『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
全国でも珍しい城下町よりも低い位置に築いた「穴城」の小諸城址は、桜と紅葉の名所
信州上田といえば「あんかけ焼きそば」。のっているアンが絶品
「未完成の完成の塔」と呼ばれる三重塔のある前山寺。色づく木々が古刹を囲む
戦国武将・真田一族のふるさとであり、鎌倉から室町時代に創建された寺社を彩る紅葉が楽しめる東信州エリア。玄関口の軽井沢駅からは、しなの鉄道に乗り換えて、ゆっくりと流れる車窓の景色を眺めたい。
まずは、小諸駅で下車し、歩いて約10分の小諸城址「懐古園」に向かおう。400年前当時の姿で残されている苔むした石垣と、赤や黄色に染まった木々のコントラストが見事。余裕があれば、駅レンタカーやバスを利用して標高2,000mの高峰高原まで足を延ばしたい。小諸市街地が一望でき、カラマツの美しい紅葉が見られる。
再び、しなの鉄道に揺られ上田駅へ。真田幸村公の父・昌幸公によって建てられた上田城跡では、サクラやイチョウ、モミジの美しい紅葉が楽しめる。11月には「信州上田城けやき並木紅葉まつり」が開かれる。戦国武将ファン必見の真田氏の活躍を再現する鉄砲隊の演武(11月6日11:30~12:00)や、甲冑の試着体験(期間中の土・日曜)のほか、ちぢれ麺に野菜たっぷりのアンをのせた「信州上田あんかけ焼きそば」や、割り箸に巻きつけた鹿肉料理「信州上田ロウソク焼き」など、上田のご当地料理も登場する(11月6・7日)。けやき並木遊歩道の幻想的なライトアップも見逃せない。
上田電鉄別所線に乗り換えて、今夜の宿、別所温泉まで行く。沿線に広がる塩田平は、国指定の重要文化財「三重塔」がある前山寺や、中部日本最古の木造建築・中禅寺薬師堂など中世の寺社仏閣が残り、「信州の鎌倉」と呼ばれる地域。途中下車して、古刹の紅葉を楽しむのもいいだろう。
フリーエリア内のJR線と13の鉄道会社の快速を含む普通列車の普通車自由席が乗り降り自由のきっぷ。別に特急券を購入すれば、新幹線も利用できる。
発売期間
平成23年3月26日まで
利用開始日
平成22年10月2日~平成23年3月27日の土休日と飛び石連休(12月28日~1月6日を除く)
有効期間
連続する2日間
ねだん
おとな8,700円、こども2,600円
旧中山道の風情あふれる妻籠宿。古来より伝わる木製の曲げ物屋なども営業している
つぶしたご飯を竹や木に練りつけ炭火で焼いた五平餅。形やタレは地域によって異なる
国の名勝・史跡・天然記念物の寝覚の床。浦島太郎が弁財天像を残したという浦島堂もある
島崎藤村が「木曽路はすべて山の中である」と書いたように、御嶽山と木曽駒ヶ岳に挟まれたわずかな平地を通る木曽路。江戸時代から続く由緒ある街道には、趣のある宿場町が点在する。往時に想いを馳せ、自然が織りなす錦絵を楽しみたい。
名古屋から特急(ワイドビュー)しなので約1時間、南木曽駅に着く。中世から知られる宿場町「妻籠(つまご)宿」は、駅からバスで約5分。常夜燈や水場、復元された高札場、民家など情緒ある町並みが残る。「木曽路フリーきっぷ」にセットされている「木曽路エンジョイチケット」を見せれば、藤村の母の生家でもある「妻籠宿本陣」や「脇本陣奥谷」などに無料で入場できる。小腹が空いたら、木曽・伊那地方に伝わる郷土食「五平餅」や、秋限定の生栗で作った栗餡を餅で包んだ「栗子餅」を食べよう。素朴ながらほっとする木曽路ならではの味わいだ。
