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『途中下車! 青春18きっぷの旅 ~格安のワンダフル☆トリップ~』JR全線の快速&普通列車が普通車自由席に乗り放題の「青春18きっぷ」。ローカル線のワンダフル・トリップに、さあ、出かけましょう!

  • 札幌発1泊2日 開港150周年の函館と“山線”の名湯
  • 東京発1泊2日 秘湯ハイキング「灰沢鉱泉と柿其温泉」
  • 高松発1泊2日 吉野川沿い、阿波・土佐の秘湯へ
  • 博多発1泊2日 霧島連山の湯と史跡に触れる

『開港150周年に沸く函館、そして通称“山線”の名湯へ』山あり海ありで、車窓風景に富む函館本線。この道央・道南にまたがる路線の近くには、新旧の名湯が揃い踏み! 開港150周年で盛り上がる函館を折り返し地点とした、いで湯&グルメの旅へいざ出発!

山間を列車で縫って、たどり着いたはニセコの秘湯

 函館本線は、不思議な路線である。幹線ながら、小樽~長万部駅間を結ぶ列車は、1日10本程度しかなく、海あり山ありの車窓風景はもはやローカル線。だからこそ、旅程をきちんと組めば旅情溢れる列車旅を楽しめるのだ。

 札幌を出て、銭函近辺に差しかかると石狩湾が目に飛び込んでくる。雄大な海景を楽しんだら、小樽で乗り継ぎ時間を利用し、駅弁「北海手綱」と「石原裕次郎23回忌 記念入場券」を購入した。石原裕次郎が3歳から9歳までを過ごした小樽は彼の第二の故郷でもあり、ホームには等身大のパネルも立つ。

 余市あたりから、車窓の主役は山に変わり、小樽~長万部駅間が通称“山線”と呼ばれているのを実感する。ニセコ駅で下車したら、バスで昆布温泉へ行き「鯉川温泉旅館」で外来入浴。明治32年(1899)開湯の同館は昆布温泉最古参だ。緑がかった白濁湯は、やや温めで長湯にぴったり。創傷や神経痛などに効能があるという。温泉好きなら、列車の待ち時間に「ニセコ駅前温泉 綺羅乃湯」でもう一風呂なんてのも乙だ。

 ニセコ駅からは、開港150周年で活気付く函館へ。夜は、夏旬の真イカで一杯もいいし、夜景を眺めるもいい。一泊後は、地元ガイドと一緒に「開港150周年記念散策コース」を散策! 旧函館区公会堂などをめぐり、函館の歴史をお勉強する。小腹が空いたら、“日本最古のラーメン”と言われ、開港150周年を記念して復活した「南京そば」をズズーッとやろう。

 函館本線の復路の楽しみは長万部温泉。「丸金旅館」の湯はナトリウム-塩化物泉。浴後に肌をコーティングしてくれる美肌の湯だ。湯冷めしにくく、帰りの車中もポカポカ。心地よい電車の揺れに、まどろみの中、旅の充実感を味わっていた。

