうのもいい。その場合は、湯谷温泉12時8分発の岡谷行きの電車に乗り、岡谷から中央本線に乗り継ぎを。新宿駅には夜10時過ぎの帰着となる。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
---|---|---|---|
1 日 目 |
東京 発 | 6:34 | 東海道本線 普通 |
沼津 着 | 8:39 | 乗り換え | |
沼津 発 | 8:42 | 東海道本線 普通 | |
浜松 着 | 10:51 | 乗り換え | |
浜松 発 | 11:03 | 東海道本線 普通 | |
豊橋 着 | 11:37 | 乗り換え | |
豊橋 発 | 11:42 | 飯田線 普通 | |
豊川 着 | 11:54 | 豊川稲荷を参拝し、いなり寿司のランチ | |
豊川 発 | 13:55 | 飯田線 普通 | |
湯谷温泉 着 | 14:48 | のんびり湯に浸かって、「ぼたん鍋」を食べて。湯谷温泉泊 | |
2 日 目 |
湯谷温泉 発 | 12:17 | 飯田線 普通 |
豊橋 着 | 13:23 | 新名物「豊橋カレーうどん」のランチ、食後は路面電車で一散歩も | |
豊橋 発 | 15:04 | 東海道本線 普通 | |
浜松 着 | 15:39 | 乗り換え | |
浜松 発 | 15:52 | 東海道本線 普通 | |
沼津 着 | 18:06 | 乗り換え | |
沼津 発 | 18:08 | 東海道本線 普通 | |
東京 着 | 20:22 | 旅の終わり |
豊橋の路面電車といえば、豊橋鉄道の市内線。環境に優しい乗り物として、豊橋では1982年(昭和57年)に井原~運動公園前間を新たに開業。また、豊橋駅前も停留所の移設により路線が延び、現在では営業キロが計5.4kmに。
ユニークなイベント電車も走る市内線。冬ともなれば電車で「おでん」が味わえる「おでんしゃ」も登場する。
豊橋駅前を出発する市内線の路面電車。写真の「モ780形」はかつて岐阜市内などで活躍した電車で、豊橋にやってきたのは2005年。以来、豊橋にもすっかり溶け込み、現在は市内線の主力車両となっている
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは2014年11月現在のものです。