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屋根から突き出た2本の六角形のドームが特徴的な若狭本郷駅舎は、平成2年に大阪鶴見緑地で開催された「国際花と緑の博覧会(花博)」で山のエリア内の「風車の駅」として設計・建築されたもの。会場内の「山の駅」と結ぶSL義経(ドリームエキスプレス)の駅として実際に使用されました。
博覧会終了後は地元の強い要望により現在の小浜線へ移築され、華やかな博覧会の賑わいを今に伝えています。駅の横に展示されているSL義経のレプリカも見所です。
もう一つの「山の駅」は、同様に福知山線の柏原(かいばら)駅に移築され、現役駅舎として使用されています。
メルヘンチックなデザインの若狭本郷駅は国際花と緑の博覧会で実際に使用されたもの
小浜湾に架かる青戸の大橋の夕景。橋の奥に見えるのは「若狭富士」とも呼ばれる青葉山。若狭本郷駅から東に500mほど
険しい地形を縫って走る土讃線は、かつて自然災害に見舞われることが多くありました。国鉄時代には「土讃線防災対策委員会」が設置され、危険個所の設備強化や、トンネル掘削によるルート変更など、災害対策への強化体制が整えられ、今日の安全運行が守られています。
昭和61年には全長2583mの大豊トンネル経由の新線へルートが切り替わり、その際に土佐北川駅は吉野川の支流・穴内(あなない)川を跨ぐ第六穴内川橋梁上に移設されました。
特急も通過するホームに立てば駅全体が橋梁のトラスに囲まれて、橋の中に居ることが実感できます。鉄橋上にホームがある全国でも非常に珍しい駅です。
橋梁のトラスに囲まれるように設置されたホーム。鉄橋と駅全体を響かせて特急列車が通過する
土讃線の沿線には線路が付け替えられた旧線跡が残されている。写真は大杉駅の南方に残る旧線跡
洒落た高原の美術館を思わせる由布院駅舎は、世界的建築家で大分出身の磯崎新氏によって設計されました。平屋建てで木の質感が生かされた外観は、自然豊かな由布院の玄関口にふさわしいものです。特徴的なコンコース部分の天井は、イタリア・フィレンツェにあるメディチ家の礼拝堂をイメージしたといいます。9m×9mのスクエアな吹き抜けが12mの高さに設計され、明るい日差しを取り込むとともに伸びやかな空間を演出しています。
また、駅舎内の「ゆふいん駅ホール」(アートホール)は待合室を兼ねていて、展示作品との身近な触れ合いが楽しめるように造られています。温泉地の駅らしく、温泉による床暖房を装備。1番ホームには足湯(大人160円・子供80円)も設置され、駅自体が由布院を代表する人気スポットのひとつになっています。
木の質感が牧歌的な風景にもマッチした由布院駅舎。中央のコンコース部分は高さ12mの吹き抜けになっている
平成21年3月26日に駅構内にオープンしたカフェ「由布院Pausa(パウザ)」。数量限定でゆふいん料理研究会限定スープなども販売
写真協力:JR北海道/JR東日本/JR東海/JR西日本/福井県観光連盟/由布院観光総合事務所
※掲載されているデータは平成21年4月現在のものです。