『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
東京都内を北へ行く、上野東京ラインから宇都宮線へ直通運転の電車。青春18きっぷ誕生の頃は115系電車の独壇場だったものの、今ではE231系など新世代車両が活躍中。屋根にはもちろん冷房装置がある
分福茶釜の館林。駅前には昔話にちなんだタヌキの置物や石像が並ぶ。2010年には猛暑日が41日(熊谷と並び日本最多)もあったという土地だけに、ユーモラスな顔立ちのタヌキも参ってしまいそう?
タヌキの器にも注目の館林名物「冷やし釜玉うどん」。フタはタヌキの顔になっていて、開けてみれば中は具だくさんで色取りも上々。猛暑酷暑の館林、うどんなら暑さに参った時もスルスルと食べられる
館林を散歩中に出会った涼しげな表情の白猫。猫はもともと砂漠育ちのリビアヤマネコが祖先というだけに、館林の暑さも意外とへっちゃらなのかもしれない。青い瞳と金色の瞳、きれいなオッドアイだった
今や熊谷駅の名物になった感がある「冷却ミスト」。駅入り口の上にはドローンにも似たノズルが並び、夏場、気温28℃以上など、一定の気象条件で噴霧開始。「冷却ミスト」を浴びて熊谷の夏を実感!
近くを荒川が流れ、おいしい地下水でも知られる熊谷。暑い街ゆえ氷菓が恋しい。熊谷では自慢の水で作った氷を雪のように細かく削り、さまざまな風味で味わう「雪くま」(かき氷)が人気を集めている
2015年3月14日に開業した上野東京ライン。上野駅と東京駅が線路で結ばれ、従来、上野駅止まりだった宇都宮線などの電車と、同じく東京駅止まりだった東海道本線の電車が相互に直通運転を開始。東京駅からも北へ向かう中距離電車の旅ができるようになった。
湘南新宿ラインとともに新しい東京の動脈となった上野東京ライン。普通列車や快速列車は、もちろん青春18きっぷで乗車できる。早速、上野東京ラインを利用してみよう。
うだるように暑い東京の夏。今では電車も冷房完備が当たり前になったが、青春18きっぷ誕生の頃はまだ冷房化率は100%ではなかった。電車によっては車両ごとに冷房完備のものと非冷房車が混在したり、冷房車がやって来るまで数本の電車を待ったことも。
JRの時代になり、車両の近代化、高性能化もあって、現代、青春18きっぷの旅は季節を問わず以前よりも格段に快適になったと思う。
宇都宮線直通の涼しい電車に乗って、荒川を渡って東京を離れ、さらに利根川を渡って栃木県の小山へ。さらに両毛線の電車で思川を渡って佐野へ。佐野からは東武佐野線の旅。こちらは青春18きっぷが利用できない私鉄線だ。別途片道250円の切符を購入し、渡良瀬川を渡ってほどなく最初の目的地、館林に到着する。
群馬県の館林は分福茶釜で知られる茂林寺があり、茶釜に化けたタヌキの昔話にちなみ、駅前からタヌキの置物、石像が旅人を歓迎してくれる。そして、館林は埼玉県の熊谷とともに関東きっての「暑い処」。夏場ともなれば真夏日(最高気温30℃以上)はおろか猛暑日(同35℃以上)の日も続出。2007年8月には40.3℃の最高気温を記録するほど!
まずは館林をさっと散策。本場の暑さを体感した後、名物を食べてみよう。良質の小麦産地でもある館林は「うどんの里」。当地ではタヌキの器に盛られた「冷やし釜玉うどん」も有名だ。ツルツルとした麺の味わいが心地よく、ユーモラスな器も一服の清涼剤に。
佐野駅に戻り、再び両毛線に乗車。桐生で渡良瀬川を渡り、前橋で利根川を渡り、交通の要衝、高崎へ。この両毛線沿線の街も関東有数の「暑い処」に名を連ねている。さあ、いよいよ関東一、2007年8月に40.9℃を記録した熊谷へ行こう。
埼玉県北部に位置し、同じく小麦の産地であり、うどんも名物の熊谷。東京の熱も風で運ばれてくるとされ、熊谷駅では暑さ対策のため「冷却ミスト」を夏場に噴射。こちらも一つの名物に。また、良質の水を活かし、かき氷の「雪くま」も登場。暑い街で味わう氷菓は格別だ。
暑さ厳しい夏の旅。熱中症対策だけはくれぐれも怠りなく!
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
---|---|---|---|
1 日 目 |
東京 発 | 9:02 | 上野東京ライン・東北本線 普通(土休日は9:04発) |
小山 着 | 10:31 | 乗り換え(土休日は10:25着) | |
小山 発 | 10:44 | 両毛線 普通 | |
佐野 着 | 11:11 | 乗り換え | |
佐野 発 | 11:30 | 東武鉄道・佐野線 普通 ※別途運賃250円 | |
館林 着 | 11:46 | 名物「冷やし釜玉うどん」のランチ | |
館林 発 | 13:57 | 東武鉄道・佐野線 普通 ※別途運賃250円 | |
佐野 着 | 14:14 | 乗り換え | |
佐野 発 | 14:29 | 両毛線 普通 | |
高崎 着 | 15:42 | 乗り換え | |
高崎 発 | 15:55 | 高崎線 普通 | |
熊谷 着 | 16:37 | 熊谷の名物「雪くま」で一息!(土休日は16:39着) | |
熊谷 発 | 17:59 | 高崎線・上野東京ライン 普通(土休日は18:02発) | |
東京 着 | 19:14 | 旅の終わり |
青春18きっぷ誕生以前から近郊形直流電車のスタンダードとして活躍してきた115系。その製造は昭和38年(1963)から始まり、形式としては半世紀を超える歴史となった。
初期の車両はヘッドライトが大きく、もちろん冷房は非搭載。夏場は窓を全開にし、モーター音も高らかに各地を力走。青春18きっぷの旅人にとってもおなじみの車両だったと思う。
最盛期には2000両近くもあった115系。しかし次第に新世代車両と入れ替わり、現在、関東では高崎地区を中心に両毛線などで活躍している。
高崎駅で発車を待つ115系電車の両毛線普通列車。青春18きっぷの旅人には見慣れた風景と思うが、その115系電車も世代交代の時期を迎えている。オレンジ色と緑色のいわゆる「湘南色」もよく似合っている
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは平成27年6月30日現在のものです。