旅のスケジュール

  駅名 時間 旅のひとことアドバイス
1日目 札幌発 6:53 銭函から小樽築港あたりは車窓から石狩湾を望める
小樽着 7:39 駅弁「北海手綱」1050円と「石原裕次郎23回忌 記念入場券」を購入
小樽発 8:07 小樽~長万部までは深い山間を進むため、ローカル線らしい景色に出会える
ニセコ着 9:44 バスで約20分の昆布温泉「鯉川温泉旅館」へ行き、立ち寄り入浴
ニセコ発 14:07 待ち時間を利用して、「ニセコ駅前温泉 綺羅乃湯」でもう一風呂
長万部着 15:21  
長万部発 16:16 日本最北の関所があったという山越駅を通過し、大沼駅あたりで大沼を望める
函館着 19:29 開港150周年に沸く函館へ到着。8/1~8/5は函館港まつりも開催
2日目 函館発 14:27 開港150周年記念散策コースをガイドとめぐり、昼飯に「南京そば」を食す
長万部着 17:43 徒歩9分の長万部温泉「丸金旅館」で立ち寄り入浴
長万部発 19:46  
札幌着 23:54  
青春18きっぷでめぐった名湯・秘湯
ニセコ駅:昆布温泉
ニセコ温泉郷内で最大の温泉地のひとつ
古くから道内屈指の湯治場として栄え、現在宿数は5軒ほど。源泉は塩化物泉と炭酸水素塩泉で、切り傷や胃腸病に効くという。「鯉川温泉旅館」●TEL.0136-58-2111。ニセコ駅からバス約20分の昆布温泉下車。外来入浴500円
長万部駅:長万部温泉
風呂から出てもポッカポカ
昭和30年に湧出した比較的新しい温泉地。高張性弱アルカリ性高温泉という泉質は、湯冷めしにくく肌に優しい。宿は8軒で、すべて外来入浴可能。「丸金旅館」●TEL.01377-2-2617。長万部駅から徒歩約9分。外来入浴500円


裕次郎の記念入場券は5枚組の台紙付きで800円。ヨットで仁王立ちする写真などが印刷されている


自家泉源を持つ鯉川温泉旅館。露天風呂からは小さな滝を一望。10~20時まで外来入浴可(清掃日あり)


開港150周年記念散策コース(8月8~16日の10時から実施。参加無料)で見学する旧イギリス領事館


明治17年の新聞に記録が残る南京そば。スープは鶏ベースで麺は道産小麦100%。市内7店舗で販売


源泉かけ流しの湯を檜風呂や露天風呂で満喫できる丸金旅館。飲泉も可能。外来入浴は7~22時

旅のMEMO
観光の問合せ
ニセコリゾート観光協会●TEL.0136-43-2051
長万部商工会●TEL.01377-2-2270
函館国際観光コンベンション協会●TEL.0138-27-3535

文: 鈴木健太 写真協力: JR小樽駅、鯉川温泉旅館、 函館開港150周年記念事業実行委員会事務局、丸金旅館
TOP写真:マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ(函館本線 姫川~東山駅間)
※掲載されているデータは平成21年8月現在のものです。

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『秘湯ハイキング 灰沢鉱泉と柿其温泉』木曽路は山々に囲まれた谷間を通っている。そして、木曽谷には1300年前の古道沿いに知る人ぞ知る鉱泉があるという。古きよきのどかな日本の原風景の中、のんびり歩く秘湯ハイキングに出かけてみた。

木曽谷に見つけた歴史ある道、清流の道。そして良質の秘湯

 木曽谷で知られる赤沢自然休養林がある長野県上松(あげまつ)町。中央本線上松駅から歩いて行ける距離に鄙びた鉱泉があると聞いた。その名は「灰沢鉱泉」。

 まずは駅から木曽川に下りて行く。人はほとんどいない。木曽川の橋を渡り、集落に入ると道祖神がたたずんでいる。写真を撮っていると近くで子供が不思議そうに見ていた。旅人には珍しい道祖神も、地元の子供には生活に溶け込んだ当たり前のものなのだ。

 赤沢自然休養林へ行く道から左に曲がり橋を渡ると、登り坂が始まる。のどかな雰囲気が実にいい。棚田を眺めながら駅からのんびり歩くこと約1時間、谷間に灰沢鉱泉が現れた。小さな川に架かっている橋を渡ると玄関。宿のすぐ脇をその川が流れている。早めに着いたので他に客はいない。のんびり手足を伸ばし、貸切気分で温泉に浸かってみた。露天は円形の湯船で目の前には水車が回る。

 「ここは古いんですよ、建物も古いけど鉱泉はもっと古くて西暦700年代に見つかったということです。目の前の道も700年代からある古い道なんですよ」。宿の片隅には囲炉裏があり、炭火のぬくもりを味わいながらご主人と夜遅くまで話し込んだ。人里離れた静かな宿に高級旅館のような特別なサービスはないけれど、心底から安らいで幸せな気分になれた。

