/> 青春18きっぷの旅 vol.4 吉野川沿い、阿波・土佐の秘湯へ / 霧島連山の湯と史跡に触れる|旅行|トレたび - 青春18きっぷ、高松発1泊2日・博多発1泊2日

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『途中下車! 青春18きっぷの旅 ?格安のワンダフル☆トリップ?』JR全線の快速&普通列車が普通車自由席に乗り放題の「青春18きっぷ」。ローカル線のワンダフル・トリップに、さあ、出かけましょう!

  • 札幌発1泊2日 開港150周年の函館と“山線”の名湯
  • 東京発1泊2日 秘湯ハイキング「灰沢鉱泉と柿其温泉」
  • 高松発1泊2日 吉野川沿い、阿波・土佐の秘湯へ
  • 博多発1泊2日 霧島連山の湯と史跡に触れる

『吉野川沿いの
二路線に揺られ阿波・土佐の秘湯へ』四国の秘湯を訪ねるべく、今回利用したのは吉野川を南北に沿う土讃線と、東西に沿う徳島線。この四国最大級の川の近くには、祖谷をはじめ秘境や秘湯、さらに鉄道マニアの聖地ともいえる超ローカル駅などがいっぱい!

四国山地を貫く土讃線に乗り込み、山峡のいで湯と秘境に出会う

 四国の秘境の湯と駅に出会うべく高松駅を出発した。まず降りたのは八十場(やそば)駅。お目当ては230年以上の歴史を持つ「清水屋」の八十場ところてんだ。ズルッと啜ると、国産天草のほのかな磯の香りとコシが感じられ、思わず「夏にぴったり!」と唸ってしまった。

 小走りで八十場駅に戻り予讃線に乗ると、琴平で土讃線の乗り換え。讃岐財田あたりから列車は山間部に入り、珍しいスイッチバック式の駅・坪尻を通る。山々に囲まれ、周りに民家も車道も見当たらない同駅は、まさに“秘境駅”という呼び名がふさわしい。

 阿波池田で乗り継ぎ、山道を懸命に進む列車に揺られていると、眼下に小歩危(こぼけ)峡・大歩危(おおぼけ)峡が! V字に刻まれた渓谷の間を緑青色の川が流れていく様は圧巻だ。大歩危駅に着いたら「祖谷渓(いやけい)温泉ホテル 秘境の湯」へ向かい、露天風呂に浸かる。祖谷渓谷の原生林を眺めながら、じっくりと堪能する美肌の湯。まさに極楽である。

 大歩危駅からは、再び南下して土佐山田駅で下車。物部川中流の河畔にある「夢の温泉」で投宿した。内湯の窓から、物部川と川辺の濃緑の木々を眺めながらの湯浴みがまたいい。

 翌日は、土讃線を引き返し「阿波池田うだつの家・たばこ資料館」を見学。100年以上前のたばこ製造業者の住まいを利用した同館には見事な“うだつ”が上がっていた。

 阿波池田駅に戻り佃駅へと移動したら、ここからは徳島線に突入。鴨島で降り鴨島温泉「鴨の湯」で四国山地一望の露天風呂を楽しんだら、夕暮れの徳島駅へ。LEDを使った光の絶景ポイント「光の八十八ヶ所めぐり」を楽しむためだ。その一つに認定された「新町川水際公園」などを訪ね、ロマンチックムードの中、秘境といで湯の旅は幕を閉じた。

