『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
北陸本線で活躍するスマートな顔立ちのJR西日本521系交直流近郊形電車。国鉄時代に造られた古い電車との置き換えも進み、現在ではこの地域を走る近郊形電車の主役、文字通りの“顔”となった
直江津方面へ向けて富山駅を出発する北陸本線普通列車。国鉄時代の電車で、青一色の姿になってもなお味がある。富山から越中宮崎へは普通列車で50分ほど。越中宮崎では名物「たら汁」が待っている
砂浜ではなく、丸っこい小石が広がっている越中宮崎の「ヒスイ海岸」。小石の中にはヒスイの原石が含まれているといわれ、手のひらにのせた小石を、まじまじと見つめてしまうひと時も楽しいもの
越中宮崎の「たら汁」は郷土料理として有名になり、付近を走る国道は「たら汁街道」と呼ばれるほど。冬の北陸路の旅でぜひ味わってみたい「たら汁」。越中宮崎駅近くにあるお好みの店でどうぞ
かつての富山港線を引き継いだ富山ライトレールの電車。2車体連接タイプのモダンな低床式路面電車で、愛称は「ポートラム」。地域交通の新時代を実感しつつ、北前船で栄えた岩瀬浜まで行ってみよう
富山で食べた「ブラックラーメン」。まずはスープの黒さに驚き、食べてみれば意外とすっきりした味でまたまたびっくり。しょう油色の濃さといい太めの麺といい、富山ならではのパワフルなラーメン
2015年3月14日に開業する北陸新幹線の長野~金沢間。これにともない並行在来線がJR線から第三セクター線に移行する。北陸本線では直江津~金沢間がJR線から分離され、えちごトキめき鉄道(市振~直江津間)、あいの風とやま鉄道(倶利伽羅~市振間)、IRいしかわ鉄道(倶利伽羅~金沢間)となる。この区間の北陸本線にとって、いわばJR線最後の冬。今一度、車窓風景を楽しみ、沿線を旅してみたい。
大阪から北陸方面へ向かう時、琵琶湖の西岸を走る湖西線と東岸を走る北陸本線、この2つのルートが利用でき、本プランのように、往路、復路でルートを変えてみるのもいいだろう。
大阪から列車を乗り継ぎ、新幹線で盛り上がる金沢へ。ここで軽くランチをとって富山へ向かう。ところどころに北陸新幹線の高架を眺め、古戦場としても知られる倶利伽羅峠をトンネルで抜け、神通川を渡れば間もなく富山だ。列車をさらに乗り継ぎ、蜃気楼で有名な魚津を過ぎ、黒部川を越え、ほどなく目的地の越中宮崎に到着する。
富山県内で最も東のJR駅、越中宮崎。次の市振との間が新潟県との県境になっており、静かな無人駅を出ればすぐに日本海の浜辺へと続く。ヒスイの原石が拾えることからヒスイ海岸とも呼ばれ、「日本の渚・百選」にも選定。この越中宮崎、当地にはぜひ味わってみたい郷土料理がある。
越中宮崎の郷土料理といえば「たら汁」。漁に出た男衆のため、浜で待つ女房が愛情いっぱいにこしらえたのが始まりという。新鮮なタラをぶつ切りにし、白子も肝も入れた味噌仕立ての料理は素朴ながらも味わい濃厚。由来を聞けばなおのこと心まで温かくなってくる。越中宮崎では「たら汁」を供す店が多く、「たら汁街道」の名がつくほど。当地で「たら汁」を“たらふく”味わってみよう。
本プランでは宿泊地は富山市内としたが、湯めぐり派の方であれば、魚津エリアの金太郎温泉や北山鉱泉などもおすすめ。宿によっては一人旅の宿泊プランもある。
古くから製薬業で栄えてきた富山は、今、路面電車の活用でも先駆的な存在になっている。旅の2日目は午前中のフリータイム、ぜひ富山ライトレールなど路面電車に乗って小さな旅に出かけたい。特に、かつての富山港線を引き継いだ富山ライトレールがモダンな雰囲気。終点の岩瀬浜は北前船で栄えた街並みが残り、ぶらり散歩にも向いている。
大阪へ戻る前、富山でスタミナ満点のラーメンを食べておこう。白エビが名物の富山だが、しかし、ラーメンはなぜか黒。富山ブラックといった「ブラックラーメン」が全国的にも知名度上昇中。駅周辺でも食べられ、驚愕のスープとご対面を。そして、想像以上にすっきりした味わいを体感してほしい。
来春にはJR線から第三セクター線となる北陸本線一部区間。JR線時代の光景を心に刻み、米原経由で大阪へ帰ろう。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
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1 日 目 |
大阪 発 | 6:18 | 東海道本線 快速 (土休日は6:21発、快速) |
京都 着 | 6:51 | 乗り換え(土休日は6:54着) | |
京都 発 | 6:59 | 東海道本線・湖西線 普通 | |
近江今津 着 | 8:03 | 乗り換え | |
近江今津 発 | 8:13 | 湖西線・北陸本線 普通 | |
福井 着 | 9:44 | 乗り換え | |
福井 発 | 9:48 | 北陸本線 普通 | |
金沢 着 | 11:25 | 乗り換え&ランチ | |
金沢 発 | 12:10 | 北陸本線 普通 | |
富山 着 | 13:11 | 乗り換え | |
富山 発 | 13:17 | 北陸本線 普通 | |
越中宮崎 着 | 14:08 | 名物の「たら汁」を堪能し、ヒスイ海岸を散策 | |
越中宮崎 発 | 16:46 | 北陸本線 普通 | |
富山 着 | 17:38 | この日は富山泊 | |
2 日 目 |
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富山 発 | 13:49 | 北陸本線 普通 | |
金沢 着 | 14:52 | 乗り換え | |
金沢 発 | 15:00 | 北陸本線 普通 | |
敦賀 着 | 17:36 | 乗り換え | |
敦賀 発 | 17:49 | 北陸・東海道本線 新快速 | |
大阪 着 | 20:12 | 旅の終わり |
富山ライトレールに注目が集まる富山は、その誕生以前からずっと路面電車が走っている街。路面電車は1913年(大正2年)9月1日に富山電気軌道として開業し、現在は富山地方鉄道が運営している。
富山は路面電車の有用性をよく知る街だけに、いったん消滅した環状線区間を「富山都心線」として2009年(平成21年)12月23日に“復活”させ、さらに便利になった。
富山駅前で見かけたモダンな低床式路面電車は、富山地方鉄道9000形電車、愛称「CENTRAM(セントラム)」。富山市内中心部を走る環状線の電車で、2009年12月23日の環状線開業日より営業運転を始めた
写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で4巡し、「青春18きっぷ」歴は19年目に。
著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。
夫婦旅ブログ http://fullmoon.aizawa22.com
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは2014年11月現在のものです。