『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
伊勢市駅に着いた快速「みえ」。この列車は名古屋と伊勢市、鳥羽方面を結び、途中、青春18きっぷが無効となる伊勢鉄道線を経由。ただ、津から伊勢市間などJR線区間は普通車自由席が別途料金なしで利用OK
家々の玄関を飾る伊勢地方独特の「しめ縄」。「しめ縄」というと関東では正月だけに飾るイメージだが、当地では一年中かけられている。「笑門」と書かれた札を見れば、こちらにも福がやってきそう
三重県の伊勢、志摩地方を代表する郷土料理の一つ「手こね寿司」。寿司飯にカツオなどタレに漬けた赤身魚を合わせたもので、後を引くおいしさ。元々はカツオ漁の漁師さんが船上で食べたとされている
外宮と内宮がある伊勢神宮。内宮では五十鈴川にかかる宇治橋を渡って参拝へと向かう。宇治橋から眺めた五十鈴川の流れは清らかで、それだけでも心が清々しくなってくる。伊勢では思い思いに参拝しよう
内宮への入り口、宇治橋のたもとに続く「おはらい町」の町並み。あたかも江戸時代に舞い込んだような風景に、往時の旅人の姿が思い浮かぶ。通りにはご当地グルメの店も多く、伊勢らしい味覚に舌鼓を
日本全国に名物うどんはたくさんあれど、「伊勢うどん」ほど極太もっちりの甘辛うどんはないだろう。たまり醤油の濃厚で、されどさっぱりした味わい。こちらも伊勢に出かけたら、絶対に食べてみたいところ
旅行の歴史を振り返ってみれば、遠く室町時代から人々が参詣に訪れたという伊勢。江戸時代には「お伊勢参り」がそれは盛んになり、心のふるさと伊勢神宮を中心に、今も伊勢エリアには多くの旅人がやってくる。
江戸から片道15日、大阪からでも同5日かかったという江戸時代の伊勢。しかし、鉄道が発達した現在、伊勢は劇的に近くなった。普通列車や快速列車の旅が楽しめる青春18きっぷを利用し、大阪からも日帰り旅行がおトクにできる!
まずは東海道本線の電車で草津へ。草津というと群馬県の草津温泉をついついイメージしてしまう方もいそうだが、こちらは滋賀県草津市にある草津駅。東海道五十三次で52番目の宿場となった歴史を持つ。ここで草津線の電車に乗り換え、関西本線と接続する柘植(つげ)へ。
柘植から先はディーゼル列車の旅が始まる。電車とは一味違い、エンジン音を響かせて走るディーゼルカー。かつて蒸気機関車が力走した加太(かぶと)を越えて亀山で一息つく。
関西本線と紀勢本線が接続する亀山。いよいよ目指す伊勢も近くなってきた。紀勢本線の普通列車で漢字1文字の駅、津へ行き、名古屋発の快速「みえ」に乗り換えて伊勢市へ。この快速「みえ」には自由席と指定席があり、津~伊勢市間であれば、青春18きっぷで追加料金なしに自由席に乗車できる。
伊勢神宮の玄関、伊勢市駅。日帰りとはいえ時間はたっぷりと確保。参拝の前にしっかりとランチを食べ、腹ごしらえをしておこう。
内宮(ないくう)と外宮(げくう)がある伊勢神宮。外宮を先に参拝し、それから内宮を参拝するのが一般的なようだ。以前は山田駅(現・伊勢市駅)前から外宮、内宮方面を結ぶ路面電車があったが、昭和36年(1961)に廃止。現在は代わって路線バスが運行されている。
古くから大勢の参拝客が訪れた伊勢の町。外宮は伊勢市駅より歩いて約10分で行ける場所にあり、かつて路面電車が走った町並みを眺め、ゆっくりと歩いてみよう。
思い思いに外宮を参拝し、路線バスで内宮へ。五十鈴川にかかる宇治橋を進むと清々しい空気に包まれる。よくパワースポットといわれる伊勢神宮。ここで心機一転、新たな自分と会えるかもしれない。
内宮の参拝を終え、江戸時代さながらの風景が広がる「おはらい町・おかげ横丁」へ。和の情緒あふれる通りには伊勢グルメの店やみやげ店が軒を連ね、いつもたくさんの人で賑やかだ。
伊勢でグルメといえば、最初に思い浮かぶのが「伊勢うどん」。たまり醤油仕立ての濃厚なダシでからめた極太のうどんは、柔らかいもののモチモチとして忘れられない味がする。また、カツオなどをタレに漬け込み、寿司飯と合わせた「手こね寿司」も食べてみたい。
大阪発着の日帰り伊勢の旅。本プランでは帰路も往路と同じルートとしたが、亀山から関西本線を乗り通しての帰阪も可能。その場合は亀山発の同列車で加茂駅(京都府)へ行き、天王寺方面の電車に乗り換えを。ちなみに天王寺には午後9時頃の到着となる。ただ、こちらもダイヤ改正に注意し、旅行日に有効な列車時刻の再確認を。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
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1 日 目 |
大阪 発 | 7:03 | 東海道本線 新快速(土休日6:56発 快速) |
草津 着 | 7:54 | 乗り換え(土休日は7:57着) | |
草津 発 | 8:02 | 草津線 普通 | |
柘植 着 | 8:52 | 乗り換え | |
柘植 発 | 9:11 | 関西本線 普通 | |
亀山 着 | 9:36 | 乗り換え | |
亀山 発 | 10:10 | 紀勢本線 普通 | |
津 着 | 10:27 | 乗り換え | |
津 発 | 10:30 | 紀勢本線・参宮線 快速「みえ3号」自由席 | |
伊勢市 着 | 11:06 | 伊勢神宮参拝とグルメ散歩 | |
伊勢市 発 | 17:12 | 参宮線・紀勢本線 普通 | |
亀山 着 | 18:29 | 乗り換え | |
亀山 発 | 18:38 | 関西本線 普通 | |
柘植 着 | 19:03 | 乗り換え | |
柘植 発 | 19:06 | 草津線 普通 | |
草津 着 | 20:03 | 乗り換え | |
草津 発 | 20:06 | 東海道本線 新快速 | |
大阪 着 | 20:57 | 旅の終わり | |
※3月14日ダイヤ改正前の時刻です。 ※ダイヤ改正により時刻が変更となる場合があります。 |
3月14日の北陸新幹線(長野~金沢間)開業に伴い新しい特例ができる青春18きっぷ。
それは、3月14日以降もJR線である氷見線・城端線・七尾線方面への旅に際し、「あいの風とやま鉄道」の富山~高岡間(下車可能駅は富山駅・高岡駅)と「IRいしかわ鉄道」の金沢~津幡間(下車可能駅は金沢駅・津幡駅)を普通列車・快速列車の普通車自由席で通過利用する場合に限り、青春18きっぷのみで利用可能というもの。ただ、これら通過利用可能区間で下車可能駅以外の下車には別途、乗車区間の運賃が必要になるのでご注意を。
金沢、津幡から七尾、和倉温泉方面を結ぶJR七尾線の電車。3月14日の北陸新幹線(長野~金沢間)開業により、金沢~津幡間は「IRいしかわ鉄道」へ移管されるが、青春18きっぷでは特例として通過利用することができる
写真家、パズル作家。日本のすべての都道府県を夫婦で4巡し、「青春18きっぷ」歴は20年以上。
著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。
夫婦旅ブログ http://fullmoon.aizawa22.com
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは2015年3月6日現在のものです。