旅のスケジュール

  駅名 時間 旅のひとことアドバイス
1日目 高松発 7:09  
八十場着 7:44 8時開店の「清水屋」で八十場ところてんを購入したら、急いで駅へ戻ろう
八十場発 8:18  
琴平着 8:56  
琴平発 9:20 讃岐財田あたりから山間部に突入。坪尻駅は珍しいスイッチバック式の秘境駅
阿波池田着 10:06 阿波尾鶏の照り焼きなどが入った駅弁「阿波地鶏弁当」950円を購入
阿波池田発 11:46 小歩危?大歩危間の渓流美は、この列車旅における一番の絶景
大歩危着 12:17 バスで約15分の「祖谷渓温泉ホテル 秘境の湯」へ向かい、立ち寄り入浴
大歩危発 16:32 土佐山田に近づくと、山間部を抜ける
土佐山田着 18:09 バスで約10分の「夢の温泉」へ。同宿で一泊する
2日目 土佐山田発 11:30 時間に余裕があれば、土佐山田駅からバスで20分の「アンパンマンミュージアム」へ。
阿波池田着 13:17 徒歩7分の「阿波池田うだつの家・たばこ資料館」を見学
阿波池田発 14:56  
鴨島着 16:13 徒歩20分の鴨島温泉「鴨の湯」の露天風呂で四国山地を遠望しながら入浴
鴨島発 17:38  
徳島着 18:11 LEDのまち徳島で「光の八十八ヶ所めぐり」に指定されている「新町川水際公園」などを見学
徳島発 20:38 乗り換えなしの終点下車なので、うたた寝もOK!
高松着 22:57  
青春18きっぷでめぐった名湯・秘湯
大歩危駅:大歩危祖谷温泉郷
山深くに点在する湯宿は、これぞ秘湯!
四国最大の秘境・大歩危祖谷にあり、宿数は約5軒。山河に囲まれた立地ゆえ、森や渓谷を眺望できる浴場が自慢の宿が多い。「祖谷渓温泉ホテル 秘境の湯」●TEL.0883-87-2300。大歩危駅からバス約15分の秘境の湯下車。外来入浴1000円
土佐山田駅:夢の温泉
風呂や部屋から望む川の佳景は夢のよう
夢の温泉は物部川沿いに建つ一軒宿。男女の各内湯からは、眼下にその物部川を見下ろせる。無色透明で、かすかに硫黄臭のするお湯だ。「夢の温泉」●TEL.0887-52-2334。土佐山田駅からバス約10分の夢の温泉前下車


清水屋のところてんは、名物酢醤油味(250円?)が一番人気! 営業時間は8?19時頃


秘境の湯露天風呂からは野趣溢れる祖谷渓を一望。外来入浴は10?21時で火曜休(祝日の時は翌日)


「秘境の湯」の大浴場は一面ガラス張りなので、こちらも展望はばっちり!


川沿いの濃緑が目を癒す「夢の温泉」内湯からの眺め。自家製米と自家製味噌が出る食事も人気


「たばこ資料館」ではたばこの葉などの資料を展示。入館料300円。周辺には27軒ほどのうだつが残る


「光の八十八ヶ所」のひとつ「新町川水際公園」。LED産業が盛んな徳島ならではの幻想的風景だ

旅のMEMO
観光の問合せ
徳島県観光協会●TEL.088-652-8777
三好市観光課●TEL.0883-72-7620

文:鈴木健太 写真協力:祖谷渓温泉ホテル 秘境の湯、夢の温泉、徳島県観光協会 TOP写真:マシマ・レイルウェイ・ピクチャーズ(土讃線 塩入?黒川駅間)
※掲載されているデータは平成21年8月現在のものです。

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『霧島連山の湯と数々の史跡に触れるタイムトラベル』博多からひたすら列車で南下して、九州最南端の鹿児島へ。車窓の景色と霧島から湧く温泉に浸かった1泊2日の旅は、おトクに、かつローカル線や駅の魅力を存分に味わえる旅となった。

九州縦断で行く歴史&湯けむりの旅

 熊本?人吉駅間を運行する肥薩線のSL人吉(通称「ハチロク」)に乗るため博多駅を旅立った。熊本駅に到着すると、黒光りするレトロな車体が煙を吐きながら待っていた。

 早速乗り込むと、SLは一路城下町・人吉に向けて出発する。日本三大急流の一つ・球磨川沿いの八代?人吉駅間は、通称“川線”と呼ばれる。白石駅付近では、水面に山の景色が鏡のように映る佳景と遭遇。息を呑む美しさだ。

 人吉駅でSLに別れを告げた後は霧島温泉駅へ向かい、今宵の宿「霧島観光ホテル」を目指した。同館の目玉は薩摩焼酎を楽しめるテーブル付き足湯。170種類以上の焼酎を取り揃える「薩摩焼酎セラー」前で足湯にゆったり浸かり、ほろ酔い気分で一日の疲れを癒したい。

 翌日も午前中から温泉三昧。バスから電車、そして再度バスに乗り継ぎ、妙見温泉「妙見石原荘」へ向かった。ムクの大木が目隠し&屋根の役目をする「椋(むく)の木露天風呂(男性用)」で朝風呂を満喫したら、今度はバスで嘉例川(かれいがわ)駅を目指す。

 霧島山系の山間にある同駅は明治36年(1903)の開業で、鹿児島県内に現存する最古の木造駅舎だ。土・日曜・祝日にはタケノコ、シイタケなどの地元食材を使った駅弁「百年の旅物語かれい川」が発売中。その人気はもはや全国区だ。