再び中央本線に乗り、野尻駅からタクシーで約5分の阿寺渓谷入口に向かう。渓谷沿いには「千畳岩」や「犬帰りの淵」などと名付けられた景勝地が続き、紅葉とエメラルドグリーンの清流のコントラストが素晴らしい。今年3月に「信州の名水・秘水」に選定され、顔を洗うと肌が美しくなるという清水「美顔水」までは約6km。
野尻駅からさらに北上し、上松(あげまつ)駅からバスで木曽八景のひとつ「寝覚(ねざめ)の床(とこ)」へ。巨大な花崗岩が木曽川の激流に刻まれてできた自然の彫刻は、その迫力ある姿で多くの文人・歌人の記録にも残る。さらに、木曽路の難所・鳥居峠を越える旅人が休んだ「奈良井宿」は、奈良井駅から歩いてすぐ。千本格子の家々が約1 km続く町並みは、宿場時代の雰囲気がほぼ完全に保存されており、まるで江戸時代を旅している気分になれるだろう。
特急(ワイドビュー)しなの号の普通車指定席の往復と、JR線フリー区間内の普通列車・特急列車の普通車自由席が乗り降り自由になる。また、6,000円分のバス・タクシーなどのチケットや観光施設の入場券も付く。
発売期間
通年
利用開始日
通年(12月28日~1月6日、4月27日~5月6日、8月11~20日を除く)
有効期間
利用開始日から3日間
ねだん
名古屋市内出発 1人用9,200円、2人用12,200円、3人用15,200円、4人用18,200円
天龍峡周辺を1週できる遊歩道は約1時間のコース。吊り橋から見る渓谷美は圧巻だ
周囲を山々に囲まれた飯田線ならではの景色。車窓からの紅葉だけでも十分満足できる
日本三大東照宮の一つ、鳳来山東照宮の境内には、樹齢約400年の杉のほか広葉樹が茂る
南信州の伊那路のある飯田線沿線は、駒ヶ根の千畳敷(せんじょうじき)カールや飯田の天龍峡、愛知県新城市のシンボル・鳳来寺山(ほうらいじさん)など、絶景紅葉スポットが目白押し。期間限定の観光列車を利用し、おトクに紅葉を楽しもう。
名古屋駅から豊橋駅を経て、伊那路に向かう飯田線。豊橋駅から為栗(してぐり)駅や金野(きんの)駅などの秘境6駅をめぐり天竜峡駅へ行く急行「飯田線秘境駅号」(10月30・31日、11月13・14日運行。全席指定)は、紅葉を見に行くのにぴったりな列車だ。車窓からは、紅葉の時期には「紅葉列車」と呼ばれるほど見事な秘境エリアの景色が堪能できる。豊橋駅構内で売っている「飯田線秘境駅オリジナル弁当」(1,000円)を買って、列車に乗り込むのもいい。天龍峡では、オレンジ色に染まった山と眼下に流れる天龍川を眺めながら、ゆったりと天龍峡遊歩道を歩きたい。
もう少し気軽にお出かけするなら、快速「そよ風トレイン117」(10・11月の土・日曜、祝日運行。全席指定)で、鳳来寺山に行こう。そよ風トレイン117は、豊橋駅から中部天竜駅までを1日1往復する企画列車。乗客が自由に使える窓向きの木製ベンチなどもある。
徳川家康誕生ゆかりの地・鳳来寺へは、本長篠駅で列車を降りて、約1時間バスに揺られる。奥三河の紅葉スポットとして知られる鳳来寺一帯では、11月6日から「鳳来寺山もみじまつり」が開かれる。今年は、近くの湯谷(ゆや)温泉街と共に、一帯でろうそくに火を灯すイベントも予定しており、幻想的な雰囲気が楽しめそうだ。
フリー区間内の快速・普通列車普通車自由席が乗り放題になる。別途、指定券や急行券を買えば快速列車、急行列車なども利用できる(新幹線、寝台列車を除く)。
発売期間
通年
利用期間
土・日曜・祝日、12月31日~1月3日
有効期間
1日間
ねだん
おとな2,500円、こども1,250円