『トレたび』は、交通新聞社が企画・制作・運営する鉄道・旅行情報満載のウェブマガジンです。
兵庫県の相生(あいおい)から岡山県の東岡山、岡山へ、瀬戸内海沿いを結ぶ赤穂線の普通電車。大阪方面の「新快速」は、赤穂線の播州赤穂駅まで一部が乗り入れており、日生へ行く際、そこで乗り継ぐのが便利だ。
青空に映える日生駅。駅前にはすぐに海が広がっており、いかにも瀬戸内の港町らしい風情。海の幸豊富な日生は、名産の「カキ」をふんだんに用いたお好み焼き「カキオコ」で盛り上がりをみせている。
日生ではぜひ味わってみたい「カキオコ」。名産の「カキ」がどっさり入っているのも産地ならでは。目の前の鉄板で焼く過程を見るのも楽しく、ソースの香りに食欲も全開!
日生の海に浮かぶ日生諸島をめぐる連絡船。通常、駅より徒歩15分ほどの日生港から出ているが、ちょうど昼に島へ向かう便は駅前の桟橋でも乗船できる。さながらクルーズ気分で島々へ行ってみよう。TEL. 0869-72-0506(大生汽船株式会社)
周囲4kmほどの頭島は、日生諸島で最も人口が多い島(約400人)。民宿などもあり、「カキ」の養殖でも知られている。港近くの郵便局は、いかにも島の郵便局らしい雰囲気でいい。時には猫もやってくる。
昭和57年3月1日に誕生し、今年30周年を迎える「青春18きっぷ」(発売当初の名称は「青春18のびのびきっぷ」)。誰でも利用でき、普通列車や快速列車に乗り放題のおトクな切符として、今もたくさんの旅人に愛されている。
「青春18きっぷ」が利用できる普通列車や快速列車もいろいろ。なかでも京阪神エリアでは、東海道本線・山陽本線を走る電車「新快速」に注目したい。二人掛けのクロスシート(転換クロスシート)で、特急並みに快適、しかも運転本数が多く、便利だ。
昭和45年、113系電車で運行を開始した「新快速」。やがて153系電車を経て、昭和55年から117系電車に。「青春18きっぷ」誕生時も走っていた117系「新快速」で、二人掛けのクロスシートが採用され、当時としては画期的、大好評だったことを記憶している。
現在「新快速」に使用される223系や225系電車はさらに洗練され、「青春18きっぷ」の旅もサポート。「新快速」は「Special Rapid Service」と英語表記されるが、京阪神エリアの旅では、スペシャルな「新快速」を上手に活用したい。
「新快速」と赤穂(あこう)線を乗り継ぎ、瀬戸内海を目の前にした日生(ひなせ)駅に到着。
日生といえば、名産の「カキ」をふんだんに使ったお好み焼き「カキオコ」がじわじわと知名度を上げている。そのご当地グルメをいただく前に、海が穏やかであれば、駅前の桟橋から日生諸島をめぐる連絡船(大生汽船)に乗って小さなクルーズを。
春めく海は潮風も心地よく、25分ほどの頭島(かしらじま)で下船。この海域では「カキ」の養殖が盛んに行なわれ、島の小さな港では水揚げの様子も垣間見れる。周辺を歩けば、いかにも瀬戸の島らしい郵便局も。郵便局めぐりの趣味を鉄道の「鉄ちゃん」になぞらえて、「郵ちゃん」や「局ちゃん」というそうだが、時には猫も出迎えてくれる頭島の郵便局は、島独特の雰囲気が旅情を誘う。
日生には魚市場「五味の市(ごみのいち)」や「海の駅しおじ」などもあり、波のある日や船が苦手な方にはこちらがおすすめ。「海の駅しおじ」にはバーベキューコーナーもある。
さて、頭島を離れ、船は日生港(日生港は駅前桟橋から徒歩15分ほど)へ。日生港の近くには「カキオコ」を出す店も多く、産地ならではの味覚を豪快に味わってみたい。
日生の「カキ」は、例年2月頃が最もおいしくなる時期といわれている。3月もまだまだ「カキ」のシーズン。おいしい「カキ」をお腹いっぱい食べて大阪へ帰ろう。
駅名 | 時間 | 旅のひとことアドバイス | |
---|---|---|---|
1日目 | 大阪発 | 9:30 | ゆっくりと新快速で出発! |
播州赤穂着 | 11:07 | 乗り換え | |
播州赤穂発 | 11:38 | 赤穂線普通電車 | |
日生着 | 11:52 | 駅のすぐ前は海! ここから出る船で日生諸島をクルーズ気分! | |
日生 (駅前桟橋)発 |
12:10 | (連絡船490円) | |
頭島着 | 12:35 | 日生諸島、「カキ」名産の島を散策 | |
頭島発 | 14:20 | (連絡船490円) | |
日生港着 | 14:45 | カキがふんだんに使われた「カキオコ」を堪能してJR日生駅へ | |
日生発 | 16:50 | 赤穂線普通電車 | |
播州赤穂着 | 17:05 | 新快速に乗り換え | |
播州赤穂発 | 17:06 | 姫路、明石を経由して大阪へ | |
大阪着 | 18:43 | クロスシートでゆったり大阪着。通常運賃より、2120円もお得な旅でした! |
京阪神エリアの便利で快適な電車といえば、東海道・山陽本線を走る「新快速」。運転本数も多く、二人掛けのクロスシートは特急電車のようでもあり、旅を満喫できる。「新快速」は「Special Rapid Service」と英語表記されるが、まさにスペシャルな電車といえるだろう。
写真家、パズル作家。「青春18きっぷ」歴は18年、日本のすべての都道府県を夫婦で3巡している。著書(夫婦の共著)は写真集『猫ヶ島』、『わらいねこ』をはじめ、『旅してでも食べたい 地もの旬もの回転寿司』など。●ホームページ http://www.aizawa22.com
文・写真:相澤秀仁&京子
※掲載されているデータは平成24年1月29日現在のものです。