東京〜新大阪駅間を2時間30分で結ぶことを目指し、最新技術を投入して開発されたのが、最高運転速度270km/hの300系車両です。新幹線車両初のVVVFインバータ制御やアルミ合金製の軽量車体、強力なパワーの主電動機、空気抵抗を減らす流線型車体の採用など、高速運転時代に対応した新機軸が盛り込まれた車両となっています。
平成4年3月14日、東京〜新大阪駅間を2時間30分で結ぶ「のぞみ」でデビュー。車両の増備に合わせ、平成5年3月18日からは東京〜博多駅間を5時間4分で結ぶ「のぞみ」も登場しました。その後は初代「のぞみ」車両として幅広く活躍しましたが、新世代の700系やN700系の登場によって現在は「ひかり」「こだま」で活躍しています。
- 東海道・山陽新幹線:
- 「ひかり」(東京〜三原)
- 東海道新幹線:
- 「こだま」(東京〜新大阪)
- 山陽新幹線:
- 「こだま」(岡山〜博多)
東海道新幹線における270km/h時代を切り開いた300系。初代の「のぞみ」車両として活躍した
3+2席配置のリクライニングシートが並ぶ普通車車内。新世代車両の基本スタイルとなっている
昭和60年10月1日、0系の後継車両として登場したのが、2階建てのグリーン車と食堂車を連結した100系車両です。0系と比べシャープな先頭部分が外観の特徴で、普通車の3人掛け座席も回転できるようになっています。その後、JR東海は食堂車の代わりに1階にカフェテリアを設置したG編成、JR西日本は2階建ての食堂車とグリーン車を4両連結したV編成を増備し、東京〜博多駅間の「ひかり」のエースとして活躍しました。
しかし、新世代の300系車両が登場・増備されると、最高運転速度240km/hの100系は速達列車から離脱し、2階建て車両を外した4両編成と6両編成に組み替えられ、山陽区間の「こだま」用として運用されています。
- 山陽新幹線:
- 「こだま」(新大阪〜博多)
2階建てグリーン車・食堂車を連結した100系。現在は山陽区間の「こだま」で最後の活躍をしている
ゆったりとした2+2席配置のリクライニングシートが並ぶ100系の普通車車内
平成16年3月13日、九州新幹線鹿児島ルートの新八代〜鹿児島中央駅間の部分開業で登場したのが、内装に地元の特産品を使用し、和風テイストが盛り込まれた800系車両です。列車は普通車のみの6両編成で、座席のモケットは西陣織、座席の肘掛けやテーブルは木製、窓のブラインドは簾風、洗面所に縄暖簾、電話室に布製の暖簾がかかるなど、新幹線車両では唯一の和風スタイルになっています。
また、平成21年8月22日には新タイプの800系車両も運転を開始しましたが、さらに和風のイメージを高めるため、2〜5号車の妻壁に金箔を採用。さらに九州の伝統工芸品を随所に配置し、まさに日本らしさを表現した車両となっています。
- 九州新幹線:
- 「つばめ」(新八代〜鹿児島中央)
8月22日に運転を開始した新800系。初代の800系とは異なる車体側面のデザインが特徴になる
随所に九州の伝統工芸を織り込んだ新800系の車内。金箔を張り、豪華な雰囲気も演出している
平成23年春に博多〜新八代駅間が開業予定の九州新幹線鹿児島ルート。山陽新幹線と直通運転するため、平成20年10月に製造された先行量産車がN700系7000番台です。
車両はN700系をベースにしていますが、東海道区間を走行しないため「車体傾斜装置」を省略。九州新幹線では35‰(パーミル)の急勾配区間があるため、8両編成の全車両が電動車(モーター付き車両)になっているのが特徴です。
車体のスタイルはN700系16両編成と同じですが、車体の色は陶磁器の「青磁」をイメージした白藍色に、紺藍色と金色の帯を巻いたデザインとなっています。
現在はJR西日本のS1編成1本が試運転を重ねており、九州新幹線鹿児島ルート全線開業時までにJR西日本が19編成、JR九州は10編成の計29編成を製造予定。平成23年春には新大阪〜鹿児島中央駅間を結ぶ「さくら」として、山陽新幹線と九州新幹線を直通運転する予定になっています。
写真協力:交通新聞サービス
イラスト:素材ダス
※掲載されているデータは平成21年9月現在のものです。