 木造駅舎で旅情に浸ったあとは、肥薩線の観光列車「しんぺい号」や鹿児島本線を乗り継ぎ上熊本駅へ。真幸(まさき)駅を通過したあたりでは日本三大車窓の一つに遭遇。矢岳越えから見る霧島連山とえびの高原の眺めで目を和ませた。

 旅のラストを飾るのは、平成19年に築城400年を迎え、夏季には夜間開園をしている熊本城。天守閣から熊本市内の夜景を眺望できるほか、城もライトアップされており、とてもロマンチック……と思っていたら「グゥ?」。腹の虫が鳴り一気に現実世界へ戻ってしまった。こんなときは熊本名物の春雨スープ「太平燕(タイピーエン)」を食べて、帰路に着くとしよう。

旅のスケジュール

  駅名 時間 旅のひとことアドバイス
1日目 博多発 6:32  
熊本着 9:10 約4年ぶりに復活した「SL人吉」に乗車
熊本発 9:41 球磨川付近で感動の景色とご対面
人吉着 12:13 観光列車「いさぶろう号」に乗換え
人吉発 13:15  
吉松着 14:37 普通列車に乗換え、いざ霧島温泉へ
吉松発 15:48  
霧島温泉着 16:14 バスで約25分の丸尾停留所まで乗車。「霧島観光ホテル」に宿泊。焼酎を飲みながら足湯に入れる
2日目 霧島神宮発 7:50 丸尾停留所からバスで霧島神宮まで向かう。到着してすぐに日豊本線鹿児島中央行き列車に乗車
隼人着 8:48 「妙見石原荘」行きの温泉バスに乗換え
隼人発 9:25 「妙見石原荘」で朝から露天風呂。帰りは「嘉例川行き」のバスに乗る
嘉例川着 12:34 木造建築の駅舎の待合室でのんびり。土・日曜・祝日は駅弁「百年の旅物語 かれい川」を10時から駅舎で販売
嘉例川発 13:25  
吉松着 14:02 観光列車「しんぺい号」に乗換え
吉松発 14:49 真幸駅を過ぎたころ、日本三大車窓である霧島連山などの風景を堪能
人吉着 16:03 普通列車に乗換え
人吉発 16:23 八代駅で鹿児島本線に乗換え
上熊本着 18:48 夜間開園している熊本城を見学。その後、熊本名物「太平燕」を市内でいただく
上熊本発 21:09 鹿児島本線に乗る
博多着 23:33  
青春18きっぷでめぐった名湯・秘湯
霧島温泉駅:霧島温泉
大小10以上の温泉と
多種多様な泉質が魅力
霧島連山の山麓に沸き立つ温泉。豊富な湯量と硫黄泉、単純泉など多種多様の泉質を持つ。おもに高血圧、神経痛などに効くとか。「霧島観光ホテル」●TEL.0995-78-2531。肥薩線霧島温泉駅からバス約25分の丸尾停留所下車
隼人駅:妙見温泉
天降川に沿って温泉宿、湯治宿が
多数あり
霧島連山の西南麓、天降川上流の新川渓谷沿いにある温泉。泉質は炭酸水素塩泉。湯治宿が多く、天降川沿いに宿が軒を連ねる。「妙見石原荘」●TEL.0995-77-2111。日豊本線隼人駅からバス約19分の石原荘下車。日帰り入浴1200円


約4年ぶりに復活を果たしたSL人吉。11月末まで運行する。乗車券のほかに座席指定券800円が必要


霧島観光ホテルの薩摩焼酎が楽しめるテーブル付き足湯。霧島で唯一、桜島を望める足湯もある


10?15時まで入浴可能な「妙見石原荘」の日帰り温泉。男性・女性専用の露天風呂も備わる


山間で静かにたたずむ嘉例川駅舎。開業当初から木造建築で、平成18年には登録有形文化財に


平成20年度「九州の駅弁」ランキング1位の「百年の旅物語かれい川」。土・日曜・祝日に販売


19時30分まで入園可能になった熊本城(平成21年8月まで)。浴衣で来園すれば入園料が無料に

旅のMEMO
観光の問合せ
霧島市観光協会●TEL.0995-78-2115
熊本市観光情報センター●TEL.096-322-5060
妙見温泉振興会●TEL.0995-77-2818

文:宮原宏 写真協力:JR九州、霧島観光ホテル、妙見石原荘、「元気だ!くまもと」観光事業実行委員会
※掲載されているデータは平成21年8月現在のものです。

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