 翌日は上松駅から移動して野尻駅で途中下車。柿其(かきぞれ)渓谷から柿其温泉へと向かった。

 駅から田圃の中を歩く。遠くに木曽駒ヶ岳、周りには花が咲いている。なんともいえない日本の美だ。「恋路峠」とも呼ばれる小路峠の旧道を登って峠に到着し、そこからは下りで牛ヶ滝へと向かった。

 滝は真っ白な飛沫を上げて、エメラルドグリーンの滝壺へと落下する。見事な景観でその水の色に魅せられてしまった。滝の近くの柿其温泉に着くと釣り人がやってきた。

 「平日に来るとね、釣れなくても川を独占してるみたいで最高」。誰しも見ているだけで十分満足できるに違いない。美しいこの川は、秘湯とともに頑張って歩いたハイカーに与えられるご褒美だから。

旅のスケジュール

  駅名 時間 旅のひとことアドバイス
1日目 東京発 7:28  
高尾着 8:35 甲府行きの普通列車に乗換え
高尾発 8:46 いよいよ山間に入る
甲府着 10:24  
甲府発 10:56 乗換え時間に昼前の小腹を満たす駅弁を購入
塩尻着 12:35 中津川行きの普通列車に乗換え
塩尻発 12:41 木曽川の車窓を満喫
上松着 13:39 上松駅前で遅めの昼食を食べてから灰沢鉱泉にハイキング。翌朝は後のハイキングに備え、宿からタクシーで上松駅へ。
2日目 上松発 9:13  
野尻着 9:33 野尻駅から恋路峠、柿其渓谷、牛ヶ滝をめぐり、柿其温泉へ。入浴後、十二兼駅へハイキング。
十二兼発 12:27 松本行き普通列車に乗車。倉本~上松駅間の「寝覚の床」を車窓から見学
塩尻着 13:48 遅めの昼食を駅弁でとるか、駅前の食堂で休憩
塩尻発 14:43 高尾まで普通列車に乗車
高尾着 18:08 高尾駅で最後の乗換え
高尾発 18:12 だんだんと都会の景色に
東京着 19:21  
青春18きっぷでめぐった名湯・秘湯
上松駅:灰沢鉱泉
1300年前の古道のそばに古い鉱泉あり
木曽西古道沿いにある鉱泉の宿。鉄分が豊富な源泉は不妊症、肝臓病、呼吸器疾患に効くという。泉質は含二酸化炭素・鉄-カルシウム・ナトリウム・マグネシウム-炭酸水素冷鉱泉。「旅館灰沢鉱泉」●TEL.0264-52-3287。上松駅から徒歩約1時間
野尻駅:柿其温泉
酸性の強い鉱泉は特にアトピーに効く
酸性の放射能泉。温泉成分の中に細胞を復活させる重曹が含まれ、「乾性のアトピーに効きますよ」というご主人。飲泉では通風などにも効果が認められる。泉質は放射能泉。「渓谷の宿いちかわ」●TEL.0264-57-2655。野尻駅から約1時間20分


木曽川の支流・小川を渡って灰沢沿いに歩いていくと、のどかな棚田の風景が広がる


ご主人が手造りしたという灰沢鉱泉の円形の露天風呂にゆったり浸かる。このほか木製の内湯もある


柿其渓谷の牛ヶ滝周辺の流れ。40分ほど林道を遡ると霧ヶ滝があり、こちらの方がいいという人も


柿其渓谷の魅力は牛ヶ滝の水の色にある。花崗岩がこの美しさを醸し出している


灰沢鉱泉の料理。この日のメインはヤマメの刺身と塩焼き。地元で採れる山菜なども並ぶ


檜やサワラなど木曽の木材を使った柿其温泉の香りのいい内風呂。貸切気分で温泉を満喫できる

旅のMEMO
観光の問合せ
上松町観光協会●TEL.0264-52-2001

文・写真:清野 明
※掲載されているデータは平成21年8月現在のものです。

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